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学生とともに勝ち取った栄誉|2024スプラウト大分・宮崎・鹿児島②

昨日から北海道に来ています。

日本会計教育学会全国大会が小樽商科大学で開催されるのに合わせ、昨日の理事会、本日の大会に出席しています。

そこで、学会賞を頂くことになりました!

賞を頂くの図。

パチパチパチ。

対象となった論文は「アクティブ・ラーニングを通じた管理会計教育の効果測定 ―高大連携アントレプレナーシップ教育プログラム『スプラウト』からの知見―」で、2022年に福岡女子商業高校で実施した調査をもとに教育効果測定を行ったものです。これはアントレプレナーシップ教育をベースにし、その効力感を構成するスキルセットの中に会計リテラシーや計画策定能力があり、授業前後でそれらのスキルが身についたのかを高校生に尋ねた調査結果です。

これまで細々と続けてきた活動をこうした形で評価してくださり、本当に感謝しています。また、『スプラウト』はゼミ生、OBOGがいなければ成り立たなかったわけで、彼・彼女たちにも改めて感謝します。ありがとう。

さて、それはさておき、その学会の裏ではこの後期からゼミに入ってきた2年生のデビュー戦が行われていました。ゼミ13期生の2名がそれぞれ組織と会計をテーマにした授業をしたようです。今回は出店がいよいよ近づいてきた3地域(大分・宮崎・鹿児島)への授業とちょっとした余談を書き記します。

なお、これまでのスプラウト大分・宮崎・鹿児島の動きは以下のマガジンをご参照ください。

緊張を感じさせない順調なスタート

今から10ヶ月前。2023年12月におおいた起業体験プログラムが立ち上がった。その時に授業を初めて担当した3年生。現在の4年生が中心的役割を果たしてきた昨年もプログラムがいくつも立ち上がって苦労しただろうが、今年は今年でゼミ全体の活動としてスプラウトを位置付け、九州全域+島根県出雲市まで活動範囲が広がったことで絶え間なく授業が行われているのをなんとか耐え忍び、ここまで来た。もう10ヶ月と言うべきか、まだと言うべきか。いずれにせよ、彼・彼女たちも3年生後半戦に差し掛かり、少しずつ新たな戦力整備が必要な時期になってきた。

そんな中、この3地域のスプラウトは授業回数が少なく、オンライン上で高校生とのコミュニケーションが必要になる難しさはあるものの、対面で30人以上の人前で喋るに比べれば精神的負担が少なかろうということで、2年生の経験に最適だと考えている。来年度に向けた準備も少しずつ進めていくことも必要だし、少しでも授業ができる学生がいた方がいい。そこで白羽の矢が立ったのは、女子商や苓北での授業にすでにサポート役として入っている女子学生2名。

経営学の基礎で絶対勉強してるであろう組織の要素。

どうやら今回は1人が組織,1人が会計と役割分担をして授業準備をしたようだが,何回か話を聞いているのもあってか,淀みなく冷静に授業を進めていた。教室で生徒の顔を見ながら授業をするとなるとまた緊張感があったのだろうし,当該学生が「もう緊張で声を絞り出すのが大変で」というようなことをふりかえりで述べていたが,まったくそのようなことを感じなかった。

あんまり期待しすぎると本人たちがプレッシャーを感じてしまうだろうが,これまた振り返りで上級生が述べていたように,堂々としっかりと伝えるべきことが伝わっていたように思う。もう今やゼミの伝統芸能と言えるかもしれない。全体の底上げが図れる手応えを感じる。

グループワークの内容も進化

こういう人員面での進化だけでなく,他地域展開のポジティブな面はさまざまな顧客(受講生),出店機会の創出,リアリティを持たせるための新たなグループワークの構築など,授業内容そのものへの好影響もある。

経営計画のシミュレーションのためにワークショップを準備。

とりわけ,大分・宮崎・鹿児島のスプラウトではたった2回の授業で伝えきらなければならない。自然と取捨選択を必要とする。そこで,授業を円買うに進めるために作成したスプレッドシートを活用することにした。

ワークだけでなく、シミュレーションをする表まで準備。

特に実際に商売をすることを考えると,どこまで見積もりを行うかも重要。この「スプラウト」では損益分岐点分析を教えずに経営計画を作ることを高校生に求めており,変動費や固定費という言葉を使わずともどれだけ儲けを得られるかを視覚的に,直感的に捉えられる仕掛けが必要になる。そこでGoogleスプレッドシートを活用して各チームごとにカフェで模擬的な計画を立てたあと,自分たちの出店計画を練るようにと授業が構成されていた。

さすがにここのファシリテーションは3年生が進めていたが,高校生が議論しやすい内容,イメージしやすい価格帯,意見を出しやすい環境づくりなど,一日の長がある。各地で関わってくれている大学生も高校生とコミュニケーションを取りながら,順調に授業が進んでいく。

そのアイデアをグループで発表

限られた時間の中でも高校生は伝えたい内容の本質的な部分を理解できていたようで,特にカフェのシミュレーションではそれぞれの地域でさまざまなアイデアが披露された。あるチームは駅前で多くの人が行き交うから回転率で勝負と言えば,別のチームでは商品にこだわりを入れたり,対象顧客を絞り込むなどして差別化を図ろうという提案をする。

こうして授業はあっという間に終了時間を迎えることに。たった2回の授業だったが,高校生はどう感じていたのだろうか。また,今回サポート役として入ってくれた大学生はどのように感じていたのだろうか。

今回も多くの学生に関わってもらってます。

どうしても物理的な距離があるので会って話をするというのはなかなか難しいかもしれないが,どこかの機会でみんなで集まって打ち上げ的なことをしたいものだ。

あ,そうだ。ちょっと悪いことを考えた(笑)

ふりかえりと新たな展開?

こうして終了した今回の授業。

今や大学生だけで授業が進んでいく状況を作ることができた。内容の検証はしっかりしなければならないが,円滑に講義を行い,ワークショップをファシリテーションし,高校生に何かしらの学びを伝えることができるレベルまでは来た。もう少し形式化や正しく理論や知識を理解したり,学生自身が深堀りして考察するところまでやりたいが,いきなり全部を求めることは難しい。現状で十分満足できるし,多拠点展開が進められているのは彼・彼女たちのおかげ。壱岐や人吉でプログラムを一通り経験し,到達点に達することによって何が見えるかがわかってきたことの効果もあるだろう。今や,プロジェクトリーダーは2年生の育成もできるようになっている。

今日デビュー戦の2年生も出来不出来について見解はあるだろうが,先輩たちのサポートを受けながら授業を経験したことで,心理的ハードルが少しは下がったのではないか。あとは経験をすること,大学の講義やゼミ,課題図書を読みながら学びを定着させることが重要になりそう。この段階で2年生が授業できるというのは心強い。

とある食事会での私

スプラウトの最も大きな課題は講師確保にある。学生の負担を下げながら,どうして他地域展開を進めていくか。そのヒントをとある食事会で得ることができた。

スプラウトの強みは,①地域の若い人材にリーチできること,②経営学・会計学の基本的な知識をある程度体系的に身につけることができること,③学生にとって講義を行うことでファシリテーション能力が身につくこと,④講師役の大学生と中高生が共創的に学べること,などが挙げられるだろう。

そうした中で,地域の中小企業が採用と人材育成に苦労していることは既知だが,これをスプラウトを使って解決できないかという話。

もちろんこれをやるには多くの課題があるが,やってみる価値はありそう。来年度にそうしたチャレンジをすることを含めて,現3年生には当座残りのプログラムの安定運用はもちろんのこと,講義マニュアルの整備を進めるように伝えよう。研修プログラムとして形式化することができれば,講義の担い手として若手社会人が関わるという選択肢ができる。それはすなわちどの地方でも,大学生がいなくても,社会人が中高生のロールモデルとなることを意味する。そして,中高生はロールモデルを見ながら,自分のキャリアプランを描くことができる。それはすなわち,自分の街の経済の一端を見ることにつながる。

なんか,希望が見えてきた。よし,もう少し頑張るのだ。

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