花の駆け込み?・紅払妓(こうふつぎ、べにふつぎ、「hóng fú jì」)
画像:『古代中国服飾図鑑-唐代-』20頁から。
注意:物語「杜光庭『虯髯客伝』(きゅうぜんかくでん)」の筋は「ある筋」であり、本に従い、イントロとして利用。
「花の駆け込み」ではなく、「夜の駆け込み」。夜、旅籠に駆け込んできたのは、18、19ほどの娘。「まさに天女のごとく」とある。
旅籠に寄宿していたのは、李靖(りせい;隋の官人)。
娘は「紫衣」(zǐyī) を着て、「帽子」(wéi mào)を被っている。「楊司空」(土木担当の大臣)に仕えているという。※没落の過程にある。植物「菟絲」(とし;ネナシカズラ)に譬えて、李靖に保護を求める。後、李靖は、隋の滅亡後、唐に仕え、李世民の幕僚となる。
娘の姓は「張」といい、張家の長女だった。張家は唐時代を共にする。
---「帽子」:中国語で「帷帽」(wéi mào)と呼ばれる。市女笠の親元?
このころ(隋、唐時代)には、衣類は染め方も定着・進歩し、織物技術と合わさって、「きらびやかに」。
「紗」(うすぎぬ)、羅(ら)・菱紋羅、綾(あや)に、綺(き、あや;二色綾(にしょくりん))など多彩である。
セレブ女性は軽くて薄い羅にこだわるという。四川省特産の「単絲羅」(たんしら)は1匹でわずか250グラムという。※「匹」特産品などの単位にも使われる。まぁ、1反というところか。
夜方、羅を纏った若き女性が夜駆け込んできたら、断れる男性はいるだろうか。
・本
・左丘萌(著)・末春(絵)/黒田幸宏(訳)(2024年)『古代中国服飾図鑑-唐代-』翔泳社。