
着物判別マトリクスと紬サゲ問題
着物の勉強を始めて2~3か月になるが、知れば知るほど「それ誰が決めたんだ?」と思う事ばかりで驚く。
前回紹介した「爛漫ドレスコードレス」の2巻で撫子ちゃんが感じているような
「知るのは楽しい」
「正解の形があるなら取り入れてみたい」
「でもやりたいことと合わない」
というモヤっとした気持ちにぶつかる。
凝り性なので、”見た目”から「着物の種類」と「格」を判別でき、
合わせてよい「帯」「帯締め」がわかる一覧表を作ってみた。
リサイクルショップなどで掘り出し物を見つけるのが楽しいので、理解した上で選びたいと思ったからだ。作成にあたっては着付けの先生や染色屋さん、呉服屋さんなどが公開しているYoutube動画を参考にした。
そしてそれが合っているかを検証するために呉服屋さんのサイトなどで種類順に表示させてみると、意外と「例外」が存在する。
・「訪問着は衿、肩、袖が繋がっている」→そうでないこともある
・色無地のカテゴリに単色ではない長着も混ざっている
・紬はどんなに素晴らしいものでも格下
「訪問着と付け下げの見分け方は、作家さんがどっちと思って作ったか」という人もいるが、他者が一見して判別できないのでそれは定義としては不適切だろう。
そして感じたこととしては、何故明文化されていないのだろうかということと、何だかマユツバだなぁということである。
仕立てる時に誰がどう話そうと、本人がどう考えていようと、
他者は着姿を見て判別するしかない。
であれば、誰でも見た目から判断できる定義が存在しない(あるいは秘匿されている)というのは、「きものを大切に感じるので正しく着用したい」と考える人の前に身長よりも高い跳び箱を用意するようなものではなかろうか。
そしてもう一つ、紬の「価値を認めながらも、格下であることを譲らない」という問題だ。
・かつては商品にならない繭を使っていた→わかる
・かつては作り手の普段着だった→わかる
・なので今も格は下です→?????
紬や上布がどのように作られているのかも、Youtubeで見て学んだ。
正絹の紬の訪問着を見たが、非常に細かい模様が手織りで描き出されており、作り手さんの技術の素晴らしさに感動した。
一方で「これはとても素晴らしい技術なので高価です、でもどんなに素敵でも紬なのでフォーマルシーンには向きません」とされていて、着物を扱う人・着る人の間ではそれが罷り通っているらしい。
それは何時代の話なのだろうか。
「これはすばらしき”銘仙”!」といって持ち上げていたものも、正絹で作られていたとしても「格は低いですね」という。
その格なるものを現代人の何割が理解しているというのか。
つい数か月前の私なら「わー、きものだ、すてき」で終わりである。
令和の現代において、その感覚はもうアップデートされてもいいのではないだろうか。
先達たちの中には「プライベートな場面では自由に着ていいですよ」「もっと着物を楽しんで」という人も確かにいる。一方で「フォーマルな場面ではTPOを守った方が、面倒がないですよ」とも。
広く知られている雑誌や影響力のある人が天然素材へのサゲはもうおしまい!と発信していけば、令和の間に変わるだろうか。
少なくとも作り手に対してその価値の分が還元されていることを願う。
いいなと思ったら応援しよう!
