卓球と4スタンス理論
はじめまして。4スタンス理論の公認トレーナーのもっちです。
ボクシング世界チャンピオンやプロ野球チームでも公式トレーナーが教えていたり、ゴルフの代表選考合宿では必修科目レベルになるなど、各界のトップ選手が取り入れてニュースにもなっている4スタンス理論。
そもそもなにがそんなにすごいのか、というお話です。
※このnoteでは一般の方に分かりやすいようにREASH理論全般を指して4スタンス理論と呼んでいます。
公認資格の規約で部分的にしか公開できませんがレッスン動画はこちらです。
■はじめに
このnoteを読むのはこんな方が多いのではないでしょうか。
・4スタンス理論になんとなく興味がある
・とりあえず情報収集中
・高額な公式セミナーに参加するにはおさいふ事情が心配
ネット検索すると情報があるように見えますが非公式のブログばかり。
中身を見ても「ひじの角度、あしの動かし方...」のように細かい部分がフォーカスされており、ひどいものではカカトに体重を乗せましょうなんて意味不明のことが書かれています。
もちろん、部分的には正しい情報を載せています。
でもどこまで正しいか判断するのは至難の業ですし、「人をだますコツは7割のホンネの中に3割のウソをまぜること」なんて言われるように、中途半端にウソとホントが入り混じるせいでたくさんの人が騙されています。
この記事を読むくらいリテラシーの高い方には信じられないかもしれませんが、4スタンスのタイプは靴底のどこがすり減っているかで判断できるなんてことを言う人も未だにいるのが現状です。
普通に考えれば靴底がすり減るということはそこが地面からずれやすい場所であって、きちんと踏めている場所とは必ずしも一致しないことが簡単に分かります。
ちなみにくつひもを強く結ばない人の靴底はカカト側が大きくすり減りますから、靴底を見て判断すると日本人の9割くらいはBタイプということになってしまいます。
もしくは卓球にかぎらずスポーツシューズはつま先側(母指球の付け根あたり)が削れやすいので、スポーツシューズの底を見ている人はほとんどAタイプだと思い込んでしまうかもしれません。
しかしながら、4スタンス理論のことをよく分かっているっぽい人が書く「上腕は外旋し前腕は内旋し...」などの専門的な説明は逆にむずかしすぎます。
そこで出来るだけ簡単に、4スタンス理論の雰囲気を知ってもらうためのnoteを書きます。
残念ながらこのnoteを見ても4スタンス理論は理解できません。
これから4スタンス理論を学ぶ足掛かりとして眺めてもらえればいいのではないかと思います。
■4スタンス理論とは
4スタンス理論を簡単に(乱暴に)説明すると、みんなが同じであるべきことと違ってもいいことをまとめた理論であるといえます。
※正確な説明は公式情報を参照してください。
卓球に限らずスポーツの練習をしていると、コーチや先輩からコツを教わる機会がたくさんあります。すると、あるコーチの説明はよくわかるのに別のコーチの説明は全然わからなかったり、自分にとってはちんぷんかんぷんな説明なのに別の人は分かりやすいと言っていたりしませんか。
もしくは自分が教える立場なら、言ったことをすぐ理解する生徒もいれば、いくら言っても理解してくれない生徒もいることでしょう。するとだんだんこんな事実に気付きます。
・向いているやり方は人によって違いがある
・成功法がだれにでも使えるとは限らない
・説明のしかたも相手によって変えなければいけない
当たり前だと思った人、そのとおりです。
でも、「じゃあどうすればいいのか」を明確に説明できるでしょうか。
実際には人に合わせた説明なんて簡単にはできないですし、コーチの説明が自分に合っているか、なかなか判別できません。そもそも自分と相手がどんなタイプなのか不明です。タイプごとの指導法や方法論も不足している現実があります。
つまり、目的は決まっていても手段があいまいなままなのです。
ここを、4スタンス理論が解決してくれます。
全員が同じように守らなければいけない決まりごとと、人それぞれ違ってもいい部分を知れば、自然と指導や実践のしかたが変わると思いませんか。
■4スタンス理論の利点
4スタンス理論の利点は「自分にあったカラダの使い方」を実現することにあります。球のコントロールは?パワーは?技術レベルアップは?これらはあくまでオマケです。
4スタンス理論を知ったからといって勝手に強くなるわけではありませんし、プロのタイプを知ってもマネできるとは限りません。知っていることと使えることが全く違うというのは4スタンス理論に限らずみなさんご存じのとおりです。
4スタンス理論をきちんと学んだプロから自分にあったカラダの使い方を教えてもらうことで、動作の安定性や安全性が高まります。これはそのままケガの予防につながります。
言い換えれば、ケガが少ない選手はカラダの使い方がうまいということです。野球で例えるなら先日引退したイチロー選手はその典型例ですね。
安定・安全な動きが出来るからこそリズムやスピードやパワーも安定して出すことができます。その結果として技術が向上しやすくなるのです。
あくまで安全・安定がいちばん大事です。もし興味が出てきたら、まずは4スタンス理論ではなく5ポイント理論と検索してみましょう(もちろん数百円払って書籍で正確な情報を得た方がいいです)。
■4スタンス理論のすごさ
この理論が一番すごいのは、正しい動きは1つではないことを初めて体系的かつ科学的に説明したところにあります。
従来は基本的にどんなスポーツも模範的な1つのモデルがあり、それをまねることがスタートでした。セオリー(定石)もこの画一的な基準の1つといえますね。
世の中にはセオリー通りじゃないのに成功する選手がたくさんいます。でもそれは○○選手は特別だからなどの言葉で片づけられています。同じ人間なのに例外とごまかされてしまうのです。
コーチの皆さんは頭の中ではとっくに「みんなが同じとはいかない」と気付いています。でもそれを言ってしまうとなかなか前に進めなくなってしまうため、目を瞑らざるを得なかったわけです。
「選手によってそれぞれです」
「いろんな考え方があります」
という言葉は、結局のところ具体例が伴わないので、指導者が責任から逃れるために使われてしまっているのが現状です。この「それぞれ」や「いろいろ」の中身を理論的かつ根拠を持って説明可能になったところが画期的なのです。
■卓球での具体例
たとえば卓球では上体が起きてはいけないという古くからの言い伝えがあります。足の親指の付け根に体重をかけて、かかとを少し浮かせて、腹筋に力を入れて前傾し腰を落とす。旧世代の指導者のステレオタイプともいえる指導法ですね。
実際には、素人目には棒立ちに見えるのに強い選手はたくさん存在し、プロでも李平選手や丹羽選手のようにあまり前傾しすぎないタイプも数多く活躍しているのです。
ある程度の前傾が必要と選手本人が考えている水谷選手ですら、上体が起きた状態で打球することがよくあります。もはや正しいとか間違っているといった以前の議論ですね。
現実として、結果として、タイプごとに動きが違っている。
そこから目をそらさずに数十年かけてデータを集め体系化するに至ったことが、4スタンス理論が非凡である所以です。
■骨理学という学問
実は4スタンス理論はすでに学問として進化を遂げています。
レッシュプロジェクト代表の廣戸聡一氏は中部大学の客員教授となり、骨理学という名前で研究をしています。筋肉にばかりに目を向けていた従来の考え方ではたどり着けない、骨と運動についてのある事実がもうすぐ発表される予定です。
※公式トレーナーは先に内容を部分的に聞いています
ちなみに骨理学は分野としては医学に含まれる領域ですので、なんとなくうまくいけばそれでOKな雰囲気のあるスポーツ科学より更に厳密な根拠を求められます。私も生物学研究の出身ですので、科学の文法で4スタンス理論を解明できるのはうれしい限りです。
事故にあって手術するときに免許を持った医師を頼るように、訴訟時に資格をもった弁護士を頼るように、4スタンス理論は公式資格を持つトレーナーにまずは話を聞いてみてほしいと思います。
卓球のことを聞きたい場合、私じゃなくても大丈夫です。マスター級トレーナーはどんな種目・どんな動きでも説明するためのカリキュラムを修了していますのでご安心ください。
■4スタンス理論は意識するものではない
筆者は4スタンス理論を学ぶことが全員に必須とは考えていません。うまくいっている人はそのままでいいのです。自分の身体の声を真剣に聞くことができれば、自然と4スタンス理論の動きになるからです。逆に中途半端にネットの知識で取り入れるくらいならやらない方が良いです。
「ネットで4スタンス理論を見つけてやってみたら調子を崩した」もよくあることです。そもそも無資格者によるタイプ診断は半分以上が誤診ですし、奇跡的にタイプが当たっていたとしても、本来人間の体は無意識に動かすものです。
タイプの動きに合わせて肘を動かそうとか足の外側に体重をのせよう(ちなみにこれはどちらも明確に間違った指導です)などと考えるとうまく動けなくなります。「歩く」は自然に出来ても「右の上腕を前方に25度、それに0.02秒遅れて前腕を更に13度前方に出すと同時に左足を...」は自然にできないのと同じです。
カラダの動かし方はもう無意識に正しくできるようにしてから、競技や演奏に入るべきです。皆さんすでにご認識のとおり、プレー中は戦術や表現に意識を向けるべきであって、体の動かし方を考えながらプレーするのはさすがに無理があります。
■おわりに
色んな指導や無理な反復練習によって癖がついた状態では、身体の声が聞こえなくなっています。それを一度ナチュラルな状態に戻すことが4スタンス理論の目的でもあります。
もちろん私自身はこれからも4スタンス理論を前提に練習しますし、指導も行います。それは、ひとえに体系的であるからです。成功者が思いつきで語る理論には矛盾がつきもので、全てを取り入れようとすると確実に無理が生じます。
しかし、一度4スタンス理論の視点を通すことで、
矛盾と思われる部分が実際にはタイプ差によるものであり、本来こだわるべきは別にある
と気付けたりするのです。
理論と名がついていますが、分類学の側面が強いので誤解が生じるのかもしれませんね。