![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167760990/rectangle_large_type_2_4d4d6e663e7325abd5c1808714032e2b.png?width=1200)
俺のディーン・モリアーティ
そいつはとにかく洒落ている。
そんなことを言ってしまうと後から何かしら言われそうだが、これもまた事実の一つとしてここに置いておく。
もう16年、共に人生の旅をしている。
そいつとの出会いは今思えば少しばかり恥ずかしい集まりで、未だに俺たちは頬を赤らめながら思い出しては笑い合うのだ。
ガキの頃は遠く離れた街で暮らし、今日に至るまで同い年同士でヨロシクやってきたワケだ。
今となっては2週に一遍ほどのペースで酒を酌み交わしているのだが、これがまた俺にとっては馬鹿馬鹿しくて刺激的な時間なのだ。
一見イカれたやつに見えなくもないのだが、国がする教育に無いことは全てコイツから教わった。
(もちろん、親を泣かすようなことは頼んだって教えてくれねぇぜ?)
そいつは数年前。
世界がパンデミックに見舞われた頃に俺に一冊の本を薦めた。
「路上」 ジャック・ケルアック
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167760921/picture_pc_96026a273df414cdd912355e1e88b605.png)
この一冊が俺をとてつもない快楽に導き、心の旅に出る支度をさせられることとなる。
当時の俺は音楽も辞め、カッコつけて入ってしまった会社に埋もれ自分を表現する方法が分からなくなり、高円寺の片隅で膝を折ってメソメソ暮らしていた。
何をしてもつまらなくて何もしなかった時に勧められたこの一冊に俺は初めて女性に触れたときのように夢中になった。
そこからというものの、そいつから薦められた文学を貪るように読み漁った。
俺は次第にこの文学が俺のために存在しているとまで思うようになった。
ヤツがアメリカからこっそりくすねて来た文豪たちの言葉に俺は恋をした。
気が付けば俺はペンを手に取り、部屋に巻いたレシートやら請求書やらの余白に言葉を叩き始めた。
それから一年後。
俺は詩集「死臭」を作成して高円寺を中心にばら撒いた。
このことをきっかけに言葉を連ねることに快感を覚え、このnoteに辿り着いた。
金稼ぎが出来れば、、なんてちっとも思っていないなんて口が裂けても言えないが、こうして人生の僅かな時間を使っていることが快感で仕方ない。
文章が変だとか文法的におかしいだとかそんなことは心底どうでも良くて、俺が気持ちが良ければそれでいいのだ。
そんなこともそいつは俺に教えてくれた。
サンキューなディーン。
今の俺はとってもビューチフル。