《エピソード40・知らなかった道》 弱冠20歳で1000万超えの借金、鬱、自殺未遂、親との確執。からの逆転人生を実現させたリアル話。
新たなる道
ゲームセットになった夢。子供の頃に描いた夢は指先が少しかかりそうになった瞬間に弾けてしまった。何よりも時間を費やし、わがままにもそれを追いかけてきた僕にとって、達成感とは違う何かを感じたしその裏側にはやり切れないなにかが微かに残っていたんだと思う。
ゲームセットから2年。僕は最後の1年を迎えた。
終わりの始まりと始まりの道
ゲームセットを迎えたのち、紹介をもらい健康機器メーカーに就職した僕は、プロテストのために蓄えた力を有り余らせていた。その
力はまだ野球を続けたい気持ちの現れなのか、力を使い切ってしまえば吹っ切ることができるかもしれないという気持ちの現れなのかわからなかったけど、しばらくは仕事を続けながら野球チームに所属して汗を流していた。
ギリギリまでいけた自分をもう少し鼓舞すれば、もしかしたら何かに届くかもしれないという期待はどこかにあったんだと思う。
自己啓発本のようなものや、モチベーション系の動画には「諦めるな」という言葉が列挙されている。
夢を追いかけるには、しつこさと諦めない気持ちが大事だ
そう思ってやってきたことでも、必ずしもできることにならないということを知った。いくら頑張っても、いくらしつこく諦めなくても、できないことは存在する。
それなのに大人は「諦めるな」と言う。そんな言葉は無責任な言葉でしかない。「努力しろ」みたいな言葉は中身のない空虚な言葉で、それがどうなろうが言った人には責任が降りかかることはないんだ。
それでも1つ気づいたことがあった。
夢へ向かって自分と向き合い続け、自分の限界を大きくしていこうとすることのどこに大事なものがあるのか?それは
そのプロセス自体に大きな意味がある
ということだったんだ。
ラストダンス
プロセスは僕をラストダンスへと誘うことになる。
勤めていた会社はとある野球リーグのスポンサーをしていた。プロ野球は1つしかないと思っていた中で、ちょうど1年前にできたばかりの地方のプロ野球リーグ。仕事としてそのリーグを観た時、僕の中に「最後の締めくくりをしてみたい」という思いが湧き上がった。
プロテストから2年。ラストダンスへと向けた日々は、1度限界を超えた僕にとっては簡単なものだった。
27歳。もうこれ以上うえにはいけないことはわかっている。でも、プロという場所で、お客さんに囲まれながらプレーすることを羨望していた僕は、勤めながらトレーニングを再開させた。
プロテスト受験。その後ドラフト会議で指名され福井県のチームに所属することになる。
プロセスはラストダンスへの切符をもたらせたんだ。
夢に挫折して絶望したあの日。
自暴自棄になり狂ったように遊んで作った借金。そして自殺未遂。
1度転落した僕の人生は、あの“死ねなかった日“という谷の底から少しずつ上へ上へと登っていった。
光が差すことすら想像もできなかった日々は、1日、また1日と新しい光が差し込み、日を浴びた僕は水を得た魚のように新しい世界へと飛び込んでいく。
今まで見つけることすらできなかった道は、知っていればもっと生きやすかったと思えるくらいのものばかりで、知ろうとしなかった自分自身を少し憎んだ。
サクセスストーリーはすでに始まっていた。
続きはまた…。