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レモンサワーと月

晩夏の夕暮れ、蒸し暑い一日が終わりを迎えようとしていた。

ゆかりは冷たいレモンサワーを作る準備をしていた。彼女は、レモンを手に取り、果汁を絞り、ソーダ水の中に注ぐ。雫がグラスの中で踊るように溶けて広がる。清涼感あふれる淡い黄色が美しく混ざり合う。

レモンサワーを一口飲む。冷たくて爽やかな味わいが口の中に広がる。レモンの酸味とソーダの炭酸が絶妙に調和し、心と身体がほんのりと酔いしれる。

ふと空を見上げると、櫛切りにしたレモンのような月が浮かび、薄雲を染めている。月の淡い光は夕の空を優しく照らし、庭を穏やかな雰囲気で包み込んでいく。

明かりが増していく月から、デッキに目を移すと、本を読む健(けん)が微笑み返す。片手には、レモンサワーが。

やがて、静かな夜に溶け込んでいく。

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※この時期(9月初旬終わり)、三日月が出ていても明るさがある。

・本
・大江健三郎・著/大江ゆかり・イラスト(1999年)『ゆるやかな絆』講談社文庫。