お金持ちになるスクリプト
キラキラと輝く丸い光が目の前で、ちらちらとその大きさを変えながら輝いている。
私は、その光から「チリッ…チリッ…」と蛍光灯が弾けるような音を聞くのです。
その光に触れたらあたたかいのだろうか?
そっと手を伸ばしかけて、途中で止めた。
目の前の光は確かにそこにあるのに、とても素早く動いて見えたり、ある時は止まって見えたり、大きさを小さくしたり大きくしたり、さまざまな変化を私は眺めている。
どこかから鐘の重なったような重厚なメロディーが聞こえてきて、私はその音がとても気になるのです。
そっと耳に神経を集中して、微かな音も逃さないようにと、深く、息を止めるように自分の中に潜り込む。
まぶたを閉じたままでも、先ほどまで眺めていた大小の光がちらちらと光っていて、それはまるでまぶたの裏で燃えているように、新鮮でいつまでも色褪せない。
耳に集中すればするほど、美しい鐘の音は遠く小さくなってしまって、聞こえにくい。
そうなると、私は、自分の頬にかかった髪や、肌に触れる空気の感触が気になってしまって、とても顔を触りたい気持ちになってしまう。
まぶたを開けても、まだそこに光が揺れているのかどうか私は不安になって、ずっとまぶたを開けれずに暗闇を見つめている。
やがて鐘の音も聞こえなくなり、私の呼吸だけが小さく空気を揺らす音が聞こえるのだ。
何もない空間で、私は空気が動く微妙な風を感じながら、みじろぎもせずに次の音が聞こえるのを待っている。
そうすると、ふと昔、子供部屋にあったピンクのテディベアを思い出したんです。
そのテディベアは、かたい毛並みでごわごわになっていたから、触ってもなんだか心地よくなくて、でも私のお気に入りだったので、いつもどこに行くにも一緒に連れて行った。
テディベアのかたい毛並みは、なでるとガサガサという乾いた音がしたけど、今思うとそれは、とても懐かしく時代遅れのおもちゃという感じで、私の大切な思い出の一つなんだ。
かたい毛並みとかたいボディーのテディベアはなかなか頑丈で、何年たっても形が崩れず、どこもほつれずに、少しだけ汚れた体が私とともに時代を過ごしてきたことを感じさせるのです。
ピンクの毛並みは、はじめから色あせたように薄くて、そこがまた私のお気に入りだった。
たくさんテディベアに話しかけたけど、テディベアからは何も返答がなかったので、私はもっとたくさんたくさん、今日あった出来事や今の自分の気持ちを話したんだ。
かたくてつぶれそうにないその体をぐっと両手で抱いた時、その少し安っぽい作りに安心する自分がいることを思い出す。
洗いたいけど、一度でも洗ったら型崩れしてしまうんじゃないかと思って、ずっとそのままなので、私はちょこちょこ黒くなっている毛並みが気になっている。
テディベアに「洗って欲しい?」か聞いても何も返ってこないことを知っているので、私はそんなことを聞かずに、いつも自分の話ばかりを話していた。
テディベアが聞いていても聞いていなくても、自分が自分であることを確認するかのように、私は毎日、語りかけては自分の気持ちを確認していたんだ。
もし、ここではなくどこかへ行くとしたら、深い海の底に潜って、下から太陽の光を眺めてみたいと思っていた。
海の中から見る地上は、どれぐらい輝いて見えるのか知りたいと思っていたけれど、潜ることで何も聞こえなくなってしまうのがとても怖いと思っていた。
自分の呼吸が泡の弾ける音のように聞こえた時に「溺れるかも」と思わないように、私は何か、どうしようもなくなった時に助けてもらえる方法をいつも考えていたんだ。
きっと、海の中から見る、海に射し込む光はこの世のものではないように美しいはずだと思う。
だけど、海中のあのボコボコという泡の音がなぜか私の不安をかき立てるから、私は何か安心する言葉を自分の支えにして海に潜れたらいいな、と思っていたんだ。
美しい景色を見るために、危険をおかしたり、自分が苦手だと思うことに挑戦することは、とても勇気がいるけれど、危険をおかさないと美しい景色は見えないのだろうかと、私は海の中から光を見上げて、そんなことを感じるのかもしれない。
いつも自由に海の中に潜って太陽の光を見れたらいいのに、それがなかなかできないから、もしかしたら「美しい特別なもの」と感じることができるのかもしれない。
誰かに海の中から見た光はどんなものだったのか聞きたいけれど、あの美しい景色を言葉にできる人は果たしているのかどうか。
息を止めて海に流されないように気を張りながら見る景色は、私にとって、それでもすべての苦しさや今の気を緩めると危険な状態であることも忘れて、目を見開いて釘付けになるような美しさなのである。
私が、自分の危険を省みず見に行った景色は、他の誰も見たことがない美しい世界で、天国は天上にあるのかとばかり思っていたけれど、こんな地上よりも低い場所から見上げるものだったんだと、私は初めて知ったんだ。
自分の呼吸が泡になる音以外何も聞こえない、静かで暗い海に射し込む太陽の光は、私には希望に見えて、そこから美しい音が奏でられているように聞こえる。
寒いとか暑いとか、息が苦しいとかお腹が空いたとか、そんなことを何も感じず、ただただ目の前の美しさに心を奪われる。
そして再び地上を踏みしめた時、「ただその景色を見ただけ」なのに、何かが私の中で変わったことを、自分は知るのだろう。
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