■「先に手を出させろ!」・国家間の『正当防衛』
最初におことわり、今回の記事はめっちゃ憶測で、何の責任も持てません。
イラン領内でハマス幹部ハニヤ氏が爆殺された件で、イランは「菅らずイスラエルに報復する」とコメントし、一方のイスラエルはこの件に関して、沈黙を貫いている。
そして4ヵ月前のイランから200数十のミサイルと無人ドローン攻撃は、ほぼ全て迎撃され、イスラエルの被害はないに等しい程の軽微。
ここからが筆者の憶測だが、イスラエル首脳部はこう考えた。
「イランの手の内、つまりミサイル&ドローン攻撃が我が国に被害をもらたすものではないのが判明した。仮に戦争になってもそれは同様であろう」
そして国内で他国からのゲストであるハニヤ氏が殺害されたのなら、イランとしては国内の民、また周辺のムスリム国への面子を保つ為に「報復する」と言わざるを得ない。
つまりハニヤ氏の暗殺は、『ハマスの幹部の殺害』という目的だけではなく、イランがイスラエルに対して宣戦布告する事を促しているのではないだろうか。
両国が戦争に突入しても、イスラエル側は「ハニヤ氏を暗殺したのはイスラエルではない。一方的に戦争を仕掛けられた」と国際社会にアピールする手段が残されている。
しかも4ヵ月前のミサイル攻撃をしのいだ事で、またモサド(イスラエル諜報機関)などが掴んだ情報により、航空機での戦闘や地上戦にもつれ込んだとしても、イスラエルの方が(おそらく大いに)優位である、戦争には楽に勝てると判じ、あえて戦争に誘い込んむつもりなのではなかろうか?
またワンサイドゲームとして戦争の勝利を世界、特にイスラム国家群に示せたなら、今後、周辺のイスラム国はイスラエルに手が出しづらくなる。つまりは大きな抑止力、イスラエルの安全を手にすることが出来る。
そうなったなら、一連の衝突の発端となったハマスのイスラエル侵入&人質の拉致といった行動、それに類する作戦は、どこも行う事が出来なくなる。
つまりは「イスラエルに手を出すと、こちらが痛い目を見る」と周辺のムスリム国を牽制できる訳だ。
そしてイランが「必ず報復する」と公言したにもかかわらず、即時それを行わず間が空いているのは、(下準備に時間がかかっているから、というよりは)、これがイスラエルからの徴発である事、そして戦力の差があり、勝てる見込みがない事を認識しているからではなかろうか。