Watcher #1
前から近づいてくる。
チカチカと、接触のわるい灯りがふたつ。
一定のリズムで、縦にゆれて。
子供のころ“お化け電気”って言ってたな。
ああいうのを。
もうわかっている。
あの光が“あれ”だということは。
慣れるものだ。
今回は、どんな形なのだろう。
カツンという音と、ヂャリㇼィという音が交互にひびく。
ゆったりと。
おれは、自分から近づいていった。
と言うより、わざわざこの道を避け、遠まわりして帰る気はない。
光のなかに顔が見えた。
なるほど、杖とヒヅメだったか。
でかいな。
動いているやつは、さわったことない。
こいつをさわってみようか···
やはりこわい。
おれは距離をたもって、観察をした。
お化け電気が、ゆっくり通りすぎるのを見送る。
あれらが何なのか、まだ結論は出ていない。
というか、出るのだろうか。
宙ぶらりんだ。