見出し画像

乗法公式を使いこなそう⑦因数分解の手順と考え方

基本形の乗法公式は、
$${(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$
$${ (x \pm a)^2=x^2 \pm 2ax+a^2}$$
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
となります。
これらの基本形の乗法公式を使った因数分解で、
$${x^3+3x^2-4x}$$
$${25x^2-10x+4}$$
の計算をできますか?
これらの答えは、
$${x^3+3x^2-4x=x(x-1)(x+4)}$$
$${25x^2-20x+4=(5x-2)^2}$$
となります。
これらの因数分解は、最初に習う中では応用問題となりますが、できなければならない内容です。
今回は、
$${x^3+3x^2-4x}$$
$${25x^2-20x+4}$$
の因数分解をできるようにするため、因数分解の手順と考え方の解説をします。

因数分解の手順と考え方

ここでは、基本形の乗法公式を使った因数分解の手順と考え方として、
$${x^3+3x^2-4x}$$
$${25x^2-20x+4}$$
の因数分解を考えてみましょう。
$${x^3+3x^2-4x}$$
式の次数を見てみると、この式は3次式基本形の乗法公式は2次式になっています。
また、
$${25x^2-20x+4}$$
$${ x^2}$$の係数を見てみると、この式は$${ 1}$$ではない基本形の乗法公式は$${ 1}$$であるとなります。
これらのことから、基本形の乗法公式を使うことができないように見えるかもしれません。
しかし、基本形の乗法公式を使って因数分解ができます。
これらの式の因数分解をするために重要なことは手順と考え方となります。
この手順と考え方とは、どういうことなのか解説をしていきます。

手順

ここでは、基本形の乗法公式を使った因数分解の手順として、
$${x^3+3x^2-4x}$$
の因数分解を考えてみましょう。
式の次数を見てみると、この式は3次式基本形の乗法公式は2次式なので、基本形の乗法公式を使うことができないように見えるかもしれません。
しかし、基本形の乗法公式を使って因数分解ができます。
この式を基本形の乗法公式を使って因数分解をするために重要なことは手順となります。

$${x^3+3x^2-4x}$$
因数分解をするとき、基本形の乗法公式を使うことを、最初に考えるかもしれません。
しかし、最初に考えるべきことが他にあります
最初に考えることは、共通因数でくくることができるかです。
$${x^3+3x^2-4x}$$
の場合、各項$${x^3,3x^2,-4x}$$は$${ x}$$が共通因数となるので、
$${x^3+3x^2-4x=x(x^2+3x-4)}$$
共通因数$${ x}$$でくくることができます
この後は括弧部分
$${x^2+3x-4}$$
のみを考え、この部分を因数分解すると、
$${x^2+3x-4=(x-1)(x+4)}$$
となるので、
$${x^3+3x^2-4x=x(x-1)(x+4)}$$
となります。
このように因数分解の手順として、基本形の乗法公式を使うことができるか考えるより、最初に共通因数でくくることができるかを考えましょう。

考え方

ここでは、基本形の乗法公式を使った因数分解の考え方として、
$${25x^2-20x+4}$$
の因数分解を考えてみましょう。
式の$${ x^2}$$の係数を見てみると、この式は$${ 1}$$ではない基本形の乗法公式は$${ 1}$$であるなので、基本形の乗法公式を使うことができないように見えるかもしれません。
しかし、基本形の乗法公式を使って因数分解ができます。
この式を基本形の乗法公式を使って因数分解をするために重要なことは考え方となります。

$${25x^2-20x+4}$$
因数分解をするとき、基本形の乗法公式を使うことができるかを考えると思います。
この判断は、$${ x^2}$$の係数が$${ 1}$$であることではありません。
$${ x^2}$$の係数2乗した数の場合は、基本形の乗法公式を使うことができる場合があります
$${25x^2-20x+4}$$
の場合は、$${ x^2}$$の係数が$${ 25=5^2}$$のように2乗した数なので、基本形の乗法公式を使うことができる場合があります
確定ではありませんが、可能性はあります。
この理由は$${ X=5x}$$とおくと、
$${25x^2-20x+4}$$
$${ X}$$の2次式と考えることができるからです。
この場合は、さらに定数項が$${ 4=2^2}$$のように2乗した数なので、
$${ (x \pm a)^2=x^2 \pm 2ax+a^2}$$
使うことができる可能性があります。
このことから、まずは試しに
$${25x^2-20x+4}$$
の因数分解を、
$${ (x \pm a)^2=x^2 \pm 2ax+a^2}$$
使ってやってみます
このとき、
$${25x^2-20x+4= (X \pm 2)^2}$$
となります。
まだ確定ではないため、この式の右辺の$${ X}$$を含む項のみ計算します。
これを計算すると、
$${ \pm 2 \times 2 \times X=\pm 4 \times X=\pm 4 \times 5x=\pm 20x}$$
となり、この係数の絶対値$${ 20}$$と、
$${25x^2-20x+4}$$
$${ x}$$の係数の絶対値比較します。
この場合は同じになるので、
$${25x^2-20x+4= (X \pm 2)^2= (5x \pm 2)^2}$$
と因数分解ができることがわかります。
最後に、左辺の$${ x}$$の係数の符合マイナスなので、
$${25x^2-20x+4= (5x - 2)^2}$$
となります。
このように因数分解の考え方として、基本形の乗法公式を使うことができるかできないかは、$${ x^2}$$の係数が2乗した数になっているかいないかとなります。

まとめ

今回は、因数分解の手順と考え方について書きました。
因数分解の手順については、最初に共通因数でくくることができるかを考えましょう。
また因数分解の考え方については、$${ x^2}$$の係数が2乗した数になっているかいないかを見ましょう。
特に共通因数を最初に考えることは、忘れている場合があります。
因数分解を学んだ直後はできていても、先に進んでから復習で、
$${ x^2+7x=x(x+7)}$$
のような因数分解ができない人もいます
主な理由は、因数分解をするには基本形の乗法公式を使うことは覚えているが、共通因数でくくることを忘れているからだと思います。
また、因数分解は高校数学の最初のほうでも学ぶので、中学生は復習しておきましょう。

最後に、今回の「乗法公式を使いこなそう」は、3回ぐらいで終わると思っていました。
しかし、結果として7回も続きました。
これは私自身の文章力の無さが主な理由ですが、長く続けられてしまうぐらい基本形の乗法公式は重要なものだとも言えます。
もし、最後まで読んでいただいた人がいるならば、感謝しかありません。
また改めて、ミスが多くて申し訳ありませんでした。

いいなと思ったら応援しよう!