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■イノシシの成獣と幼獣

今週のEテレ『サイエンスZero』でイノシシ被害とその対策を取り扱っていた。

女性研究者が「農作物などの高栄養のモノを食べて、1~0歳児の子供であっても体が大人並みに大きくなっている、繁殖防止のためには子供でなく親を獲る必要がある」とコメントしていた。

それを聞いて「ん?」となった。これは悪いケド理想論だ。

もし、大人と子供で通る獣道が違うのであれば、足跡を判別して大人のルートだけにくくり罠を仕掛ければ良い。
しかし実際は、大人も子供も同じ獣道を利用する。
罠は、罠にかかった個体を取るしかなく、銃は目の前に現われた個体を撃つしかない。
成獣とか幼獣とかを選んで獲る事はできないのだ。

子供が罠に掛かった場合、「まだ繁殖能力がないから」と逃がしてやっても良いが、その子供も1年もすれば成獣になって、繁殖活動を始める。

野生動物は全般そうだが、成長すればする程、知恵がつき、警戒心が強くなって、罠にかからない老獪な個体になる。
(警戒心が強い個体が、生き延びられた、とも言える)

だから幼獣であっても、罠にかかってくれる内に獲ってしまった方がよいのだ。
罠猟を続けていると、警戒心の緩いウリ坊や若い個体が捕獲され、老獪な成獣は逃れ続ける、という事が判る。

あと雌雄でいうと、メスを捕獲した方が頭数抑制につながる。
メスを一頭でも獲れば、そのお腹から産まれる5〜6頭の子供を確実に抑えられるが、オスは一頭でも残すとその一頭が全てのメスを妊娠させられるからだ。
しかしこれも成獣・幼獣選別不可と同様で、やはり『メスを優先的に狙って獲る』のは、ほぼ不可能だ。

老獪個体は繁殖行動をし続け、若い個体も獲りつくす事はできず、やはり取りこぼした個体が繁殖し続ける。
それは、どう考えてもハンターの狩猟ペースを下回る事はない。
だから、『選ばず(選べず)、とにかく獲る』しか手段がない訳だが、それを全ハンターが全力で行っても、現状のハンター数では、個体数現象にはつながらないだろう。

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