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人生に乾杯 41(2022年の日記)

少し明るい話を。

日記を付けている。オンライン注文の「ほぼ日手帳」2022年版が先日届いた(冒頭写真)。6年目、6冊目。今回の付属物は、以前と変わらぬ3色ボールペンと「こわくないくまのちいさなスプーン」。冊子は前半が週替わりページ、後半が日替わりページで日記にしてはかなり厚い。薄い紙を使っているとはいえ、厚さ1.5センチもある。

シンガポールに渡ったのが2012年春。その少し前からフランスの手帳Quo Vadisを、日本の土屋鞄社製黒革カバーと合わせて使っていたが、カバーの留め具が緩くなり修理で日本に空輸したところ、今後は留め具が締まり過ぎで戻ってきて、結果的には使い勝手が悪くなってしまった。そこで「次に」と決めていた「ほぼ日」に移行したという訳だ。日付ごとに縦記載は共通している。縦記載、これがなかなか使い勝手がいい。

下心アリアリで始めた日記である。当時から知り合いだった元軍人が例外なく皆日記を付けていて、その姿を想像し、直接見て格好いいと思った。日頃からとてもお世話になっている現役自衛官は、お気に入りの万年筆で毎日欠かさず付けている。市ヶ谷勤務だった数年前、シンガポールから訪問した際には僕に付けることを強く勧めてくれた方だ。2000年代初頭に仕事でアフリカを一緒に渡航した英国陸軍SAS出身者とは、ある国の宿泊先ホテルで飲む約束をしていた(日本の外務省からはホテルの外には出ないでくれとお達しが出ていた)が、そのバーに着いたところで先方はすでに座って日記を付けていた。「なぜ日記?」と聞く僕に、彼は「人生どこで終わるかわからないだろ?君も付けてみたら」と答え、少しの間書き続けた。別の米軍元海兵隊員も僕に付けることを勧めてくれた1人で、彼はシャーペンとボールペンのセットを革製品とともに、これまた別の旅先で帯同中に贈ってくれた。

そのうち僕が病気になって入院すると、今度はその大切さが分かり、止められなくなくなってしまった。今では、前半の週替わり部分を日々の基本身体バイタル、その日の予定、仕事の締め切りなどの記載に使っている。後半の日替わり部分には、日毎に起きたことの日記を付けているが、ここは日記の使用が一定しないで自分でも困っている。スマホのApp「Daily Note」に替えることが多いためだ。

下の写真は、このうち週替わりページの、僕の付け方を写したもの。写真中の黒い万年筆は、渡星前から仲良しだった男性友人に頂いたParker「5th」。離日記念にと、ネームを入れもらった。インクの色はお気に入りの濃紺。帰国してから追加で3本も買ってしまった。

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11月10日は診察日だった。病院に出かける前、自宅で測っているはずなのに高い方の血圧が155もあった。これは抗がん剤直後くらいの数値だ。直前で体が知らないうちにこわばっていたのかも。その後からは落ち着きを取り戻し、ほっとした。

もうすぐ日記入れ替え期。2冊生活がしばらく続く。その年のもの、2021年版は懐かしさが込み上げ、いち年を振り返るいい機会を与えてくれる。次の新しいものは新冊の匂いと新年への期待、不安が入り混じって僕の心をくすぐっている。

(続く)