見出し画像

世界の法則を知るために-微分・積分とは?微分・積分の応用例(2)

微分方程式を使って、斜方投射という理科の問題を解くと、二次関数が放物線になる理由がわかります。
このため前回数学の内容の解説として、主に微分方程式について解説をしました。
斜方投射を扱うには、運動方程式などの知識が必要になります。
このため今回は、理科の内容の解説をします。


斜方投射と放物線

次の、

のように、黒い円で表した小球黒い矢印のような斜めの方向に、ある速さで投げたときを考えます。
ここで、小球とは小さいボールのことで、問題を簡単にして空気抵抗を考えない場合よく使う表現となります。
このような、斜めの方向に小球を投げたときの運動斜方投射と言います。
このときの小球は、

赤線のような軌道となります。
このような軌道放物線と言います。

加速度

中学理科では扱わない加速度について解説をします。
まず速さの復習をします。
速さは、ある決まった時間どれだけの距離動くかを表しています。
ここである決まった時間を$${ \Delta t}$$、この決まった時間に動いた距離を$${ \Delta x}$$、このときの速さを$${ v}$$とすると、
$${\displaystyle v=\dfrac{\Delta x}{\Delta t}}$$
のように数式で表すことができます。
この速さの式で、
ある決まった時間をゼロに限りなく近づける
と考えると、$${ \Delta}$$を$${ d}$$と置き換えることができ、
$${\displaystyle v=\dfrac{dx}{dt}}$$
のように、速さを微分を使って表すことができます。
次に加速度は、ある決まった時間どれだけの速さ変わるかを表しています。
この加速度数式で表すことを考えます。
速さは、ある決まった時間どれだけの距離変わるかを表していると考えることができ、数式では、
$${\displaystyle v=\dfrac{dx}{dt}}$$
のように表すことができます。
同じように考える加速度は、ある決まった時間どれだけの速さ変わるかを表しているので、数式では加速度を$${ a}$$とすると、
$${\displaystyle a=\dfrac{dv}{dt}}$$
のように表すことができます。

矢印の分解

次の、

のように、黒い長方形で表したある物体黒い矢印のような斜めの方向に力を加えた場合を考えます。
ここで、

のように、青い線と赤い線の2本の線黒い矢印を分解することを考えます。
このとき、

黒い点線のような黒い矢印が対角線青い線と赤い線が辺となる平行四辺形を書き、

青い矢印赤い矢印のように黒い矢印を分解して考えることができます
このようにできることを、中3の理科で学びます。
ここではについて書きましたが、速さや加速度についても同じように分解して考えることができます。
ここで、

のような$${ A}$$という黒い矢印を、

のように、$${ x}$$軸の方向である青い線$${ y}$$軸の方向である赤い線2本の線黒い矢印を分解するとき、

黒い点線のような黒い矢印が対角線青い線と赤い線が辺となる長方形を書き、

の$${ A_x}$$という$${ x}$$軸の方向である青い矢印、$${ A_y}$$という$${ y}$$軸の方向である赤い矢印分解して考える場合があります。
このような、$${ x}$$軸の方向と$${ y}$$軸の方向に分解する考え方は、理科の問題を扱う場合よく使います
以下では、この$${ x}$$軸の方向と$${ y}$$軸の方向に分解することを、$${ xy}$$方向に分解すると言います。
また、$${ A}$$のようなある矢印$${ xy}$$方向に分解したとき$${ x}$$軸の方向の矢印を$${ A_x}$$$${ y}$$軸の方向の矢印を$${ A_y}$$と表します。

運動方程式

ある時刻$${ t}$$のときある物体を加え、ある速さで動いた場合を考えます。
以下では力を$${ F}$$速さを$${ v}$$加速度を$${ a}$$とします。
次の、

のような、黒い長方形で表した質量$${ m}$$の物体力を黒い矢印加速度を赤い矢印速さを青い矢印とします。
このような、力と加速度・速さが同じ方向のとき、
$${ F=ma}$$
という式で運動を表すことができます。
この式を運動方程式と言います。
また、
$${\displaystyle a=\dfrac{dv}{dt}}$$
となるので、
$${ F=ma}$$
代入すると、
$${\displaystyle F=m \dfrac{dv}{dt}}$$
となります。
この式の両辺を$${ m}$$で割り両辺を入れ換えると、
$${\displaystyle \dfrac{dv}{dt}=\dfrac{F}{m}}$$
となり、この式も運動方程式と言います。
また、

のように、力と加速度・速さ斜め方向になる場合の運動方程式を考えます。
このとき、力と速さを$${ xy}$$方向に分解します。
このように分解すると、$${ x}$$方向の力と速さ$${ y}$$方向の力と速さはそれぞれ同じ方向となるので、
$${\displaystyle \dfrac{dv}{dt}=\dfrac{F}{m}}$$
を使って、運動方程式各方向に関して考えることができます
$${ x}$$方向に関する運動方程式は、$${ F,v}$$をそれぞれ$${ F_x,v_x}$$に置き換えて
$${\displaystyle \dfrac{dv_x}{dt}=\dfrac{F_x}{m}}$$
となります。
同じように考え$${ y}$$方向に関する運動方程式は、$${ F,v}$$をそれぞれ$${ F_y,v_y}$$に置き換えて
$${\displaystyle \dfrac{dv_y}{dt}=\dfrac{F_y}{m}}$$
となります。
これらのように、力と速さが斜め方向のときの運動方程式は、
$${\displaystyle \dfrac{dv_x}{dt}=\dfrac{F_x}{m},\dfrac{dv_y}{dt}=\dfrac{F_y}{m}}$$
となります。

重力

次の、

のように質量$${ m}$$の物体が、ある面上に止まっているときを考えてみましょう。
このとき物体には、黒い矢印のように真下に重力が働いています。
また物体は止まっているため、真下に速さがゼロで動いていると考えることができます。
このとき運動方程式は、力と速さ・加速度が同じ方向と考えることができるため、
$${ F=ma}$$
となります。
この式を使って、重力を求めてみましょう。
重力は力なので、重力を$${ G}$$とすると$${ F}$$は$${ G}$$となります。
重力を扱うとき、加速度は重力加速度と呼ばれるものを使います。
この重力加速度を$${ g}$$とすると、重力運動方程式から、
$${ -G=m×(-g)}$$
となり、
$${ G=mg}$$
と求めることができます。
このとき符号方向を表し、$${ y}$$軸方向である真上をプラス$${ y}$$軸方向の逆である真下はマイナスとしています。
このため$${G,g }$$は、$${ y}$$軸方向の逆である真下となるので、符号はマイナスとなります。
この$${ g}$$は地球上では、
$${g=9.8 }$$
となります。
ここで中1の理科では、
$${100g }$$の物体には$${ 1N}$$の重力が働く
と習います。
このことを、
$${ G=mg}$$
を使って確かめてみましょう。
この運動方程式を使うとき、質量の単位は$${kg}$$を使うので、
$${100g=0.1kg }$$
となり、計算を簡単にするため
$${g=10 }$$
として計算をすると、
$${ G=0.1×10=1N}$$
となります。
このことから、
$${100g }$$の物体には$${ 1N}$$の重力が働く
ということが確認できます。
ここで中学理科では計算を簡単にするため重力加速度は$${ 9.8}$$ではなく$${ 10}$$としています。

まとめ

今回は、斜方投射や運動方程式などの解説をしました。
運動方程式は、力と速さ・加速度が同じ方向のとき、
$${ F=ma}$$
$${\displaystyle \dfrac{dv}{dt}=\dfrac{F}{m}}$$
となり、力と速さ・加速度が斜め方向のとき、
$${\displaystyle \dfrac{dv_x}{dt}=\dfrac{F_x}{m},\dfrac{dv_y}{dt}=\dfrac{F_y}{m}}$$
のような式となります。
この運動方程式は、斜方投射を扱うときに使います。
また、運動方程式を使って重力を求めると、中1で習った
$${100g }$$の物体には$${ 1N}$$の重力が働く
となる理由がわかります。

次回は、二次関数が放物線となる理由の解説をします。
この解説には、前回と今回で解説をした数学と理科の内容を使います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?