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ごくうが行く:柴犬ななちゃんはキレイ

ごくうが来て間もなく、車で地域の水瓶と言われるダムに散歩に出かけていた。ダムは綺麗に整備され、多くの人が憩うために訪れていた。犬の散歩も多く、そこに行けば、他の犬と会うことが多い。

ある土曜日、ダム堰堤の散歩から駐車場に帰ると、柴犬を連れた中年男性が駐車場の角でごくうが帰ってくるのを待つように立っている。ごくうが近づくと、ごくうについて触れた後、

「写真、撮っていいですか」

スマホを取り出して聞いてくる。

写真を撮った後、

「ここにはよく来られるんですか」

「ええ」

また会いたそうな口ぶりに応える。

「よく来られるんですか」

「ええ」

「前にキングという柴犬を飼っていたんですよ」

「ななちゃんです。」

女の子だそうだ。ななちゃんによほど気を遣っているのだろう。毛並みはとても清潔感があるばかりではなく、キレイだ。リングには、優しい柄のリボンが付けられている。どこかのお嬢さんのようだ。

問わず語りに、

「家内は家なんですよ」

散歩に誘っても付いてきてくれないそうだ。休日になると、柴犬ななちゃんを連れて散歩に出ているという。

それからしばらくして、土曜日にダムの散歩に出かけると、3,4度出会った。しかし、ごくうは車酔いが強くなり、妻が「もう無理よ」といってダムへの散歩を渋りだした。

妻の実家はダムの側を通って行く。側を通るとき、キレイな柴犬ななちゃんは散歩に来ているんだろうかと思いながら通り過ぎる。