東野圭吾のこと
言わずと知れたベストセラー作家である。出せば売れる人である。一時期、熱心に読んでいたが、今は余り読まない。読めば必ず面白いが、あの三作を越える作品に出会えないからである。
三作とは、
「秘密」
「白夜行」
「容疑者Xの献身」
いずれも傑作だ。それぞれ映像化されていて、これがまた全ていい。ちなみに演者は
「秘密」小林薫、広末涼子
「白夜行」山田孝之、綾瀬はるか、武田鉄矢
「容疑者Xの献身」福山雅治、堤真一
「秘密」の広末涼子は映画初主演。もうこれやったんだから全て許す。くっつく男が全部変テコでも、全ては許される。旦那役の小林薫はナイスキャスティング。彼以外考えられない。
「白夜行」は映画版もあるが、TV版を取った。この小説は、物理的な長さを感じることが大切だと思うからである。主演二人は勿論いいが、鉄矢がいい。こういう役は持ち前の性格の悪さしつこさが滲み出て、いい。
「容疑者」はなんと言っても堤真一がいい。この人はほんと上手いなあ。小説が直木賞を取った時、井上ひさしがケチつけたが、そんなこと言ったら推理小説なんか書けない。ジャンル小説のお約束に噛み付くって。
ミステリーなんで筋には触れないが、圧倒的である。三作が出終わってから、それを越える東野作品に出会えない。勿論一定の水準、それもかなり高い水準は越えている。が、まだ物足りないと感じてしまう私の我儘が、いつのまにか距離を置く結果となった。
洛陽の紙価を高める作品がでたら、また読もう。
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