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鹿セーム革の論文について

少し古いですが、2011年に日本鹿セーム革の消費性能に関する研究という論文が発表されている。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjds/2011/1/2011_1/_pdf/-char/ja

この論文内では以下の消費性能について述べられている。

  1. 耐摩擦傷性

  2. 脂汚れ取り性

  3. 耐繰り返し洗濯性

  4. 摩擦係数

またこの実験に用いられた素材は以下の通りである。

  • セーム革1

  • セーム革2

  • セーム革3

  • 極細繊維製フェルト

  • 極細繊維製メガネ拭き

  • ティッシュペーパー

  • 綿製フェイスタオル

私がこの論文内の注目している点

ここで私が注目している点は1.耐摩擦傷性と2.脂汚れ取り性である。

カメラレンズやメガネなどの光学機器汚れを取る際に母材である物を傷つけてしまっては、元も子もないからだ。
メガネの場合、傷をつけてしまうことにより光の乱反射が起きてしまう為、見え方に影響を及ぼす原因となる。またそれにより、眼精疲労の原因にも繋がる。
したがって、拭き取り性と傷のつけなさを両立せねばならないと考えられる。
カメラのレンズも同様に光の乱反射によって画像・映像に影響を及ぼす恐れがある。

耐摩擦傷性について

とある検査機器を用いてアクリル板に対して摩擦を掛けた際にどれほど傷がつくかを調べた実験である。

この実験で分かった点は、セーム革(1,2,3)はほとんど傷をつけることなく、次いで極細繊維製フェルトに関してもほとんど傷を生じていない。
極細繊維製メガネ拭きに関しては多少傷がついており、ティッシュペーパー、綿製フェイスタオルに関しては著しく傷がついている状態となっている。

脂汚れ取り性について

牛脂を塗布したPP(ポリプロピレン)フィルムの表面に各種素材で摩擦した際の牛脂除去率を測定している。

セーム革の除去率が98~90%で、極細繊維製メガネ拭きに関しても98%除去できている。またティッシュペーパーに関しても96%除去できている。
それに対し極細繊維製フェルトが84%、綿製フェイスタオルに関しては74%の除去率となっている。

この論文を読んで思った点

セーム革は拭き材として最も優れているなと感じた。
この両立できている点は、全メガネユーザーやカメラを愛している方々にぜひとも使ってほしいと感じている。
メガネやカメラレンズ等の光学機器以外にも、アクセサリーや宝石なども傷をつけずに拭き取れる、きれいにできる点はより多くの方に知っていただきたいと考えている。
自分が取り扱っているセーム革の大きさ的に自動車には使えないくらいのサイズではあるが、奈良産業さんなどの昔からセーム革を製造しているメーカーは高級車ディーラーにも卸している。
昔から使われている素材ではあるが、各種素材の進化もしている。
だが、この両立できている点ではまだまだ他素材に比べて優位性があると思われる。

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