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ストーリータイプ13「もしも願いが叶ったら」

物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。

今回は「主人公が不思議な経験をする」エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーに属するストーリータイプ13「もしも願いが叶ったら」をご紹介したいと思います。

「もしも願いが叶ったら」はどんな物語か?

「もしも願いが叶ったら」は、日常生活に魔法がかかり、不思議や奇跡が現れるエブリデイ・マジック/ホラー/ミステリーのカテゴリーのストーリータイプの中でも、もっとも楽しく、不思議で、読者の想像力を刺激するとても人気が高い物語です。

このストーリータイプは、主人公の持つ願いが「不思議な力」によって叶ってしまうことによって、主人公の生活に巻き起きる変化や出来事、あるいは騒動が描かれます。

このストーリータイプでつくられている代表的な作品

このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。

マンガ、アニメ、映画『ドラえもん』


・児童書『はれときどきぶた』『あしたぶたの日ぶたじかん』


小説『青春ブタ野郎』シリーズ


小説、アニメ、映画『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズ


小説、アニメ『変態王子と笑わない猫。』シリーズ


小説、映画『ペンギン・ハイウェイ』


映画『ライアー・ライアー』


小説『杜子春』

……などなど。

「もしも願いが叶ったら」のつくり方

この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。

1.叶えたい「願い、願望、または不満」を持つ主人公。
2.主人公が経験する「不思議な力で願いが叶う出来事」。
3.願いが叶うことで生じる「大変な騒動、混乱、危機」。

このストーリータイプの主人公は、日常生活で叶えたいが叶っていない「願望」、または何とか解消したいと思っている「不満」を抱えています。そんな主人公の願いが、不思議な力によって叶ってしまうのです。
そんな主人公はどんな人物か、どんな願いを持っているか、まずはそこを設定しましょう。

この物語は、主人公の願いが「不思議な力」によって叶うことから始まります。この主人公の願いを叶えてしまう「魔法」がどのようなものか、どのような要素、作用、原理によって主人公の願いが叶うのかを設定しましょう。
この「魔法」の内容は、どんなものでもかまいません。不思議な魔法、神様の力でもいいですし、薬品の作用や未知の科学技術(疑似科学)によって主人公の願いが叶ってもOKです。物語の世界観に合わせて「魔法の力」がどんなものかを設定してください。
また、主人公の願いの「叶い方」も合わせて設定しましょう。
「魔法の力」によって主人公の願いが「どんな不思議な叶い方、現象、作用を伴うのか、どのように叶うのか」が、ストーリーに大きな面白さをもたらします。

また、このストーリーの本題は、主人公の願いが叶うことではなく、願いが叶った後に発生する「大変な出来事、とんでもない騒動」にこそあります。
主人公は、始めは不思議な力で自分の願いが叶って大喜びで、やりたい放題、イケイケムードを味わっていきます。しかし幸せはそう長く続かず、ふつうではない形で叶った願いは、必ずその反動として何らかの「副作用や代償」、あるいは「魔法の力の暴走」といった出来事を引き起こしていきます。主人公はそれによって大変な状況、危機的状況に陥ってしまい、その危機をどうにかして解決しなければいけなくなります。その過程が、このストーリータイプの後半の物語となります。
この物語をつくるには、主人公の願いが叶った後、主人公の身にどのような混乱や騒動、危機が、どんな原因によって起きるのかを設定し、それを主人公に解決させるようにしましょう。

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この「もしも願いが叶ったら」についてさらにお知りになりたいという方は、拙著『ストーリータイプコレクション[4]「エブリデイ・マジック/ホラー/ミステリー」5種 「プロット力」向上トレーニング』にて、くわしく解説されています。
今回ご紹介した「もしも願いが叶ったら」の特徴や作成のコツ、そしてこのストーリータイプの物語を組み立てるうえで土台として使える汎用プロットテンプレート「ストーリーフレーム」も収録しています。
ご興味のある方は、ぜひ合わせてご一読ください。


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