Caputre OneでハッセルブラッドRaw現像をしたときの基本特性とカーブによる描写傾向とお勧めフイルムシミュレーション(完全版)
1. Hasselblad RGB と Hasselblad L RGB の違い*
Hasselblad RGB
特性:
HasselbladカメラのRAWファイルに特化したプロファイル。カメラセンサーが記録した色情報を忠実に再現することを目的とし、発色が鮮やかで明るい場面で特に効果を発揮します。肌色や自然の色彩をナチュラルに描写することが特徴です。利用シーン:
ポートレートや風景写真など、カメラが記録した色をそのまま活かしたい場合に適しています。
Hasselblad L RGB*
特性:
カラーの階調表現をより繊細に扱うために作られたプロファイル。色空間としてL*(Lab色空間)を基にしており、中間トーンが滑らかで、暗部とハイライトの階調が優れています。色彩が控えめで、写真の後処理(特に色調補正)に柔軟性があります。利用シーン:
商品撮影やスタジオ撮影など、色の正確さや柔らかな階調が求められる場合に最適。
2. 基本特性ごとのカーブ特性と推薦フィルムシミュレーション
解説(トーンカーブ別の特性と使い分けポイント)
DNG Standard
特徴: 標準的なトーンカーブで、特別なコントラスト変更を加えず、元の色やトーンを活かします。
おすすめ: 柔らかい色調やクラシックな粒状感を持つフィルム(例: Kodak Portra 400, Ilford HP5 Plus)。
DNG Tone Mapped
特徴: ダイナミックレンジを圧縮し、ハイライトとシャドウをコントロールしやすいカーブ。
おすすめ: 滑らかなトーンとシャープなコントラスト(例: Agfa Vista 200, Kodak Tri-X 400)。
Film Extra Shadow
特徴: 暗部の再現力が強化されたカーブで、暗いシーンのディテールを引き出します。
おすすめ: 暗部が豊かな描写に向いたフィルム(例: Fuji Velvia 50, Ilford HP5 Plus)。
Film High Contrast
特徴: 高コントラストで力強い印象を与えるカーブ。ドラマチックな写真に最適。
おすすめ: コントラストを活かしたフィルム(例: Kodachrome 64, Kodak Tri-X 400)。
Film Standard
特徴: ナチュラルでバランスの取れたカーブ。静物や商品撮影に最適。
おすすめ: 柔らかい色合いやニュートラルな白黒フィルム(例: Agfa Optima 100, Ilford HP5 Plus)。
Linear Response
特徴: フラットなカーブで、編集の自由度が非常に高い。
おすすめ: 柔らかいトーンを持つフィルムと粒状感のある白黒フィルム(例: Kodak Gold 200, Kodak Tri-X 400)。
ポイントごとの整理
Hasselblad RGB: 鮮やかな色再現が求められるシーンで活用。ポートレートや風景で自然な色合いを優先。
Hasselblad L RGB*: 階調表現を重視。商品やスタジオ撮影で柔らかなトーンを求める場合に適している。
カラーフィルム: 色彩やコントラストの特性に基づきシーン別に選択。
モノクロームフィルム: クラシックな粒状感や力強いトーンを活かした写真表現をサポート。
付記 Lab色空間とRGB色空間の違い
1. RGB色空間
特徴
構造:
赤 (Red)、緑 (Green)、青 (Blue) の三原色を基に色を表現します。色は各成分の強度(0~255の範囲、8ビットの場合)を変化させて再現。
例: (255, 0, 0) は純粋な赤、(0, 255, 0) は純粋な緑。
設計目的:
ディスプレイやデジタルカメラなど、発光デバイス向けに設計された加法混色モデル。sRGB、Adobe RGB、ProPhoto RGB などのバリエーションが存在。
利点:
色を直接ハードウェアに反映しやすい(ディスプレイやプリンター)。
コンピュータでの計算処理が効率的。
欠点:
人間の視覚感覚に基づいていないため、色の認識(明度や彩度)と直感的に一致しないことがある。
デバイス依存型で、色再現がデバイスごとに異なる場合がある。
2. Lab色空間
特徴
構造:
Lab色空間は、人間の視覚に基づいて設計された色空間で、以下の3つの軸で構成されます:L: 明度(0 = 黒、100 = 白)。
a: 緑 (−) ~ 赤 (+) の色相。
b: 青 (−) ~ 黄色 (+) の色相。
設計目的:
デバイス非依存型の色空間として、色を正確に定義し、人間の視覚により近い形で色を再現するために設計。利点:
人間の視覚に基づき、色の違いが視覚的な感覚と一致する(等間隔性)。
デバイスに依存しないため、色を一貫して扱える。
色補正や色比較に最適。
欠点:
計算が複雑で、デバイスへの直接的な色再現が困難。
RGBよりも直感的ではなく、調整が難しいことがある。
4. 実用例
RGB色空間
主にディスプレイやカメラ、モニターで使用。
PhotoshopやCapture Oneでの「一般的な編集作業」。
Lab色空間
色補正や色比較、印刷時の色管理に使用。
例: PhotoshopではLabモードで彩度調整や特定の色域の補正を行う際に活用。
まとめ
RGBはハードウェア向けの効率的な色表現方法ですが、人間の視覚感覚を考慮していないのに対し、Labは視覚に基づいた色空間であり、特に色の正確な補正や比較に優れています。Capture OneやPhotoshopなどのソフトウェアでは、両方の特性を活かして色を調整することが可能です。