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三竹士:プロローグ

京都の竹林は景観も重視される。放置未満の竹林も多いが、景観上、整備の必要な地域には、竹林を管理・整備するNGO団体が組織されている。NGO団体の中に、京都の西側にある竹林を根城にする団体がある。

その団体は数十人規模で入れ替わり立ち替わり活動している。その団体の中に高齢の男性が3人いた。3人は何の縁なのか、自然と集まり、休憩の時には、3つの木株にそれぞれ座り、並んでお茶し、話に興ずる時も多い。他のメンバーも思い思いに、木株に腰掛け休憩する。ボランティアで参加しているおばあさんと呼ぶには気の引ける女性「ばあば」が宇治茶を点てる役も担っている。

三人はよく一緒に連んでいるので、何時とはなしに、人呼んで「三竹士」と呼ばれるようになっていた。

三竹士のなかで、最も年上から、長老の爺さんという意味で、誰ということもなく、「長じぃ」と呼ぼうと言うことになった。長じぃは(好きなように呼べばいいさ)と言う表情で成り行きを見ている。

二番目の竹士は、そのまま「にじぃ」として、遠慮がちに見ていると、「にじぃ」から微笑みが漏れている。「虹」を思い出させるので、気に入った様子だ。

三竹士の中で最も若いことから、「若じぃ」とする。矛盾するような表現だが、気持ちは十分若い。「若じぃ」と聞いて、自然に笑顔がこぼれている。