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「青音色」"過去情炎・渡邉有"感想。

読み終わって、思わず口から漏れた。

あわわわ。なんや、これ!

失敬である。誠に失敬この上もない。ないのだが、漏れてしまったものは仕方ない。
面白かったのだ。だが、普通の面白さでなかったのだ。ラストを読んでる時、こっちは心の中で叫んでおった。

いやあー! やめてんかあー!

恐ろしいラストである。こんなもん、あとまだ読まされたら、もうドグラマグラやないかい!(なんのこっちゃ?)
思えば、最初の宮沢賢治からわからなかった。賢治の詩は難しい。
クラムボンってなんだ?!
あ、「永訣の朝」はわかった。切ない、悲しい、でも怖い。
あめゆじゆとてちてけんじゃ。
これが呪文みたいで怖かった。これ聞かされたら、俺だって、鉄砲玉みたいに、外に飛び出すな。
みたいに、この小説の賢治の詩は、怖いし、わからない。

過去情炎。

時々思うのだが、私たちの心って、どこから来るんだろうって。勿論、自分が経験した出来事や、その時感じた思いが、より重なってできるんだろうけど、もしかして、死んじゃっても、その死者の情念みたいなものは生きていて、それが生身の人間の中にこそっと忍び込むんじゃないかと。
だって、見たこともないものを、今初めて見て、ああ懐かし、て思うたり、おお嫌だ、て思うたり、不意に知らない話が下りて来たり、この話知ってる、とか思ったり。ないですか。そんなこと。ことによると、今、私らの周りには、そういう情念の見えない塊がふわふわふわふわ浮いていて、それをすっと吸っちゃうと、時に体との相性が良すぎて、自分の心が過去の誰かの情念に絡め取られてすり替わっていくんじゃないかしら。

おお、怖! いやあ────!!

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