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Short Story:仁淀ブルーに染まる水の精
画像:下記から。※この記事はタイトル通りには書いていません。
*ウンディーネ :地・水・風・火を司る四大精霊のうち、水を司る精霊である。語源は羅:undaとある。
*情景掌篇
・キシツツジとモチツツジは西日本に分布するが、地域別に分かれる。モチツツジは東側に、キシツツジは西側に分布する。仁淀川のキシツツジは一段とキレイに映える。
・キシツツジとモチツツジは木の枝に腺毛(小さな棘状の毛)が見られる。モチツツジはよく粘るが、キシツツジはうっすらとする粘り。
・仁淀川は、四国の山間に源流を持ち、山間を流れてくる。流域面積は広く、かなり長い流路である。皮には淵や滝壺が見られ、「仁淀ブルー」に輝く。
・至点・分点:夏至・冬至・春分・秋分
仁淀ブルーに染まる水の精
山間を川が流れる。昼は清流が陽の光を反射してキラキラと輝く。やがて夕闇が迫り、満月前の月が昇り始める。次第に淵周りは明るくなる。
月が山の端に掛かり始めると、1本のキシツツジの腺毛が明るさを浴びて白く輝き始める。その周りのキシツツジも明るさを浴びて次第に広がっていく。
岸の反対側も上り始めた月を予見するように輝き始める。キシツツジの腺毛の輝きは次第に広がって行く。
淵周りのキシツツジの腺毛が輝きを増す頃、月が山の端からその端を覗かせる。一気に、光が増し、一段とキシツツジの腺毛が輝きを増す。
やがて、月が山の端から出きると、キシツツジの腺毛が一段と輝きを増し、枝から離れて浮き上がる。月の光を湛えるように、小さな腺毛が白い輝きを持って広がって行く。一つ一つが思いのままに解き放たれていく。やがて無数の白く輝く腺毛が時に集まり、時に離散し、一段と朧気に輝く。
月が中空に上がるとき、時に仄かに、時に集まり、白い霞となる。月が中空に達するとき、白く輝く霞は集まり、妖精に似た霞となって漂い、泳ぐ様にゆっくりと漂う。妖精のような霞は柔らかい仁淀ブルーに染まり、満月前の月の光を楽しみ、享受するように漂う。
月が中空を過ぎると、妖精に似た霞は朧気となり始め、やがて小さな腺毛の輝きが分散し、広がって行く。
月が反対側の山の端に掛かり始めると腺毛の輝きは薄れ、霞となり、元の木の枝に戻っていく。
月に光がある間、腺毛は輝きを止めないが、月の光が薄まると、次第に淡い朧気な光の中で静まっていく。
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