字下げと段落(パラグラフ)
『源氏物語』には、1字下げや段落がないといってよい(第1帖「桐壷」の最初のページを見る限り)。中国の昔の『論語』にも字下げはなく、段落を付けても、次の行で字下げはなく、段落がそのまま続き、見た目の区切りはない。
アナログ印刷文化では。※基本だけ。ただし、変体は多い。変体こそ特性・個性。見た目も重要。
印刷媒体の本では、[表紙、中表紙、本文(いくつかの章から成っている)、奥付、裏表紙]でなっている。
本は、いくつかの章から成っている。最初に限らず、ごくプレーンな文章では、章の冒頭に「章題」と、続いて「本文」が書かれる。
章題の後には、空白行が何行か置かれ、本文との区切りを示す。
本文は、数行・空白行が置かれる場合が多い。最初の段落は1字下げて書き出され、連続的して文字が書かれていく。段落が決まると、行を変えて、1字下げで文章が書かれる。※「字下げ」が一般的になったのは、明治時代以降の活版印刷の普及から。
これを繰り返せば、「章」は複数の「段落」(パラグラフ)で構成される。1字下げて段落が始まり、段落を変えれば、1字下げが行われ、視覚的な区切りがなされ、1つのテーマ、あるいは1つのアイデアが、段落の中に収められている。※文字数について考えているケースもある。
段落ごとに、あるいはパラフラフごとに、「意」を汲み取って行けば、全体の論旨の流れが分かる。段落あるいはパラグラフには、一つの「意」が必要だが、基本は1つだけに絞る。※文章上の工夫で原則は破られるケースは、もちろん趣旨によって、ある。
章の中には、必要があれば、図表などが組み込まれる。
行儀のよい論文の様式はこのルールに則って書かれている。活字文化のなせる業である。段落の間に「飾り模様」を置くことはある。
印刷文化では、この1字下げと段落が支配的である。印刷の版も、A版、B版などが用意され、規格が定まっていく。
では、デジタル・フォーマット文化では、どうなるか。→次回・デジタル時代?