ちょっとした機会がグンと人を成長させる|2023にちなん起業体験プログラム④
急に寒くなりました。このまえまで20℃超えてたのに、週末になったら本気出すってどういうことよ。
この投稿は12/19(火)に行われていますが、内容は12/17(日)のもの。今回は『にちなん起業体験プログラム』最終回のお話ですが、その前に別の話を。
実はこの日はゼミ2-3年生は西鉄大橋駅西口のクリスマスマーケットに出店してました。恐らくプログラム市場最も寒く、雪舞う環境の中でそれぞれ趣向を凝らした商品を販売。
当ゼミでは3年生に「社会課題をビジネスで解決する」ことをテーマにさまざまなプロジェクトが立ち上がる。今年で言えば離島でコスメを作るメーカーさん(J-Startup Kyushuに選ばれる1社)だったり、地域の中小企業のSNS運用だったりを行ったりと相変わらず地方に出て何かをするものがある。
一方で、このプロジェクトは某ラーメンチェーン店の元従業員であったNさんからオファーを頂き、学生に声かけをして始まったプロジェクト。最初は不振店舗の再建を依頼されたが、なかなか味も固まらずに出店が12月にズレ込んだ。が、その分さまざまな協力者を得て、なかなかなお味の素晴らしい油そばが食べられた。
また、ここにメンバーの1人が担当した福岡女子商業高校(女子商)の生徒がわざわざ来てくれて油そばを食べて帰った。「先輩たち見てたら私も福大行きたい。けど、成績足りないし」なんて話をしてはいるけど、「そのために簿記勉強しておこう」という前向きな話も聞こえてきた。やはり身近なロールモデルの存在は重要だと言えよう。
一方で、2年生は商品をガラりと変えてホットチョコレートに。ここまで来るのに紆余曲折はあったが、無事最終営業日に辿り着いた。これまでの商品群を全くべつにし、新たな挑戦に切り替えて今日の日を迎えた。
またこの日は昨年講義を実施した博多工業高校のワークショップが博多阪急であり参加。クリスマスツリーの木型に色を塗り、思い思いの部品をつけて可愛らしく仕上げていた。
担当の先生ともお会いするのは久しぶりのこと。その後の学校で起きていることを聞くと非常に残念な気持ちになり、一方で申し訳ないことしたなと反省。特に他の高校と活動する、実際に販売するという体験がNGだったということで、成し遂げた成果はいかに評価されるんだろうか。ちなみに、今年はできなくなったという流れを受けて、授業を受けている生徒が校長に直談判に行ったのだそう。どこかでも聞く話(笑)
先生、ご迷惑をおかけしてごめんなさい。
そんなこんなで年の瀬もだんだん迫る直前にオンラインを結んで行った授業が「にちなん起業体験プログラム」。ここまで男性1名、女性2名で進めてきたが、今回の最終発表会は女性2人なった。果たしてどんなイベントだったのでしょうか。ちょっと覗いてみましょう。
ここまでの「にちなん起業体験プログラム」のまとめは下記のノートからご覧ください。
油津キャナルマルシェでの営業成果
今回のプログラム、メインイベントと言えば販売体験。当初は10月の飫肥城下まつりを予定していたが、変更になり11月の油津キャナルマルシェに変更。高校生たちがデザインして販売したキーホルダーやTシャツ、洋菓子店CoCoの洋菓子セットの2カテゴリーを主に販売。
洋菓子は地元でも評判のお店ということもあり、仕入れたら売れるという入れ食い状態。一方、Tシャツやキーホルダーはかわいらしいデザインで、サイズさえあれば購入したのにという声もありつつ(SMLではなく、XLが欲しいとの声多数)なかなか販売に繋がらなかった。単価2,500円は中高生にすれば高いとなってしまい、どう売っていいかわからなかったようだ。これが論点の1つ。値決めの難しさ。
続いて、「営業する」ということ。自分たちのことを誰も知らないという状況からスタートして、誰にどう自分たちの存在を知ってもらうか。思春期の中高生にこれはハードルが高い。売上や利益にコミットする前に「恥ずかしい」が勝ってしまう。これは(違う形であるにせよ)他の高校でもあるもので、ここで勝負しきれないという傾向は一定のパターンで見られる。断られるというのは精神的にも来るし、本当は構って欲しいのに斜に構えている高校生たちには辛いのだろうなと想像する(大学生も同じ)。
最終回はふりかえり
そうこうして迎えた最終回。本来であれば最終回は11月最終週の予定だったが、インフルエンザだったり、入試もあって延期。この日に振り返りを行うことに。午前中はこの授業の後に開催される報告会の資料作りをメインで進め、午後は「スプラウト」の最終回。
まずはこれまでの授業概要全体の話。①アントレプレナーシップとコレクティブ・ジーニアスから始まり、②理念→戦略→計画、③組織と個人、④会計と予算策定という流れでこれまで話してきた内容を振り返った。
授業として知識を提供するというのはもちろん、本プログラムの肝はその知識を使って実際に課題を解決するチャレンジをすること、試行錯誤をすること、失敗する、誰にも振り向かれないという状況を受け入れながら、自分たちの持つ価値をいかに提示するか通じて、アントレプレナーシップ教育が目指す人材像を形にする仕掛けが一通り詰まっていることにある。
しかも、それを地方都市で行う意味があると考えている。地方経済が回らない理由は地方にお金を落とす仕組みが変わったから。自分たちが生み出した付加価値を自分たちで自己決定して分配するのか、大手企業に商品を卸す一業者として、 あるいは労働力を提供する従業員として付加価値の分配を受ける側に回るのかでは全然違う。
自分たちが価値を生み出し回していくことで豊かな生活ができる。ここに鍵があると考えている。
こうした話をしながら、彼女たちが今回何を学んだのかを話してもらったが、とても力強く、自分の言葉で意識して話をしていることを強く感じた。
また、地域だから、地方だからできるチャレンジに、先日出会ったある研究者に登壇して頂いた。北海道出身で長崎大学に進学し、今は茶業の進化のため、ドローンを使ったお茶の育成状況の観察技術を作ろうとしている小形さんだ。15分ほどの短い講話だったが、中高生の周りにもこうして新しい技術を使って課題解決を図ろうとしている人がいることを知ってもらうことで、生まれ育った故郷でできることはないか、仕事を作れないかということを考えるキッカケになれば嬉しい。
最終報告会
授業後は最終報告会になった。あいにく報告会には参加できなかったが、プログラムに関わってくださった皆様を招いて2人の報告会が行われた。
事業としては赤字決算になってしまったけれども、あとシャツが1枚でも2枚でも売れていればというところまでは頑張った。初日の営業報告を聞いた時にはどうしようかと思ったが、周りのメンター団(運営する皆様)も口出しせず、彼・彼女たちが一皮剥けるタイミングを見ようと見守ってくださった。
それがふりかえり時に気付きとなって表れ、中学1年生の女子生徒はそれまで以上に自分の言葉で力を込めて考えを述べるようになった。報告会に来られた彼女が通う学校の校長先生も、その様子をご覧になられて驚いていたそうだ。もちろん日常生活の中でも多くを学んでいるのだから、当プログラムだけがポジティブな影響を与えたとは言わないが、人と関わるというのは人を良い方向へ作り変えるキッカケになるのかもしれない。
最後は修了証の授与が行われた。わざわざ宮崎市内から参加してくれた高校3年生は来年4月から大学生。志望校に無事合格し、新たなステップを踏み出す。ぜひ次年度以降、機会があれば学生側の講師として参加してください!(笑)
プログラム全体を通して
これにて「にちなん起業体験プログラム」は終了。
今回は参加者がこれまでに比して少なく、開催が危ぶまれたものの、なんとかゴールまで辿りつくことができた。加えて,高大連携アントレプレナーシップ教育プログラム「スプラウト」としては,初めての学校以外での開催になったこともあり,十分行き届かなかったこともあるかもしれない。これも関係者の皆様のおかげであり、無理な提案を引き受けてくださったことの成果。
ただ,参加人数が少なかったことで,福岡の学生も日南の「ことろど」側と合わせて生徒1人に対してしっかりとしたサポートができたことで,アットホームな雰囲気でプログラムが進んだとも言えよう。それでも,顧客接点=出店のところでもっと工夫が必要だったかもしれないし,もっとできたかもしれないねという「商売」をしているからこそ,ちゃんと指摘しておかねばならないことも伝えられた。この経験を中高生はどう未来に繋げてくれるのだろうか。
大学生も忙しい中、日南まで複数回通ってくれて、オンライン授業だったらなかなかできない現地との交流もできたことで、いろんなつながりもできただろう。最終報告会が延期になったことでイベントが重なったのは残念だったが、こうして形になったのは学生の力に寄るところが大きい。
もう少し続けたいところではあるけれども,果たしてどうなるか。うーむ。
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