乗法公式を使いこなそう②基本形の乗法公式の覚え方
基本形の乗法公式は、
$${ (x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$
$${ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2}$$
$${ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}$$
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
となります。
これらを使った展開の計算、
$${(x+1)(x-2)}$$
$${(x+4)^2}$$
$${(x+5)(x-5)}$$
をできますか?
これらの答えは、
$${(x+1)(x-2)=x^2-x-2}$$
$${(x+4)^2=x^2+8x+16}$$
$${(x+5)(x-5)=x^2-25}$$
となります。
これらの計算は、すでに習った場合は全員ができるような内容でしょう。
また、できなければならない内容です。
これらの計算をできるようになるため、基本形の乗法公式のよくある覚え方について書きます。
1式の覚え方
$${ (x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$
の各項の覚え方は、
$${ (x+a)}$$の$${ x,(x+b)}$$の$${ x}$$の積を求め、$${x^2 }$$
$${ (x+a)}$$の$${ +a,(x+b)}$$の$${ +b}$$の和と、$${ x}$$の積を求め、$${+(a+b)x}$$
$${ (x+a)}$$の$${ +a,(x+b)}$$の$${ +b}$$の積を求め、$${ +ab}$$
のようになります。
公式はこれらの和、
$${ (x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$
となります。
2式の覚え方
$${ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2}$$
の各項の覚え方は、
$${ (x+a)}$$の$${ x}$$を2乗して、$${x^2 }$$
$${ (x+a)^2}$$の指数部分の$${2, (x+a)}$$の$${ x,a}$$の積を求め、符号は$${(x+a)}$$の$${ +}$$と同じにして、$${+2ax}$$
$${ (x+a)}$$の$${a}$$を2乗して、$${ a^2}$$
のようになります。
公式はこれらの和、
$${ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2}$$
となります。
3式の覚え方
$${ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}$$
の各項の覚え方は、2式の場合とほぼ同じで、
$${ (x-a)}$$の$${ x}$$を2乗して、$${x^2 }$$
$${ (x-a)^2}$$の指数部分の$${2, (x-a)}$$の$${ x,a}$$の積を求め、符号は$${(x-a)}$$の$${ -}$$と同じにして、$${-2ax}$$
$${ (x-a)}$$の$${a}$$を2乗して、$${ a^2}$$
のようになります。
公式はこれらの和、
$${ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}$$
となります。
2式、
$${ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2}$$
と3式、
$${ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}$$
では、$${ x}$$の係数の符合に注意しましょう。
4式の覚え方
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
の各項の覚え方は、
$${ (x-a)}$$の$${ x}$$を2乗して、$${x^2 }$$
$${ (x-a)}$$の$${a}$$を2乗して$${ a^2}$$となり、符号は$${ (x-a)}$$の$${ -}$$と同じにして、$${ -a^2}$$
のようになります。
公式はこれらの和、
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
となります。
また他の覚え方として、
$${ (x-a)}$$の$${x,a}$$を2乗して、
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
としても良いでしょう。
4式、
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
を使うことができるのは、左辺の定数の符合のみ異なる場合ということに注意しましょう。
まとめ
今回は基本形の乗法公式、
$${(x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab}$$
$${ (x+a)^2=x^2+2ax+a^2}$$
$${ (x-a)^2=x^2-2ax+a^2}$$
$${ (x+a)(x-a)=x^2-a^2}$$
の、よくある覚え方について書きました。
これらは中学3年で習った後は、全員が覚えているような内容だと思います。
基本形の乗法公式を使った計算は、高校受験が終われば忘れても良い内容ではありません。
大学で数学に関わる場合でも使うことがあります。
また高校以降では、基本形の乗法公式を何度も使い、ようやく答えにたどり着く場合もあります。
私はよく基本形の乗法公式を、九九と同じと生徒に言います。
この理由は、基本形の乗法公式と九九には、
長期間使用する
できる限り速く計算できなければならない
という共通点があるからです。
言うなれば、基本形の乗法公式は文字式の九九と言えるでしょう。
中学以降では、速く計算できるようになるために、計算練習をする機会が少ないと思います。
しかし、基本形の乗法公式を使った計算は、単純に速く計算できるようになるための計算練習をするべきだと思います。