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萬御悩解決致〼 第一話⑨

さっきの圭介の話を思い出す。
「今週の土曜日に、野球部の春季大会が始まる」
「そうだ」と俺が答える。
「他の部は?」
「知らん」
他の部に関心は、ない。
「掲示板に春季大会の予定が貼ってあるわよ。だいたいどの部もおんなじだったと思う」と奈央。
「そうか。全く知らんかった」
 圭介は続ける。
「じゃ、どの運動部でも今月半ばから後半にかけて地区予選が始まるってことか。勝てば土日祝日、負けるまでエンドレスで都、関東、全国と試合が続くわけだ」
「心配すんな、すぐ終わる。うちの運動部はたいがい一回戦か、よくて二回戦負け。試合に追われることなんかねえよ。四月に春季大会の予選して、六月に夏季大会の予選して、んで1学期は終わり。さて、そっからさ、そっから俺たちの代のチームがーー」
「んなことは、どうでもいい」と圭介。
「なんだと!」
「またぁ。いちいち突っかかてたら、すぐ四時になっちゃうよ。圭介も余計なこと、言わない!」
 二人、反省。
「で、それがなんなの、圭介」
「つまり、早々に負けるということは、大会の季節にまるで盛り上がらないってことだ。五月の半ばに運動会の練習が始まって、やっと学校に少し活気がでてくるのが、毎年のパターンなわけ」
「思い出した。去年もそうだったよな。中学って、えれぇ暗いとこだなぁ、つて思ってた」
「言われてみれば、そうね」
「だから、この退屈な四月を僕たちで盛り上げる」
「んなこと、できんのか? 三人で?」
「ていうか、相良はどうなったんだよ。相良は! あいつを懲らしめる作戦じゃねえのか」
「おいおい分かる」
なんか余裕ぶっこいてんな、コイツ。失敗したら、お前も公衆の面前で愛の告白させっからな、ゼッタイ!

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