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ごくうが行く:撫でたい
見出し画像:ミーミーさんの「我ら!イニシャルズ」から。
ごくうは坂を下がるコースを選択し、お気に入りの里道を往復する。お大師堂を回らず、早めに交差点の前で右に舵を切った。ごくうの魂胆は分かっている。公民館へのコースを狙っているな。
ところが、交差点に掛かると、いつも公民館の方に行くのに、今夕は違った。交差点をまっすぐ渡っていく。
(どうした)
ごくうはお構いもなしに、どんどん進んで行く。交差点を渡り、家に向かって帰っていく。
と、思ったら、交差点を渡った所に親娘が。木の実が落ちているのか、小花を見つけたのか、道路の脇で何やら観察している。娘は2才か。
ごくうは一目散で親娘を回り込んで鼻泣きする。母親が気がつき、
「あらっ」
娘も気がつき、
「撫でたい」
ちゃんと言葉は話せる。母親が鼻泣きごくうを撫でる。ごくうもお尻をくねらせ、甘えている。娘は撫でられているごくうを見て、再び
「撫でたい」
母親が気遣い撫でさせようとするが、娘は及び腰。近寄っては、「きゃっ、きゃっ」と遠ざかる。
母親がなんとか撫でさせようとするが、娘は及び腰。近寄っては、遠ざかる。顔は喜びに溢れている。仕草も喜びに溢れている。でも、ごくうが近づけば、後ずさり。
ごくうのリングを持つと、ごくうは観念したように動きを止める。娘が近づき、腰を引きながら、手をそっとごくうに。ゆっくりと優しく撫でる。ごくうは腰をくねらせる。娘は「きゃっ、きゃっ」と撫でては遠ざかる。
娘は満足したような表情を見せる。ごくうは母親に撫でて貰い、家路を急ぐ。さあ、足を洗い、口を漱ぎ、身体を拭けば、ガムが飛んでくる。