人生に乾杯

ガンに罹りました。独立稼業を営みに行ったはずのシンガポールでです。今年(2020年)5月ごろから失語症(後で判明)を発症し、妻は最初「うつになったのでは」と疑っていましたが、症状はどんどん悪くなるばかり。6月末の帰国直前に妻から説得され、ついに病院で手術をすることになりました。

6月25日(木)にRaffles Hospitalという大手プライベート病院を訪れ、即日入院。翌26日(金)に、脳腫瘍を取り除く手術をやりました。膠芽腫(こうがしゅ)と言われるもので、英語ではGBM (glioblastoma multiforme) です。一般的には5年生存率は10%程度とされ、予後が悪いことで名高い病気です。手術の傷口は今でも残っています。加えて肺にも、2019年7月に発症したS字結腸ガンの転移が発覚し、現在4つ腫瘍があります。病院の待合室で私はボーッとしているのに、妻だけボロボロ泣きながら説明をしてくれたことを覚えています。

その後、7月14日に家族と日本に帰国。私だけそのまま空港そばの大病院「国際医療福祉大学成田病院」に入りました。退院は2週間ほど前の9月11日、米国人の友だちが妻を乗せて成田まで来てくれ、私をピックアップしてくれました。米国同時多発テロがニューヨークで19年前にあった日だなあ、と思いながら。

シンガポールと日本を跨いだ治療を受ける間、医療のスピードと質について思いを巡らせてきました。次回以降、まずはこのことを書き記していきます。