イベント名は「壱岐エテマルシェ」に決定!|2022壱岐商業高校×とびゼミコラボ授業⑫
昨日(7/14)は1ヶ月ぶりの壱岐。2週続けての離島での仕事。
今回は8月末の勝本浦での出店準備と壱岐商業高校でのアントレプレナーシップ授業1学期最終回でともに出店頂くTANEMAKI by SPINNSから宮崎さん(みやぽよ)が来島して直接高校生の様子を知りたいとのことで訪問することにしました。
今回の出張は1ヶ月前から決まっていたのに、なんとチケットのオンライン予約をど忘れ(もしかして出張申請も忘れてないよな(笑))。朝にそれに気づいたものの、乗船率は3-4割で余裕を持って着席できました。
出店前最後になる見込みの出張。今回は出店へのご協力のお願いやコワーキング・スペースの運営会社を訪問したりと新たな出会いもありました。授業と合わせてこちらも報告しましょう。
前回までの壱岐での活動の記録はこちらをご覧ください。
壱岐商業高校での1学期最後の授業
8:00に出港した高速船は70分で壱岐・郷ノ浦港に到着。そこで壱岐みらいサイトのMさんと合流し、一路高校へ。授業は2時間目の9:55からの50分間。今回は夏休み前最後の授業ということでスケジュールも盛りだくさん。果たして完遂できるか。時間との勝負に。
みやぽよさんによる授業:TANEMAKI by SPINNSとのコラボ出店に向けて
冒頭5分ほど私から話をして、今回の主役みやぽよさんにバトンタッチ。
みやぽよさんからは自分がSPINNSで働くことになった理由、これまでの仕事、そして今取り組もうとしていることについてお話頂いた。
そのあとは今回の仕入商品の選定に。8月末ともなれば暦の上では秋。みやぽよ曰く服を売るのが難しい季節だそう。半袖を買うには遅すぎるし、かと言って長袖でもない。まずはSPINNSの店舗にあるディスプレイの写真を見ながらイメージを膨らませる。
男子も女子も目をキラキラさせながら写真を見ている。どんな服を着てみようか。どんな服を売ろうか。アパレルチームだけでなく、カフェを運営するチームと一緒に選んでいく。
ここでみやぽよさんから問いかけをしたらしい。「この服を買ってどこ行くのかな?」と聞くと、高校生もハッとしたそう。先日も書いたように、島では友達と外に出かける機会がない。交通手段が限られているし、島内移動は親の運転する車。溜まり場的な場所もないし、行くとしても友人の家になってしまう。
が、これも事業機会に見えてしまう。無いのであれば創れば良い。そもそも壱岐島内では最も北で遠く感じる勝本で商売をしようとし、今回の出店を通じて高校生がファッションを楽しむ場所を創り、友達と出かける機会を創ってしまおう。もしかしたら企画倒れになるかもしれないけど、一度やらなきゃどうなるかもわからない。
こうやってそもそもは高校生が壱岐に暮らしていて感じている課題からスタートし、それを解決するための方法を実践し、1つずつ形にしながら、できることが何か、どういう工夫をしていけば良いのか、商売を通じて学べる機会ができていく。こういう高校生起点の内発的な学び方を創ることができているのは望外の喜び。
イベント名を決めよう!
続いて今回のイベント名を決める。これは7月の最初の授業から懸案になっているもので、アイデアがいくつか出ては消えていき、袋小路に陥ってしまっていた。
今回のイベントが服をもたらすものだから「ふくふく」だったり、壱岐とイキイキをかけてみたり、学生が設定した今回のプロジェクトのビジョン・理念から連想してみたりするものの、なかなか決まらない。決め手にかける。
ただ、「マルシェ」という響きは気に入っているようで、島の名前の「壱岐」とマーケットを意味する「マルシェ」は入れたいと。では間に何を挟むかとなって、言葉を探していく。が、高校生がそれほど語彙を持っていないのもあるので、「夏」を意味する言葉を調べようということに。そこで出てきたのがフランス語で夏を意味するétéから「エテマルシェ」と名づけることになった。
こうして命名は終わったら、次は告知。次回(夏休みの補習日)までの課題として広報活動をどう行うか、Instagram等のSNS運用の準備を進めることに。ポスターとか、動画とか、ビシッとカチッと良いものを作ってくれるといいなぁ。
こうして高校での授業が無事に終了。当初の予定のいくつかは実現できなかったが、高校生の豊かな発想力や周りの大人や学生のサポートもあって夏休み中に実践機会をもうけることができそうだ。ほぼ毎週火曜日2コマ100分の授業を創る学生も大変だろうが、とりあえずはここまで来れた。本当に無茶をする私にお付き合い頂き、学校の先生方にも改めて感謝。
出店打ち合わせのために勝本浦へ
授業後,今回の出店場所の下見と調整のために勝本浦へ。今年に入って何度も訪れている場所だが,古くから大陸との海路における重要な中継点であり,立派な遺構と街並みが残されている。
そうした街並みは往時の反映を物語るものだし,建ち並ぶ住居を見ても一工夫されている。積極進取の気風とも言えるのだろうか,今では漁港となっているが,その昔は航路もあり行き来が盛んだったらしい。
そうしたこともあり,今回出店する場所にもいろいろと言われがあるそうだ。
今でこそ当該物件は商工会の管理するものになっているが,その昔は映画館だったり,島内初のスーパーがあった場所だったという。その後,鮮魚店とお土産物屋へと改装し,時代とニーズに合わせて業態を変化させてきた歴史があるのだとか。
こうした話を聞けるのも,高校での「起業体験プロジェクト」の木曜日をご担当頂いているMさんが現在島内でダンススクールを経営する平田さんと出会う機会があったからこそ。Mさんが別の高校で呼ばれた講話で知り合った中でこのイベント(エテマルシェ)の話をし,出店場所について説明したら「いや,それ元々うちの実家のお店でして」みたいな嘘のような本当の話,偶然が重なりに重なっている。
なんかここまで来たら,誰かに呼ばれていたとしか思えない(笑)新型コロナウィルスが再び蔓延しそうな雰囲気だが,無事に8月の出店を迎えたいところ。果たしてどうなるか。
壱岐の面白い人たちとの出会い
そうこうしている間に昼になり,午後からは島内のさまざまな方にお会いする時間になった。
まさかまさかの再会
勝本浦から移動。壱岐で最も大きな商業施設であるイオンの視察を兼ねて、ランチはまた芦辺浦のチリトリ自由食堂に伺った。
扉を開けて店に入ると知った顔の男性が。別件で調査などでお世話になっている酒造メーカーの役員さん。この日は仕事が休みで家族で食事に来られていたそうだ。
今回は前回食べそびれた名物「鯵カレー」を頂くことに。ただでさえ辛いのが好きなので,スパイスを追加して辛みを増し,食後には口直しにラッシーを頂いた。
やがて食事も終わった頃,今度は福岡でご一緒し,現在は壱岐で暮らすSさんとバッタリ。聞けばすぐ近所のシェアハウスに住んでいるのだそう。そこには一緒に仕事をしているGさんもお住まいのこともあり,家を見学することに。定住者だけでなく,短期でも滞在できるようにとスペースが作られていた。
いや、まさかまさかの再会。こういう偶然が起きるのも地方の面白さなのかも。
好きが高じて起業?!
続いては郷ノ浦に戻り,イチノ珈琲焙煎所を訪ねることに。
私自身もコーヒー好きなこともあって以前から気になっていたこともあり,通販で豆を購入していた。同様にコーヒー好きな妻氏にも淹れて飲んだところ,とても美味しいとのことで,あっという間に買った豆が無くなってしまった。そうした話を学生にしたところ,「せっかくだから地元のモノを使いたい」とのことでぜひ豆を仕入れたいという伝言を預かっていた。
なので,私には重要な使命が課せられていた(笑)。そこで恐る恐る店内に入り,オーナーに声をかける。
上記リンクにあるように,オーナーは奥様が学校の先生をされており,離島での教育を維持するために先生方は順番に離島勤務をする時期があるのだそう。奥様の異動に合わせてお子さんと一緒に壱岐に住み始め,これまた新型コロナウィルスの影響で何もできないでいたところ,趣味の焙煎に火がついて珈琲店を開業してしまったのだそう。が,奥様はまもなく地元の島原に戻ることも決まっているので,島原と壱岐での2拠点生活をするのだそう。
ひょんなことから始まった起業。でも、商売ってこういうことかもしれない。メルカリのようなC to Cでの小遣い稼ぎだって商売っちゃ商売。そこには生活するなり、お小遣いを得るなりしても、ある程度知恵がいる。その知恵をどう使うか、何のために使うのか、どうすれば事業を通じて付加価値を生み出せるのか。ご本人は謙遜されていたけれども、商売を創る理想的な形。
めっちゃロックな感じがして、それでいて売っているコーヒーは雑味がなくて素直な味。ここのコーヒーは抜群にうまい。
コーヒーを頂きながら今回の出店に合わせて主旨を説明したところ,ご厚意でいろいろとご協力を頂くことに。オーナーも「またいろいろとお話しましょう」と温かい言葉をかけてくださり。8月末の再会を期してお店を後にした。
壱岐をチャレンジができる島に
船の出発までまだ少し時間があったので,続いて郷ノ浦に新たにできたシェアオフィスと電動トゥクトゥクの視察に。現在,壱岐市はワーケーションの設備充実化に向けて島内にシェアオフィスの展開を進めているそう。
郷ノ浦にある「クロスポート武生水」は元々JAの出張所だった建物をリノベーションして作られている。社長のAさんにご案内頂いたが,個室(2万円/月)だったり,会議室(将来的にはオフィス運用に)などが整備されている。
写真を取りそびれたので建物内の様子は下記のリンクを御覧ください。
また,壱岐をチャレンジの島にしたいという思いもあるそうで,手軽で小回りが効く交通手段として電動トゥクトゥクを導入して,いろいろと検証を重ねているそう。
パッと来ただけなのに手軽に試乗の機会を頂けた。
わずか10分弱の体験だったが,風を切りながら走る疾走感がたまらなかった。さすがに島内を北から南まで走り切るというのは厳しいかもしれないが,壱岐島内でこうした乗り物が縦横無尽に走る時期もそう遠くはないのかもしれない。
社長さんとも少しお話したが、「壱岐をチャレンジできる島にしたいんだ」と仰っていた。確かに頻繁に足を運びながら感じることでもある。
多くを学ぶ機会に|出店まで実質あと1ヶ月
以上で今回の出張は終了。無事にタスクを終えてホッとした。
ところで,アントレ授業に関連すれば,高校生はまもなく夏休み,大学生は定期試験となる。授業を終えて一息ついてはいるけれども,学生には定期試験勉強をしながら高校生との出店準備をすすめるというハードスケジュールになる。おまけに日田での出店も控えているので,同時並行的にいくつかのプロジェクトを抱えることになってしまう。本当に申し訳ない。
地域に若者がいない,特に18歳から22歳の人材が不足,ロールモデルがない,働き手がいないという話をどこでも聞く。それに対して,高校生や大学生との取り組みについてお話をすると,壱岐に限らずさまざまな地域の方がしっかりと聞いて下さる。今回で言えば,イチノ珈琲焙煎所のオーナーは強く関心を持ってくださった。
出店にご協力頂く地域,商店の皆様にも新たなことを我々のような島外の人が来て行うことに賛同してくださっている。実はもっと抵抗があるものだと思っていたが,まちづくり協議会の担当者からは「そういう機会を待っていた」のだそう。
エテマルシェまであと実質1ヶ月。本当なら現地に頻繁に足を運んで準備を進めたいし、直接関与して動きたいところだが、なかなかそうもいかない。きっとこの後も今予想もつかないトラブルが発生しそうで怖い(笑)無事当日を迎えられるためにできることをしっかりと進めていきましょう。
余談
まだうまく言語化できないのだけれども、地域には何もないのではない。あるものを見せることができていないだけ。20世紀的な物質的豊かさをベースに考えれば確かに何もない。いや、あるにはある。長らく島で暮らしてきた高い年齢層の人々に最適化されたビジネスと今は来ていないインバウンド向けのドラッグストアと昔ながらのお土産をベースにした観光産業が。
では、それに対して高校生はどう感じているのだろうか。ネットで買い物できるし、家を出なくても友達と繋がっていられるし、不自由に感じることは少なさそう。どこまで「つまらない」のだろうか。福岡のように思いついたら買い物ができる、テレビやネットで見るモノがそこにあるということへの憧れはあるのだろうけれども。
みやぽよさんとも話していたが、「地方」を楽しめて生活の場にできるのは20代がむしゃらに働いて、すこし疲れてペースダウンをしたい30代以上に人だろうと。あくせくして働くのではなく、余裕を持って生活ができる環境。それを高校生に理解しろというのは難しい。余裕、余白が価値だということに気づけるのは相当レベルが高い。
壱岐の人々の暮らしを改めて学ばなければいけません。壱州人辞典、また読もう。
あと2学期の授業を組み立てることもそろそろ考えていかなければいけませんね。進路決定の大事な時期でもあるので、気を遣ったマネジメントも必要に。
やることいっぱいあるで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?