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独創に独走せず

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この記事は自身のHPのために2001年9月14日に作成されたモノです。
当時の空気感、自身の感性で書かれているため、今とは合わない部分もあります。また、自身で書いた物ながら読み直して違うと感じる部分もあります。
しかし、当時書いた物として、そのオリジナリティを重視して、ほぼそのまま掲載します。
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 独創的といわれると、その人ならではの特色みたいに感じる。しかし、そういった作品を見ると基本がしっかりしているからこそ、独創性は成り立つだと思う。

 例えば、ピカソの有名な絵は抽象的に描いている。たが、始めからその道でなかったことは一般に知られている。一見、子供にもかけそうなピカソの絵だが、構図や法則性のある描き方でおそらくは誰も真似がする事は出来ないだろう(偽物を作るなら、話は別だろうけど)。
ピカソの抽象的な絵を支えていたのは幼い頃、そして長年の基本があったから成立したのだろう。

 さて、近年のCGにおける美少女の絵というモノはマンネリ化している様に思える。前にもCGについては語っているが、CGの技術面から見ると大抵同じような色づけをされている。それは単にツールが同じだからと言う訳でもないだろう。実際、CGのツールといったら「Photoshop」などが主流であるが。
 だいたい、色の塗り方は美少女CGのHOW TO本に載っている様なレベルである。やはり、パソコンに触れる機会が多くなり、安くなった中でCGを軽い気持ちで始める人には美少女CGのHOW TO本というのは入門書としては最適である。独創的な色づかいを演出しようと思ったら、かなりツールの機能を理解した上で、自分の中での絵の構図もまた理解していなければならない。それは初心者には無理な話である。

 そういった意味では美少女CGというのはCG入門には最適な課題なのかも知れない。

 なんやかんやで、エロゲーの載っている雑誌をぺらぺらとCGを眺めていると、何処の会社も似た様な色の塗り方である中で絵に独創性の持つ会社がちらほらと出てきた。
 一般のゲームにおいても、アニメ絵から離れない中でこの事は何を意味しているのか。

 エロゲーというジャンルはゲーム界において、漫画界でのエロマンガみたいな位置づけにあると思う。いや、当たり前の事を言っている様ではありますが、有名マンガ家の中にはエロマンガ出身やエロマンガを書いていたりとする事が多い。これをエロゲーに置き換えても、有名な作品は一般に来ていると同じ事である。

 漫画家であるいしかわじゅん氏はたまにエロマンガの中からとんでもないモノが出てくる事があると言って、エロマンガ雑誌を絶えずチェックしている様である。比較的、何をしても許されるエロマンガにおいてマンガ家自身の独創性を発揮する場であるとすれば、才能を大いに発揮する場となる。

 エロゲーもそういった意味合いが強いと思う。開発コストが低く、人数も少なくて済み、比較的制限も少ない中でその独創性を発揮する事はしやすい訳である。だからといって、商品である以上、他人に理解出来ない独創性では話にはならないが。

 発売された「BITTERSWEET FOOLS(minori)」や今後発売する「白詰草話(Littlewitch)」、「Hotel ergriffen(maple )」などCGを見る限りは他者とは圧倒的に違う独創性。

 なぜ、いまこのような独創性が出てきたのか。
 昔のエロゲーというと、それ以前に昔のゲーム自体に色数は制限されている。それでも昔のドット絵は綺麗かつリアルに見えていた。その分、苦労というのは今の何倍もあった事は確かである。

 そういった時代から、CGに移行した中でどのような変化を見せたかという例でいえば、金子一馬氏であろう。金子一馬氏といえば、女神転生シリーズの敵デザインを担当され悪魔絵師と呼ばれている。水木しげる氏と同じぐらいに悪魔や妖怪を描いている人である。今はマックでCGを描いているが、昔はドット絵で描いていた。最近は独創的なデザインになってきているが、それが本人のセンスの変化なのか、悪魔の容貌の変化なのかが分からないが。

 どちらにしろ、シリーズを通して同じデザインであるのはマンネリを生む。確かにドラゴンクエストにおいてスライムはマスコットであるから別ではあるが。ピカソの様に独創性に走るのは周りから違った目で見られるという意味ではいい方法ではある。

 エロゲー業界自体がマンネリ化した中でこれらの独創的なCGを武器にするのかもしれない。エロゲーにおいて第一印象は一にも二にも絵は重要である。CGに独創性を持たせるのは新たなシェアを広げる事となるだろう。

 そんなこんなで美少女CG系はロリ化している。これは漫画の流れでもそうだが。そういった絵に適している塗り方がエロゲーのCGなのだが。
 しかし、前衛的な作品とは常に周りから違うモノである。今後、これらの作品が周りに対してどのような影響を与えるのか。実に楽しみである。

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ツカモト シュン
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