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ラグビーが教えてくれたこと11

【そのチームに合った伝え方がある。そのチームや地域、文化など、そこの特性を深く知ることで、そこの共通言語で伝えることができ、伝わる。】

人の気付きシリーズ、
日野のアシスタントコーチのベン・ヘリングからの気付きを紹介します。

これは、指導者から何かを学びとろうと意識しながら彼を見ていた時に感じたことです。

選手をしていると、さまざまな指導者と出会うことができます。どんな指導者にも、きっとやりたいラグビーというか、実現したいものがあるはずで、

ここではその伝え方についての話です。

ベンは、2020年10月、日野に初めての外国人コーチとして招聘されました。僕は以前所属していたNECグリーンロケッツで2年間、彼から指導を受けていたということもあり、彼の魅力的なキャラクターやトレーニングメニューの引き出しの多さなど、これまでの日野にない、きっと日野に新しい風を吹かせてくれるだろうと期待はしていました。

が、ベンが与えた影響は期待以上のものとなりました。

魅力的なキャラクターや引き出しの多いコーチというのは、きっと世界中にたくさんいるんだと思いますが、僕の期待以上に感じたのは、その伝え方。
日本の文化に寄り添い、日野という会社・チームに寄り添い、地域に寄り添い、選手に寄り添っていく。その彼の伝え方があったからこそ、彼のコーチングのチカラが僕らの心に届いたし、みんなのマインドを変えてくれました

コーチとしてもこれまでにナショナルチームを指導してきたり、色んな国のトップチームで教えてきたという華やかなバックグラウンドがある中でも、
彼は僕らのバックグラウンドを尊重してくれた
そのことが僕らに響いたのです。

具体的に、彼はディフェンスをメインでコーチしていたのですが、
まず彼は、「新撰組のまち」と呼ばれている日野の街の歴史を勉強してきました。新撰組とは何なのか、土方歳三とは何者なのか、その歴史を自分で深く学び、それを自分たちに見立てて、日野の新しいディフェンスシステムを導入していきました。また、チームに合流するまでにも、我々のチームの試合を見て、過去のデータを見て、日野にあったシステムがどういったものかを準備してきてくれました。
そうして出来た新しいディフェンスシステムで使われるワードは、新撰組の歴史にまつわるものばかり。ミーティングのたびに、彼は新撰組の歴史を我々に講義しながら、そのストーリーを僕ら日野の戦っていくストーリーに重ねながら説明していったのです。

日本に、日野に住んでいる僕ら以上に、新撰組の歴史を深く学んで僕らに授業のように教えてくれている様子はとても新鮮でした。

きっと導入していったシステム単体でみたらどこの国でもあるようなものかもしれませんが、そういった伝え方、そのための準備や、僕らに寄り添おうとする姿勢が、同じ情報を伝えるにしてもここまで違うのかと、感銘を受けました。また、そのおかげで、短期間で自分たちの信じるシステムがみんなの中に浸透していったのを感じました。

どうしてもキャリアのある人間は、環境を変えた先で、自分のやり方というものを新しい環境で押し付けがちです。
しかし彼は、まず行った先のチームを尊重し、その環境のことを学び、歴史を学び、そこに彼のやり方を交えて、自分達のシステムだと思えるものを一緒に作り上げてくれた
これは非常に勉強になりました。

元日本代表監督のエディ・ジョーンズも日本の文化や日本人とはどういう人間かということを理解していたからこそJAPAN WAYを作り上げて実現させたし、
神戸製鋼のウェイン・スミス総監督も、チームをもつ会社の歴史をチームで学んだと話を聞きます。

はい、優秀な指導者にはそういった共通点があるのかなと思ったりしました。自分のやり方もあるが、そこにあったやり方を模索する。そのためには、まずはその環境を知ることが大切である、ということ

これはラグビーのコーチング以外でも言えますよね。

環境を変えた時に、その組織の成り立ちや、なぜその組織があるのかの存在意義などを理解して、尊重しないと、伝えたいことも伝わらないと思います。

そこの人たちの立場になって考えてみる。そこのストーリーに自分のエッセンスを重ねていく。
そのことの大切さをコーチから学びました

そんな話です。

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