Short Story:三竹士に春が来て、やがて・・・②
*予想されるように、「三竹士」は「三銃士」のもじりである。「おじぃ」(長老)「おじぃおじ」(中老)「おじ~」(初老)と、年代の異なる男性「三竹士」が竹林整備にあたる。
京都大原野の竹林に春が来ていた。
①の最後の行
濃い青い衣を纏った若い女性が出て来た。
---②
青衣の女性は、皆の休憩の様子に気がつき、軽く会釈する。おばあが気がつき、声を掛ける。
「あらぁ、まぁ、・・・、急ぐのかい」(本当は京言葉)
「いえ、・・・」
「お茶を淹れているから、飲んでいくかい。」(本当は京言葉)
「はい」
おじ~が木株を用意する。
若い女性は臆したところがない。お茶を受け取ると、ゆっくりと慈しむように飲む。三竹士は若い女性のお茶を嗜む様子が堂に入っているのに驚いている。
おじぃが声を掛ける。
「面白い生地だね、竹の繊維かい」
「・、そうです」
おじぃおじも続ける。
「着ているのを見るのは初めてですね」
おじ~も確認するように覗き込むが、どこかばつが悪そうだ。
おばあがやってくる。
「どれ、どれ」「いい仕立てだね」「あんたが仕立てたのかね」
「えぇ・」
若い女性は立ち上がり、その場でクルリと回転する。他所で休憩していた連中も見守るように見ている。青衣の女性は動じてはいない。どこかに隠されている茶目っ気が覗いている。
「もう一杯お茶を飲むかい」
「ええ、お願いします。」
---続