めざすべきは「2%程度のインフレ」はどこから来たか?
アベノミクスの3本の矢の、第1の矢として、日本銀行による大規模な金融緩和が目され、「デフレからの脱却」と「インフレ率2%の達成」が目指された。
茶々「なぜ2%、なんだろうね、どんな経緯があるんだろうか」
千珠はまだ『Bank of Englandイングランド銀行公式 経済がよく分かる10章』を読んでいた。
千珠「ここにあるわ」(235-236頁)※インフレ(物価上昇率が高い)とデフレ(失業率が高い)の功罪が記述されている。物の値段が上がるのは困るし、そうかといって失業者が増えるのも問題。
茶々「インフレは貯蓄の購買力を削り取るよね」
千珠「でも、インフレは、いつの間にか、債務を軽くしてくれるわ」
茶々「デフレは物価を下げるのかなぁ」
千珠「でも、職を失った労働者も消費者よね。商品を買えなくなるわ」
茶々「消費者って、物価が下がると分かっていれば、支出を先送りすることもあるなぁ」
千珠「「痛しかゆし」ってところ」
茶々「笑い事じゃ済まされないね」
*物価が年2%ずつ上昇すれば、10年後には約20%+上昇する。
茶々「インフレって、お金の購買力を減らすね」
千珠「でも、借金(住宅貸付など)があれば、債務の負担が軽くなるわ」
千珠「それに、・・・。デフレでは、逆に、債務の負担が実質的に膨らみ、返済に苦しむことになるわ」
高いインフレとデフレは困りもの。
茶々「だからか、経済学の世界では、デフレも避けて、安定し、ゆるやかな物価上昇を考えたりするのか」
*経済発展した高所得国では、物価上昇率(インフレ率)を年2%位を目標にしている。
茶々「でも、2%って誰が言い出したんだろう」
千珠「連邦準備制度理事会のジェローム・H・パウエル議長によると(下記)、どうも瓢箪からコマだったみたいよ」「ニュージーランドのロジャー・ダグラス財務大臣は、テレビのインタビューで、当時インフレ率が高く、窮した大臣はインフレ率はゼロから1%が理想だ、と応えたそうよ」
茶々「そうか、インフレ統計って上方バイアスもかかるからなぁ」
千珠「そうそう、1%のインフレ率に、上方バイアス0.75%を加えて、四捨五入すると、」
茶々「2%になるね」
千珠「それを「目標境界」としたんだって」
茶々「一度設定されると、それは事実上「中央銀行の間で福音」となった、とあるね」
茶々「千珠さん、計算ができるようになっているね」
千珠は両手を腰に当て、「エッヘン」と得意ポーズを決める。
本・論文
・イングランド銀行著/村井章子訳(2023年)『Bank of Englandイングランド銀行公式 経済がよく分かる10章』スバル舎。※該当箇所:第6章、pp. 235-236.
・日本銀行の「2%の「物価安定の目標」」に関する報告