誰かを応援するというのは、楽な事ではない事、 楽しいだけではない事、というのは、あたりまえであり、 人間ひとり、を知る、というのは、到底果てしない事で、さらに、遠い人間、となると、 どれだけ追いかけたって、見せてくれる表の表情しかわからなくて、もどかしい。 彼らの活動が明るく楽しいものだけでないように、ついていく者のそれも、その通りだろう。 もちろんそうなるかならないかは個人の勝手であり、好きにするべき部分だが、 私はどうしたって、声を聴き、音を聴き、表情を見て、心を想像し
綺麗に閉じられた瞼から延びる睫に見とれていると うつむいていた可愛らしい丸い頭が起きあがる。 同時に瞼はゆっくり開かれ、真っ白な白目、艶のある黒目がおれを捉える。 一瞬、殺人的な視線に感じた。 「おまえ、寝てないの?」 「うん、寝てない。っていうか、寝れなかった」 いつもは柔らかく笑う彼だが、最近は時々、氷より冷たい表情でいるときがある。 だからおれは心配で、眠れなかった。ヒョンが、違うどこかへ、おれの知らないどこかへ行ってしまう錯覚がして。 「寝ないと、このまま飛行機
まだ太陽も目を開けない4:15、携帯のアラームで夢から戻る。 薄暗い空、朝と夜が入り混じる。湿度が高い。 昨日は残業をしたので、眠る事が出来たのは夜中だった。 重たいからだを起こす。ゆっくりと覚醒していく脳で、この後待っている幸せを実感し、自然と笑顔になる。 身支度して車に乗り込む。家から空港は、一般道で到着する。 緩やかなカーブを曲がって、立体駐車場に停車する。 キーをかけてハザードランプが2回、光ると、いよいよ彼に会える事が、今更緊張に変わって心を埋め尽くす。 国際線到着
歯磨き粉のミントのかおりと、コーヒーの味がする。 彼は氷を食べる癖があるから、冷たい唇と、ひんやりとしっとりした舌が気持ちいい。 ゆっくり絡まるそれに、皮膚がチリチリする。 咥内の奥までそれはやってきて、まるで僕を支配するみたいに。 やがて甘い唾液の味がした。脳まで響く水音に、感覚がなくなる。 口の端から、どちらともない甘いものがタラリと零れる。 ドキドキと心臓の音がうるさくなって、だんだん呼吸ができなくなる。 ふたりしかいない部屋には、熱い吐息と、服の擦れる音、そして苦しそ
「ジョングキ今日、メロンみたいだな」 「え〜メロン?ピスタチオの方がいい」 「ピスタチオ?ピスタチオってこんな色なの?」 「そうでしょ、緑でしょ」 「おれはメロンのがすき〜」 「メロンはなんかダサいもん。ピスタチオのほうがおしゃれっぽい」 「なんだよダサいって。そもそもこんな真みどりのセットアップがおしゃれとかおれにはわかんないもん」 「全身チェックのセットアップでどこへでも行くヒョンに言われたくないんだけど」 「なんで。あれはおしゃれだよ。」 「そもそもこれ。ただ今日の衣装
リビングで全員がそろって、それはそれは大騒ぎしている。 夜、これから帰る、って連絡が来た。 車に乗り込んで、会社まで迎えに来たら、そこには丸くてかわいい頭が7つ、ウキウキと待っていた。 「え?全員乗るの?」 「うん。今日、宿舎にみんなで帰る」 「え。そうなの?早く言ってよー」 「今言った!ジミナー!車来た!早く来て!」 言われるがまま、指示されるがまま、まるで執事の如く扱われていた。 主は、いつになくご機嫌で、というか、全員がいつになくご機嫌だ。 まぁ、たまにこういうテ