見出し画像

SNSデトックスやってみたら、色々みえてきた

ご無沙汰しております。

今年1月9日から、およそ2ヶ月半、SNSデトックスというものを試験的にやってみました。具体的にいうと、Twitter、Instagram、Facebookで投稿しない・人の投稿を見ない生活です。実際は、そこでしか繋がっていない方からのダイレクトメッセージには反応できるように3日に一回くらいアプリを開くことはしていましたが、タイムラインは見ていませんでした。何人かの方々から、「最近SNSで見ないけど元気にしてる?」という声かけも受けたりもしましたが、大丈夫です。めちゃめちゃ元気にしております。ちょっと実験していました。


きっかけは、昨年11月末に負傷した脳震盪でした。年が明けても100パーセントすっきりする感じがなかったので、ことあるごとにチラ見してしまうスマホの見る時間を減らそうと。

iPhoneのスクリーンタイムという機能をご存知でしょうか?自分がスマホをどれだけ使っているか、どのアプリをどれだけ使っているか、ということが詳細に見ることができる機能で、僕がSNSデトックスをスタートする直前の1週間を調べてみたら、なんとTwitterとInstagramだけでおよそ6時間もの時間を過ごしていたことがわかったのです。1週間で6時間ということは、1ヶ月過ごしたらおよそ1日、年間で12日間はSNSを眺めているだけの時間があるのかと、なかなかゾッとしました。

スマホは、まず目が疲れる。あと情報が無数に頭の中に入ってきてしまって脳が疲れる。だからやめてみよう。という程度の認識でSNSデトックスをやり始めよう、と思ったのですが、きっと誰かその理論を詳しく分析している人がいるはずだと思い、調べてみた時に出てきたのが「デジタル・ミニマリスト」という本でした。Amazon.comベストブック2019 、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーなどの売り文句にしっかりと釣られ、読んでみたわけですが、これがまあ面白くて。実験を終わらせてSNSを再開する前に、今の自分の考えをまとめておこうと思い、久しぶりにnoteを書いています。前半は本のことの説明を少し。後半は実際にやってみて見えてきたことについてです。前半は若干硬いので飛ばしちゃっても大丈夫です。

まず、この「デジタル・ミニマリスト」の中で語られているのはデジタルミニマリズムという考え方。常日頃、無意識にSNSなどを見てしまうことで無駄にしてしまっている多くの時間。それを「デジタル片付け」することで自分の人生で本当に大切なものが何かと考えるためのスペースが生まれる。自分の真の価値観にしたがって日々の行動を選択することができるように、デジタルとの付き合い方を考えていこうという話です。なにも完全にSNSを悪だと思って消し去ろうとはしてないというところが味噌です。

そもそもなんでこんなにSNSに依存してしまうかという点について、本の中では2つの心理学的な要因が挙げられていました。
1つは間歇(かんけつ)強化というもの。
人は同じ報酬でも、たまに与えられる報酬の方がいつもよりも喜びを感じるという傾向があります。これはギャンブル依存にも言えることなのですが、賭けをしていつも勝てるわけじゃないけど、たまに勝つからその喜びがたまらない。そして、実はスマホをいじるという行為にもその間歇強化がなされているというのです。スマホを開いてみることで、「LINEがきているか」「Twitterでいいね!がついてるか」「何か新しい情報・ニュースが飛び込んでくるか」「なんかおもしろいことないかな」など、気づかないうちにそういう小さな喜び=報酬がクセになってやめられなくなってしまっているのです。
もう1つは承認欲求
これは馴染みのある言葉ですが、人は常に誰かに認められたいという欲求があって、それが投稿に対するいいねだったり、SNS上でのコミュニティとの繋がりの中で満たされているのです。
SNSにはこれら2つの、人間がもつ心理的依存の習性を巧みに利用して、組み込まれているというのです。本を読み進めていく中で、「どれだけ長い時間スマホを見続けさせるか」=莫大な広告収入・金銭的利益に繋がり、ソーシャルメディアサービス側がいかに人間のそういった心理的弱点を利用しているかがわかり、無意識にスマホを触ってしまう自分に対して目を覚ますことができました。

SNSを利用している中で得られることは、たくさんあると思います。そこでしか繋がれない人の声が聞けたり、自分の発信によって人に元気や笑顔を生み出すことができたらそれも幸せでしょう。自分が主体的になって専門家の発信する情報を取りにいくこともまた、有意義な使い方だと思います。一方で、意図せずにたまたま目に入る他人の思考のインプットに気を取られて時間だけが過ぎていき、自分の思考や目の前の体験と向き合う時間が減ってしまっていては、それでは自由とはかけ離れていくし、自尊心や個人の人格形成さえも脅かされてしまう。

ということで、この本で提唱されているのは、あくまでミニマリズム。良い部分もたくさんあるSNSをいかに最小限に効率的に最適化して利用できるかどうか。自分にとって大事なこととは何かを考え、自分がどうSNSを利用していくか。デジタルミニマリズムとは「自分の真の望みや価値観に従って日々の行動を選択するように促す哲学」とのことで、情報の大きな波に飲まれてしまい自分を見失いそうになるこの時代に生きる自分に、多くの気付きをもたらしてくれました。


〜実際にやってみて〜

2022年1月9日にスタートしてまずやったことは、SNSのアプリをiPhoneのホーム画面を右に右にスライドした端っこの方に追いやり、物理的な距離を置くことにしました。これでSNSを開くハードルを高くしておく。すると1週間くらい経って、ある禁断症状に気付いたのです。SNSを見ないようにしていたら、スマホで違う何かを見たくてしょうがないという状態に陥り、開始して1週間はとりあえずYahooニュースを開いて見まくるようになってしまいました。これでは、タバコを止めようとした人が、口が寂しくなってお菓子とかを食べるようになって太っちゃって、違った形で健康を害している現象と同じだなと。1週間経って気付いた瞬間にはYahooニュースのアプリ自体をアンインストールして消し去りました。そこでようやくデトックス生活が落ち着いてきました。
ひとつの目に見える成果として、ここまでの2ヶ月半で本を18冊読了できたことは、昨年の1年間で48冊だった僕にとってはすごいペースです。LINEや他のSNSも含めて、電話以外全ての通知をOFFにしたことで、読書が邪魔されないように設定を変えたりもしました。自分の思考と向き合いながら読み進めていく読書に当てられる時間がこれまで以上に確保できるということは、ランダムに入ってくる他人の思考の雑音に邪魔されず、研ぎ澄まされていくような感覚です。

また、これまで会話中に間があったりした時や、エレベーターを待っている時など、ホントになんでもない瞬間に自分でも意識せずに勝手にスマホを手に取り自動的にSNSを開いて見ていた、それが別に急ぎのことでもないのに。そんな自分がいたことにも気付くことができました。手が自分の意志とは関係なく勝手にSNSを開こうとしてくるんです、この生活の序盤は特に。
遠くの人とコミュニケーションのとれることを売りにしているSNSですが、目の前の人とのコミュニケーションをおろそかにしてしまっては本末転倒極まりないです。それをすごく感じました。

息子が目の前で遊んでいる時、目の前で起こる小さな「できた!」を、社交辞令でフォローしていた人のリア充を見ている間に見逃してしまったとしたら、なんともいたたまれない気持ちになりますよね。

ある日の練習の自転車での帰り道、信号で止まった僕は自然とスマホの入っているポケットに手を伸ばしていました。でもその瞬間に「いかんいかん」とスマホを手に取ることをやめ、なんとなく夜空を見上げて見たら、めちゃくちゃ綺麗なオリオン座を見ることができたのです。その時、「あ、こういうことか」と。スマホに依存していたことで見過ごしていた自然の美しさの存在にも気付かされました。

そんなこんなでSNSから離れた生活を送っていたわけですが、自分が生活する上でSNSがなくなったことで困ったことが無かった、というのが率直な感想です。生きるための必要条件ではなく、十分条件だったのかと。じゃあどうしよう、もうSNSやらなくても生きていけちゃうな、再開するタイミング見失っちゃってるなと、ここ1ヶ月くらいちょっとだけモヤモヤしていました。
それでも、そうやってゆったりと考えているうちにようやく僕がSNSをやる意味みたいなものが見えてきました。
自分自身を表現することで、共感してくれる人と繋がる可能性がSNSにはある。ラグビー選手としても、やっぱり応援してくださる人の輪が広がっていくことは嬉しいし、それが自分のパワーになる。シンプルなことでした。自分のことを知ってもらって、応援してくれる人がいたらハッピー。しっかりと自分にも承認欲求というものがありました。そのために発信することは自分の意思によるものだし、ここに関してはまたこれまでのように自分らしさを届けていけたらなと。
そして、僕がSNSを使う上で今後見直すべきは、タイムラインなど他人の投稿を見る時間の部分。適当に眺めてダラダラと過ごし、たまたま目に留まる無数の情報によって無意識に自分が振り回されている、これをなんとかしないといけないなと。ソーシャルネットワークにおいて、投稿して見てもらう分、他人の投稿も見て反応しなければならない、フォローされたらフォロー仕返さなきゃいけない、などというギブアンドテイクのルールみたいなものは無いと思う(自分に対する投稿に関しては反応したいです)ので、自分のページに出てくる他人の投稿の断捨離や、本当に見たい・知りたい人の情報のみをキャッチできるよう、フォローをやめたりミュート機能をうまく使って自分のページの整理整頓をしたいと思います。
引き続きアプリとの物理的な距離はとって、閲覧回数を減らすようにしておきながら、うまく付き合っていきたいと思います。

そんなこんなで長々と綴らせてもらいましたが、僕はこんな感じの人間です。何気なく使っていたSNSの使い方について、まさかこんなに考えさせられる時がくるなんて思ってもみませんでした。
ただ、今こうやってまとめた考えすらもきっと変化していくだろうし、だからこそドカッとまとめてこうやって書いて記録として残していくことの意味があるのかなと。

ひとつ言えることは(ひとつ以上言い続けてきましたが)、SNSデトックスしたことで、自分にとって大切ものが何かということが見えてきました自分にとってのそれは日常の些細なこと・物、家族、自然、人の言葉や仕草だったりでたくさん転がっているわけですが、その大切なものたちを100%天然な状態で身体に吸収できるように大切に抱えながら生きていきたいと思います。

はい、ということで、SNSデトックス(投稿しない・タイムライン見ない)生活を2ヶ月半と続けてきましたが、自分なりに最適化してゆるりと再開してみたいと思います。

自分もSNSに依存しているかもなーと感じている方がいましたら、その使い方を一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。


それでは。

いいなと思ったら応援しよう!