二宮金次郎は、薪を下ろす 西郷隆盛は、足の裏を揉む モヤイは、あくびをする 坂本龍馬は、髪をかきあげ 花鳥号は、水を飲む 細川たかしは、歌を歌い 毘沙門天は、くしゃみを2回 ある年ある日ある時間 すべての像が動き出す 好き放題に動き出す 女の子は、赤い靴を磨き 名寄岩は、四股を踏む 閻魔王は、にっこり微笑み 貫一は、お宮にとにかく謝る 「ごめん!蹴ったりして マジでごめん!!!」 そうして何処か彼方から 「だーるまさんが!こーろんだ!!!」 ピタリと動かぬ像に
アレ入れた? アレだよ アレ ほらあのあんたが好きなアレ いつも絶対入れてって言うじゃない 入れてあったらメチャメチャ喜ぶアレ あの右の突き当たりにあるあの店の 入って奥の棚の上 店長一押しオススメのアレ わざわざ行って買ったんだから アレあそこにしかないからね あたしはあってもなくてもいいけどさ アレあると華やぐし 傘増しにもなりやんす きょうび手取りも下り坂 傘増しこそが ヴェリ ヴェリテ とはいえかなりの希少価値 あの店にしかないオススメのアレ あんたと店長が好きなア
1日が終わっていく時 テーブルの上を綺麗に片付けて できるだけ 持病の薬を飲む ソファに寝転んで 体を小さく丸めて できるだけ それから 思い切り伸びてみる できるだけ 携帯を左手で見つけて 眼帯を右手で外す 眼窩を右手で揉みながら Netflixのウォッチリストの追加をする できるだけ ハートフル ホラー アクション ホラー ホラー ホラー 見たいものが そのまま今の心を映す 恐怖を できるだけ 非現実を できるだけ できるだけ できるだけ 頭が空っぽになればいい 眼
かせまのふきすさぶばしばしゃ いっぽんのきのののみきにたって とはまさらないようにたえている みぎににどべばじごく ひだりにとへもばぎょむ うじろばかあぶたのくたののなか まぇにとべばたぐたしゃしぐしゃ ひげみちはうえ だげれどもうぇまにいけばおたるぢろ だがらまみちもきっぎよく とぱらされないょくにち たぇているだえとている でもんこればかがんね てきねねえんたまわ (『謎の言語を追え』抜粋) 風の吹きすさぶ場所で 一本の木の幹に立って 飛ばされないように
思い出に 誰でもなんでもみんな思い出になるよ あなたも私もあの人も あれもこれもそれだって あなたの胸の真ん中の あの真っ黒な梅干も わたしの右の脇の下 挟まっている米粒さえも なんでもみんな思い出に あなたをつねったあの人も わたしをこずいたあの人も 一緒に泣いたあの人も 一緒に笑ったあの人も 誰でもみんな思い出に ひとりの夜 終わりが近づいた夜 白いレースのカーテンの ひだを数えているときに ドッと思い出せますように 誰でもなんでもどんなことも みんなみんな思い出
こどく こどく こどくをかんじる みそしるをすするとき あめのなか うんてんするとき げんかんでくつをそろえるとき あさおきたとき よるねるとき にじがでたとき いたガムをかんでいるとき じゆう じゆう じゆうをかんじる みそしるをすするとき あめのなか うんてんするとき げんかんでくつをそろえるとき あさおきたとき よるねるとき にじがでたとき いたガムをかんでいるとき いのちのなまえが こころなら こどくのなまえは じゆうだろ じゆうじゆうじゆうじゆうじ ゆうじおまえ
俺たちが空を飛ぶ時 時々出くわすのさ 頭のてっぺんに赤い⭕️のあるやつを そいつに出会ったら 追いかけずにはいられない てっぺんにある あの⭕️を しばらく無心で追いかけていると ふと思うんだ まずい このままでは 俺 一生 こいつを追いかけるだけになる そういう時は ッポンッ フンを落として立ち去るのさ ッポンッ あ 外れた あぁ フンを命中させなければ 俺とあいつの目が合う あっ 走り出す 赤い⭕️が逃げて行く あぁ 追いかけずにはいられない 一生かけても追いかけたい
これは爆弾のスイッチ これは毒蛙の卵 これは赤ちゃんの臍 これはユスラウメの実 神々の 罰なのでしょうか 人中の 真ん中にできた 大きなニキビ
わすれないで おかあさんが かたつむりになっても わすれないで おかあさんが かわべりのいしになっても わすれないで わすれられることがしあわせだとしても もうなんにもしてあげられることはないから せめてちきゅうのかたすみで かたつむり いしころ えのころぐさ きつつき しもばしら おてんきあめ かねのなるき ちょうとんぼ ねがうはきみのしあわせ あめあがりアジサイのはうらをはいずって ゆうぐれにかわべりをころがって こどもにあたまをむしられて きのいもむしをついばんで か
どこかに きっとあるのじゃないか 全てのものが 流れ着く場所 大好きだったおしゃぶりや チャリの荷台で揺られて落ちた お花のついた赤い靴 電車の窓からすっ飛んでった ふんわりリボンの白い帽子や あの先生にこっそりもらった コーラの匂いのねり消しゴム 秘密を書いた小さなノート 小瓶にためた膝のかさぶた 薔薇の花びら ひまわりの種 鼻に画鋲がささった写真 ひと息吸っただけの吸い殻 誓いを立てた世界で1番硬い石 きれいなものも きたないものも 全てがみんな流れ着く場所 そんなとこ
そりぁ 誰でもみんな 楽して稼ぎてぇ なんにもしなくても 金がもらえる わぉ 最高 そんなゆめを一度や二度 みたことないなんてやつこの世にいないだろ 金があれば大概の願いはかなうから 医療の進歩も 金で買える それはつまり寿命も金で買えるってこと とはいえ楽して稼ぐって何さ 楽なように見えて 結構しんどいって仕事は たくさんあるようだけど 楽して稼ぐってさ 誰かを騙したり 横取りしたり こっそりもしくはぶん殴って奪った稼ぎ そして楽して稼ぐ時 捨てなきゃならねぇものがある
1限 細く長い息の仕方 苦しくない息の止め方 2限 薬物中毒と縊死の様々な違い 3限 墜落死 圧死 事故死その他のための 痛くない関節の外し方 4限 メイクアップ講習 講師『ゾンビにならない死に顔』 著者 眉唾もえ ※お知らせ 東通路 『死に顔100選』に 新しく10の死に顔が加わりまし た。是非参考にしてください! オープンキャンパスやってます! 特殊俳優専門
時を止めるのは簡単だ。皆の動きがぴたりと止まる。笑顔のやつは笑顔のまま。テヘヘのやつはテヘヘのまま。コイツーのやつはコイツーのまま。動いているのは私だけ。私は最適な角度のベッドにゆっくり横たわって、鼻先にかかる伸びきった前髪を、中居正広の如く吹く。すると世界が動き出す。 あら、つまんない。ケーキは倒れただけですんだんですね。 「倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使」 そのわずかに天使になるやつに飛び蹴りかましてぶっ飛ぶケーキを拝みたい キラキラと
この世はフォントで溢れてる 明朝 ゴシック はぁんしーはーと 祥南行書に 半古印 こまどり トガリテ ロンドに あずき はぁ このときめきをしたためるのに 適したフォントは一体どれだ? 装甲 源界 幻ノ 叩きつける退職願に 適したフォントは一体どれか? もじゃに えるまー アンニャントロマン 不幸な手紙と気づかぬように 適したフォントは一体どれなの? 清風明月 花鳥風月 あなたの今際に開かれる 家族会議の遺言状 適したフォントは一体どれさ? フォント フォント ほんとにほん
冬の終わりを感じるこの日。ある者は整々とした終わり。ある者は名残惜しい終わり。泣く者笑う者。小さな人生の節目。そんな中、生きてきて一度も意識したこともないであろう私の事を、ある年齢の者たちが、秘めた想いを胸にそわそわと思い出す。長年の劣化で、黒ずんだりへこんだりしていても、その者達には、輝く宝石や全ての災いを払う魔除け。はたまた唯一無二のレアアイテムとなるのだ。 しかしながら、愛の力はあわれ、信じる力は無力。数年もしくは数ヶ月、ひどい時には次の日には、ただのゴミ。しかも燃えな
このときめきを よもや言葉にするのなら できればできれば 俯いて 1センチほど浮いていたい 1センチなら君も気づかないでしょ よもや僕がときめきを 言葉にする時浮いているって よもやよもや気づかれたら こんな恥ずかしいことはない 耳まで赤くなるどころか 眉まで真っ赤に染まるほど よもやの君の勘の良さ さあれどもさあれども そこが君の良さであり 僕がときめくとこでもある さぁ 雨があがったよ 何もかもがキラキラと輝いている よもや僕が浮いていることに さあさあ早く気がついて