見出し画像

ストーリータイプ20「スニーキング・ミッション」

物語のストーリーは、「主人公の行動」によって7つのカテゴリー分類ごとに、計24の「ストーリータイプ(物語類型)」があります。

今回は「主人公が『旅』をする」ロード・ムービーのカテゴリーに属するストーリータイプ20「スニーキング・ミッション」をご紹介したいと思います。

「スニーキング・ミッション」はどんな物語か?

「スニーキング・ミッション」は、ロード・ムービーの中でも特徴的で特殊なストーリータイプです。この物語で描かれる旅は、「潜入、脱出」の旅になります。

この「スニーキング・ミッション」は、スパイや怪盗、兵士、冒険者など、何らかの「潜入任務」を帯びた主人公敵地や敵施設に秘密裏に潜入し、破壊工作や機密情報などの奪取、あるいは要人の救出などを行うストーリーを描く場合に活用できる、「敵にバレてはいけない、見つかってはいけない、とっさの機転を利かせてピンチを切り抜ける」といったハラハラ、ドキドキ、ヒヤヒヤ、ワクワクの物語がつくれます。

このストーリータイプでつくられている代表的な作品

このストーリータイプでつくられている既存の作品には、次のようなものがあります。

映画『ルパン三世 カリオストロの城』


映画『007』シリーズ


TVドラマ映画『スパイ大作戦』、映画『ミッション・インポッシブル』シリーズ


映画『オーシャンズ11』


映画『プライベート・ライアン』


映画『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』


マンガ『Mr.Clice』


ゲーム『メタルギアシ』リーズ

……などなど。

「スニーキング・ミッション」のつくり方

この物語をつくるには、次の3つの要素を決めるようにしましょう。

1.敵地に潜入する「主人公」と「潜入任務」。
2.主人公が潜入する「敵地、敵施設」と「潜入経路、障害、罠」。
3.「最深部」にあるサプライズ要素。

このストーリーは「スニーキング・ミッション」という名称の通り、主人公が「潜入任務(スニーキング・ミッション)」を帯びた人物であり、その任務の遂行の過程と結果を描いていく物語です。
「潜入」とは、正面から突っ込むのではなく「敵に見つからないように忍び込む、ひそかに入り込む」ことであり、この物語の主人公は必然的に何らかの場所や施設へ「潜入」する目的や任務、使命がある人物となります。
「潜入」は主人公単独で行う場合もあれば、数名の仲間たちとともに潜入しする場合もあります。あるいは、後方支援要因として、潜入する主人公をバックアップする仲間がいる場合もあります。仲間が登場する場合は、仲間一人ひとりに主人公にはない「得意分野、特技」を持たせて、それを使って活躍し、また主人公を助けるところを描いていきましょう。

このストーリータイプをつくるうえでのもっとも大きなポイントは、「主人公が潜入する場所、施設」はどんなところなのかと、どのようなところから入り込み、どこを通って、どのように潜入するのかという「潜入経路」です。
このストーリーは「潜入」という旅を描く物語です。どんな場所へどのように潜入するか、その潜入過程の内容がそのままストーリーとなり、それによって物語の面白さが決まります。
敵地や敵施設がどんな場所なのか、どんな危険があり、どんな障害や仕掛け、罠が待ち受けているのか、それを主人公はどのようにして乗り越え、敵地の奥深くへ進んでいくのか、敵地と潜入経路の設定をできるだけ綿密につくりましょう。

また敵地のい設定や潜入経路と同じぐらい大事なのが、敵地の最深部の設定です。
主人公の潜入の目的は、敵地の奥深く、最深部にあります。それは敵地の自爆スイッチかもしれませんし、機密情報や高価な財宝、敵の悪行の証拠、あるいは囚われのお姫様かもしれません。その最深部に何があるのか、主人公は何をするために最深部へ忍び込むのか、その最深部にあるものを設定してください。
その際に大事なのは、「最深部」にサプライズを用意することです。つまり、主人公が考えていた、読者が思っていた最深部ではない、意外な要素が最深部になくてはなりません。この物語の読者の興味は「最深部には何があるのか」というものです。それを裏切るような、読者の予想の斜め上をいくような意外なサプライズ要素を最深部に仕掛けるようにしましょう。

---

この「スニーキング・ミッション」についてさらにお知りになりたいという方や「トリック」のつくりが知りたい! という方は、拙著『ストーリータイプコレクション[5]「ロード・ムービー編」4種 「プロット力」向上トレーニング』にて、さらにくわしく解説しています。
今回ご紹介した「スニーキング・ミッション」の特徴や作成のコツ、そしてこのストーリータイプの物語を組み立てるうえで土台として使える汎用プロットテンプレート「ストーリーフレーム」も収録しています。
ご興味のある方は、ぜひ合わせてご一読ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?