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7年間のステータスレポート

2016年に創業したPixSpaceはそろそろ満7年を迎えようとしております。当初より常勤役員2名、非常勤役員1名の3名で構成され、途中アルバイトを数名入れたのみのとても軽量な会社を運営しております。資本金と政策金融公庫からの二度の融資で運営を続けております。社外からの出資はいただいておりません。融資と自己資本以外は営業利益により賄われております。

研究用アプリケーション

主たる事業は「CTやMRIなどの医療用画像から有益な情報を抽出するアプリケーションの開発」「既存医療システム用の技術開発」「自社アプリケーションによる解析サービス」の3つです。これでなんとか3名分の給料を毎年生み出すことができました。

私の履歴は下の記事が詳しいですので、ご参考ください。

この記事ではPixSpace起業前から今までの動向や狙いをご紹介します。起業されたい方、準備中の方、起業してから10年未満の方々に、何か役立つ情報になれば幸いです。

3つ以上の稼ぎ口を持つ

新規事業を発案するとき、やはり提案段階では「3本の矢」を準備するべきです。小さくても3種類の稼ぎ口を準備することで、安定化を図ったり、それぞれの事業のシナジーのようなものも考えられます。

たとえばPixSpaceでは「①組み込み技術開発」「②研究用アプリケーション開発・販売」「③解析サービス」の3つを最初から実施しています。これらは独立したものではなく①の過程で生まれるものを②に転用し、②を使って③を実施しています。一つの技術開発の流れで3つのサービスを作りましたが、それぞれ顧客は異なっており①は企業、②は研究所、③は研究者(個人)というようになります。このように異なる客層にそれぞれサービスを展開して網を張っていくことが重要です。これが不足の事態を救うきっかけにもなり得ます。

例えば2020年に始まったコロナ禍では病院への立ち入り規制のため、医療機器の営業は軒並み停止させられ、それに付随していた②の営業が止まってしまいました。②の収益が最も大きいため絶望的だったのですが、③の研究者からの依頼が増え、なんとか耐え忍んだという経験がございます。その後、偶然ですが①企業からの開発依頼ももらい、今に至るというところです。不足の事態の時こそ、複数の収入源があることが活きてきます。事業運営は不足の連続ですので、リソースを絞れて持続可能な3つほどのオプションを常に用意していくことが望まれます。

狙い通りに行かなかったこと

創業前に「業界はM&Aが進む方向に行く」「そこの頂点を取りたい全ての会社は、社内で強力な技術を抱えたいはず」と考えていました。これは完全に私たちに都合が良いことを自分で想像していただけに過ぎず、蓋を開けてみれば、そうなりませんでした。結果どうなったかと言いますと「頂点を取りたい一社と、それ以外」「それ以外は現状維持を望む」ということで、新規技術の採用は望まれませんでした。したがって、前述の①内部技術開発は思ったほど成果が得られませんでした。

この影響で、医療機器のレギュレーションも(当初は)うまくいきませんでした。内部技術をOEMする①の過程でPixSpaceも医療機器製造業として立ち回れると考えたのですが、そうはなりませんでした。しかし、その結果2022年に上記の②である「研究用アプリケーション」が医療機器としてのレギュレーションを通過できる運びになりました。狙い通りにはいきませんでしたが、狙った的には当てることができました。

おそらく「狙う」という行為や過程が重要だと思われます。その過程で必要なノウハウが蓄積されますので、その通りに行かなくとも、急なタイミングでチャンスが回ってきた時に立ち回ることができます。

運営時間が資産になる

我々は開発会社であり、独自のプログラムを開発して、それを一部切り取ってコピーを販売している業態になります。その大元となるソースコードは、開発者が手を動かしている時間だけ成長し、肥大化していきます。そして最後はそれが資産となって還元されることでしょう。私「阪本」はプログラムを開発できませんが、経営者たる私にとって「事業を生き永らえさせる」ということが最も大事なことになります。運営時間が最終的な資産になるからです。

しかし、それは「運営時間が最終的な資産になる」ように事業を構築しなければなりません。ここには社外との交渉の技術や、知財に関するノウハウなど「自社が有利に立ち回れるノウハウ」を知って実行できるスキルが必要になります。とくに「社外との交渉の技術」はスポーツのような物でもあり、起業した後に徐々に身につく物だと思います。

「運営時間が資産」とわかると、取るべき道は二つです。「ハードワークで短時間」または「スローワークで長時間」です。我々は後者を選びました。他の会社からは想像もつかないほどスローなワークを送っております。しかし、だからと言って「技術力がない」というわけでも「資産が少ない」というわけでもございません。起業した我々に就業規則はなく、生活が仕事でもありますので、長時間無理なく働ける方が作業時間に対する成果の高さは感じられます。

なので、頻繁に皆で食事にもいきますし、旅行にもよくいきます。月に何度かテニスもします。適当に休んだりもしています。そのような心身ともに健康な状態の方が、かえってコストパフォーマンスが良いと判断したからです。そしてそれはコロナの時代に却って成功であったと感じました。

一つの到達点から

先ほども述べました通り、2022年中に研究用アプリケーション「Attractive」が医療機器としてリリースされそうな状態にございます。これが我々の目指した途中経過であり、ようやく一つの節目に達しましたので、これまでの状況をまとめさせていただきました。今後は医療機器としての展開を進めていきますので、販売側のマーケティングに力を尽くしていきたいと考えとえります。

まだまだ大した稼ぎではないですので、これくらいの最小限の業務時間とリソースで、どこまで収入を伸ばせられるか、挑戦していきたいと思います。

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