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函館に54年ぶりに誕生した清酒蔵「五稜乃蔵」が初搾り!

僕の故郷である函館市に昨年11月末、同市では54年ぶりの清酒醸造蔵となる「五稜乃蔵」が誕生した。1968年に「日本清酒」が隣町の七飯町に移転してから、同市では長らく清酒造りが途絶えていた。函館市の左党待望だった「地酒」初搾りが、新年5日に行われたのである。

記念すべき1号タンクの搾り

同蔵は上川大雪酒造では3蔵目となる。同社は「清酒による地方創成」を謳い、2017年に三重県から酒造免許を道北の上川郡上川町に移転し「緑丘蔵」を開設してから、2019年に十勝地方の帯広市にある帯広畜産大学内に誕生した「碧雲蔵」に続くもの。

蔵は函館市中心部から北東へ約15㎞の丘陵に囲まれた長閑な集落である亀尾町にあり、近年廃校となった亀尾小学校跡地にある。実は僕の実家からは約5㎞の距離と目と鼻の先で、こんな近くに酒蔵ができるとは想像だにしなかった。

亀尾町の蔵周辺の風景

その記念すべき第1号タンクは、地元亀尾町の農家さんが生産した北海道産酒造好適米「彗星」を70%まで磨いた純米酒。仕込み水は、僕の実家近くにある清流「松倉川」の旭岡浄水場のカルキを抜いたもの。まさに僕がガキの頃から飲んでいた水道水を綺麗にした味だった。突出した美味さはないが、切れのある中硬水で、身近な水が清酒に生まれ変わるのは実に感慨深いものだ。

搾る前の1号タンクの醪(もろみ)

ちなみに、日本酒は水が大事だが、水道水を使っている蔵は有名な蔵を含め、いくらでもある。もちろん清冽な湧き水や地下水を使えれば言うことはないが、要はできた酒が旨ければ良いのだ。

そんな訳で当日は新聞、テレビなど多くのメディアが押しかけ、僕も、懇意にさせてもらっている、名杜氏・川端慎司氏のご厚意で取材の末席に着かせていただいたのである。

初搾り出たての「荒ばしり」を柄杓で救う

その記念すべき初搾りを試飲したが、雑味がなく透明感があり、しっかりとした酸とその奥に米の旨みも感じ、後味はスパッと切れていく。爽快な味わいだった。川端杜氏も「狙い通りの会心の出来」と満足そうな表情を見せた。

琥珀色の最初に搾った部分の原酒

今後は後日搾る2号タンクとブレンドし、瓶詰めした後、1月末から函館市内を中心とした酒販店で販売されるとのことだ。


函館の食は山海の幸に恵まれ、北海道の中でもトップクラスだと久々に帰ってきて改めて痛感している。スーパーグルメな川端杜氏にも、僕のネットワークを生かし、海鮮を中心に日本酒に合いそうな様々な函館名物の食を紹介したが、いたく感動してくれた。

裏腹に、食に合わせる酒に関しては無頓着だったと言わざるを得ない。北海道では歴史が古い分、保守的な土地柄であるし、酒蔵が長らくなかったこと、津軽海峡を挟んだ青森県の酒ばかり飲んできたことも大きいだろう。

実は地元の良さを地元の人が一番知らないということは、ままあることだ。

函館の「地酒」の誕生で、地域の酒と食文化が一層発展していくことを期待するし、僕も微力ながら、何らかのお手伝いをしたいと考えている。

※自分のnoteでは、正式なメディアとは言えないので、写真も人物を特定できるものは割愛し、川端杜氏の許可を得て、差しさわりのない個人の感想的な情報を流している。一応動画も撮っているので、川端杜氏の許可が得られれば、掲載できればと思う。







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