Watcher #2
以前、あれに名前をつけようとしたことがある。
あれを全てひっくるめて呼ぶ名前。
だけど、しっくりくるものは思いつかなかった。
どの呼び方にも違和感があった。
個別の名前なら、まだマシなものはつけれたけれど···
同じものを見たことは、今のところない。
だから、個別につけてもなあ··といったところだ。
そして、あれについて誰かと共有することはあきらめた。
なので、あれの総称はいらないことに気づいた。
なので、名づけることもあきらめた。
「名付けがたきもの···」
ダメだ、『名伏しがたきもの』のパクリじゃないか。
またか
全身タイツみたいなノッペラボウだけど、今までみたやつのなかで、一番人間にちかい。
でも、違うのはあきらかなんだ。
見た目が、ということではなくて。
わかるんだ。
感じが。
露出魔かよ。
まあ、人間と同じ感覚なんて持ってないだろうから、自覚はないだろうな。
それにしても、うちポケットに灯った火がきれいだ。
あの火は前にも見たことある。
違うあれのときに。
動かないやつだったから、近寄ってみたけど、熱くなかった。
マジか···
スカートの中から、なにかヒモみたいなものが見えてる。
?
腹にラインが浮いた···
!
魅せてくれるね。
魅せてくれるやつは、たまにいる。
夜空に昇って消えていく“腹クラゲ”を目で追っていたら。
“露出魔”はいつの間にかいなくなっていた。