【文具】初体験・わくわくペンクリニック
今日は初めてペンクリニックに行ってきました。
ペンクリニックとは、ざっくり言うと万年筆メーカーのペンドクター(職人さん)が文具店に来てくれて、調子の悪いペンや使いづらいペンを持っていくとその場で調整してくれるというイベント。
万年筆好きにはたまらないそんなすてきな催しがこの世にあると知らなかったのですが、万年筆仲間から教えて貰い、地元でやっているお店を探しました。
しかし、次回の開催案内が来たら必ず行くぞーと思っていたところに新型感染症の波が……今年ようやくイベント再開となり、2年半待ってやっと行くことが出来ました。
調整してもらった子と症状
調整して貰ったのは、大西製作所の万年筆、深緑さんです。
大西慶造氏が一人で製作しておられる万年筆で、アセテートの深くて美しい色、模様、それから大西氏の笑顔の写真に惹かれて購入しました。
軸は見た目も麗しいうえに吸い付くような手触りで、ニブはシュミットのF。硬い感触が筆圧をしっかり伝えてくれて、インクフローがよいのでさらさら滑っていくような書き心地のたいへん優秀な子です(惚気です)
ただ、うちに来た時から書き始めのインクが出ないことがよくありました。最初に販売店に問い合わせた時は製造時のオイルが残っているのかも、長めに水につけて洗ってみて、と言われ、何度か洗浄して少し改善したものの…
書きやすいだけに、最初の一瞬のストレスは大変惜しかったのです。
調整
ペンクリニックは、初めに症状の聞き取り、実際に書いてみる、調整、という流れです。
私にはまったく原因が分からなかったのですが、書いてみた時のインクの飛びを見てペンドクターはすぐにピンと来た模様。
ルーペでペン先をちょっと見て、ペン先で起こっていることを図まで描いて丁寧に説明してくれました。
いわく、深緑さんはペン芯がちょっと中心からずれていたので、書く時にペンポイントがきれいにそろわず、書くときのペンの角度によってはインクが紙につかなかったのではないかとのこと。
肉眼で見てもぜんぜん分かりませんでしたが…そんなことが起こっていたのか。
あとはちょちょいっと患部を調整して貰うと、嘘のようにインクの飛びがなくなりました。
万年筆って繊細。
でも、こうやって調整次第でいくらでも使い続けられるし、ほかにもインクの出る量を調節して自分好みの書き味に出来たりと、魅力的な文具だなぁと改めて思いました。
調整以外にも万年筆の万相談
調整はさっさっと終わってしまったので、あとはメーカーおすすめの万年筆のお話など。(これは営業だったね笑)
気になっていたキャップレスの万年筆もいくつか種類があったそうで、いっぱい出して貰って試し書きしました。
キャップレスってインクが乾かない?という疑問にも、キャップレスの仕組みを分解して説明していただき、なるほどなるほどと頷きが止まらないわたし。
(やっぱりキャップレスは乾きやすいそうですが、使う頻度がよっぽど低くない限りは問題ないとのこと)
今日は購入する気がなかったので、手持ちのほかのペンで困っていることも相談しました。
PILOTのカスタム742をSFMのニブで使っているのですが、試し書きの時はそうでもなかったのに、長時間書いていると、ニブの柔らかさがちょっと気になるようになっていました。
今日はペンクリニックと一緒に筆圧測定もやっていたので、そちらも体験。
私は筆圧が高いと思ってたけど、平均よりは弱めだそう。
ペンのひねりや持っている角度まで数値を出して貰えて、面白かったです。
結果をもとにおすすめのニブを出して貰い、試し書きして、結果的にペン先交換して貰うことにしました。
イベント価格で、部品代だけでいいって言われたし…笑
部品代として一万円ちょっとかかるので、カスタム74なんかをもう一本買えるくらいだけど…メンテして調整してずっと使えるのが万年筆のいいところではないですか。
そりゃあ74を買えば書き味の問題は解決されるけど、それで742を用済みにしてしまうのは忍びない。いいペンだし、74の倍のお値段だったし、74と742は違うペンだからペン先が硬ければいいということでもなくてむにゃむにゃ…
そういうわけで万年筆1本は調子がよくなり、もう一本は入院することになりました。
こんなイベントが出来るお店が、ずっと地元にあって欲しい
わたしのあとにもクリニックを予約していたお客さんが続々。
筆圧測定したり、ニブを選んだり、ほかのノートなんかも物色しながら店内にいると、万年筆にまつわる大変濃い会話がたくさん聞こえてきました。
田舎だけど、万年筆が好きで調整に来る人や、調整に来たついでに新しく買うインクやペンを前にのたうち回りそうなほど悩んでいる人も。万年筆愛の深い方々の姿をたくさん拝見できて、こんなに万年筆仲間がいたのかと驚くとともに、とても面白かったです。
今日来てた人とは全員友達になれる気がするな。笑
わたしは手帳やノートが好きなのもあって、文具専門店にも本屋の文具コーナーにもちょくちょく行きますが、こういうこだわりのあるイベントをやってくれるお店が、これからも生き残ってほしいなぁと思います。
万年筆が直ったこともさることながら、こうやって好きなものを持って集まれる場所があることに嬉しくなった1日でした。
ついでなのですてきな万年筆の職人さん、大西氏の記事をご紹介。
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