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創作とほほ日記10


ユーモアについて。
丸谷才一さんが、どこかで小説にはユーモアが必要だ、と書いてました。
ユーモアているか、と読んだ当初は思いました。若いからトンギッテるんですね。
で、小説書くようになって、ああいるなって思うようになってきました。
笑いなしで、真面目一方でお話を進めていると、限りなく苦しくなります。物語のテーマに真摯に向き合うことは、勿論大切なんですけど、ずっとそればかりだと、深海に沈んでゆくみたいで、苦しくなります。空気が欲しい。書く方が苦しいんだから、読む方はそりゃもうたまったもんじゃないてでしょう。

大江健三郎の「万延元年のフットボール」の冒頭で、お尻にきゅうり突っ込んで顔赤く塗った人物が紹介されますね。初読の時は、これは何のメタファーなんだと真面目に読みましたが、最近は大江さんが陰から「おいおい、ここ笑うとこ」て言っるように思います。違うか。
他にも、村上春樹さんの「やれやれ」や吉本ばななさんの「とほほ」は笑かしにきてると思います。こういうくすぐりは、長いものを読んでもらう時に必須だと私は思うようになってます。
勿論「創作とほほ日記」の「とほほ」は吉本ばななさんからきてます。「とほほ」素晴らしい。「やれやれ」「とほほ」ときて、後なんですかね。「ゲゲゲ」「ラララ」「レレレ」てありましたよね。私としては、どうしても後ひとつ欲しいところです。て何書いてんだか。

でも、ユーモアって難しいですよね。下品なのは小説全体の品を落とすし。エスプリの効いた会話、とかカッコいいですけと、書けません。ところでエスプリてなんですか。フランス語ですか。機知、知性、才気とかですか。なんか頭良さそうです。チャンドラーとかがそうなのかな。チャンドラー、アメリカ人ですよね。「カサブランカ」とかですか。これもアメリカ映画か。フランス、フランス。フランスの小説読んでないなぁ。映画だと「男と女」とかですか。でも、あの映画、よくわかりませんでした。あ、ゴダール! もっとわかりませんな。

ところで、私、自慢じゃありませんが、何が苦手って、雑談が一番苦手です。なんで大人はみんな、(私も大人ですが)、特に親しくもない人と雑談できるんですかね。不思議です。だいたい雑談て何ですか。意味のない話で場を持たせるのだって大変なのに、その上、ユーモア、エスプリ、ウィットとか、なにごとですか。雑談に、機知、知性、才気が必要なんですか。んなこと、できるかあー! 

て、とこですが、小説って雑談めいた会話もいるんですね。そう言う場面、書いてたら出てきます。必要なことだけ書いてたら、粗筋みたいになっちまいますからね。登場人物に血を通わすためにも必要です。が、雑談て読んでるとき、書いてる時は尚のこと、退屈に傾くんですよね。ああ、つまらん! そんなんいいから、話進めろ、みたいな声がどこからか聞こえてくるんです。
ですが、ホンちゃんの作家さんてのは、偉いもんで、何気ない会話と描写で場を持たせちゃうんですよね。読みどころが、そこって作家さんさえおられます。庄野潤三なんて、まさにそうですな。読んでると、全く読書の愉楽です。でもって、特段テーマもないような。でも面白い。「夕べの雲」とか。

じゃ、そんな腕のない人間が、どうやって何気ない会話を持たせるか。絶対じゃないですけど、その大きな武器になるひとつが、ユーモア、笑いだと思うんです。だから私は、作品にもよりますが、積極的に入れようと思っとります。滑るの覚悟で。てか滑ってますが。とほほ。

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