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妻の語り草:痛いのに放っておくんじゃけー

山口県には三つの関-下関(しものせき)、中関(なかのせき)、上関(かみのせき)-がある。いずれも海上における交通の要衝となっている。上関には多くの人が立ち寄っている。

古くは 新羅の使節が立ち寄り、平氏が戦いに敗れ、瀬戸内を下るときに、船を寄せて、立ち寄った港が近くにある。 足利義満も立ち寄った記録がある。朝鮮通信使の寄港地の一つであり、北前船も寄港地の一つとしていた。

長崎の出島から江戸へ寄港地でもある。シーボルトを含め、出島の歴代の館長や多くの外国人が寄港している。志士たちも寄港しており、吉田松陰、坂本龍馬、七卿落ちの際に五卿が、高杉晋作なども寄港している。

上関は風光明媚でもあり、多くの釣り人もやってくる。山奥育ちの妻も釣りが好きだった。上関で釣りをしていたとき、小さな魚が連れた。カラフルな姿が気に入ったのか、思わず触ったらしい。カラコギ(ハオコゼ)だった。刺されると、痛い。少し離れていたので、放っておくと、釣り場から離れて歩き出した。地元の人に聞いたのだろう。しばらくして返ってきた。痛みは少し薄らいだらしい。

「私が痛がっているのに・・・」

その頃、リトルごくうがいたら言っただろう。

「何、触っとるんじゃ。」

そんなことを考えているとも思わず、

「放っておくんじゃけー。」

優しさのないごくうだった。反省猿が知られていたら、きっと片手を突いて反省させられていただろう。

*上関は朝ドラ「鳩子の海」で舞台になった。それを記念して、あさひ製菓(柳井市:大正6年(1917年)創業)が「鳩子の海」を販売している。画像:https://www.kasinoki.co.jp/kasinoki/kasinoki-hatoko.html