マッハGoGoGo(1967)/チキチキマシン猛レース(1968)
家に車はなかった。親父はスーパーカブに乗っていた。保育園の頃、私の夢はタクシーの運転手になることだった。
車は夢であった。
幼い頃、二本のアニメを見て私は心踊らせた。「マッハGoGoGo」車がマッハで走るのである。いや、今考えると、マッハではないが、とにかくマッハほど速いのである。マッハって何だ?! 幼い私は心を痛めた。兄貴に訊くと殴られた。兄貴は自分がわからんことを訊かれると、必ずなぐった。いや、それはいい。とにかく主人公の決めポーズがアメリカなのである。ガールフレンドもアメリカなのである。なんか凄いのである。ピンチになるとジャンプするし、丸鋸だって出る。車とはえらいもんだと思った。家の前の通りは、オート三輪がまだ現役で黒煙をあげて元気よく走っていた。
そして、「チキチキマシン猛レース」である。アメリカのアニメである。後年、ハリウッド映画で似たようなのがあった。たしか「キャノンボール」とか言った。チキチキマシンの真似であった。ジャッキーチェンが日本人役で出ていた。
ずっと後年、世界中でピコ太郎が流行った。古坂大魔王の別人格である。その顔を見て、私はすぐに「あっ! ブラック大魔王だ」と思った。うん。わかる人だけにわかると思う。私はそれに気づいたとき、犬のケンケンのようにクククククいうて笑うた。わかる? わかんねーだろーなぁ。
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