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小話:アツミゲシの花
昔々、ある村にアツミゲシのタネが飛来し、咲いた。アツミゲシは鮮やかな赤紫色で、見た目には魅力的に思えた。しかし、美しさには隠された危険があった。アツミゲシの花には毒が含まれている。
村人たちは、この花を遠ざけるように言い伝えていた。しかし、若い少女・クナンはその美しさに心を奪われてしまう。彼女は「アツミゲシを摘みたい」と言うと、皆は反対した。
「危険だからやめておけ」
クナンは、その警告を無視し、密かにアツミゲシを摘みに行った。花を手に取った瞬間、クナンの心の奥に何かが響くのを感じた。花の美しさと危険が併存していた。
ある日、村に苦しむ人が3人出た。3人とも、隣の山奥に植物を求めて探索していた。気が付かぬうちに、茸の花粉にやられていた。「人に感染するかもしれない、急を要する」人々は恐れおののき慌てた。
慌て慄く村人たちの中、クナンはアツミゲシを手に持ち、この花の持つ力を利用すれば、村を救えるかもしれない、お告げがある様に感じた。
クナンは花を村の中心に置き、周囲に火を灯した。クナンは祈りに祈った。アツミゲシの花から光が放たれ、やがて光が村を包み込んだ。その光は、3本の光に分かれ、苦しむ3人の家に降り注ぐ。
光は靄となり、消えていった。クナンが危険な花を使ったことを知ると、驚いたが、花は使い様。危険な花も、正しく使えば助けにもなる。薬草もある。
花は色々あれど、花は花。その美しさと危険を知ることが、別の力も持っている。クナンも悟り、村人たちも悟った。
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※厚生労働省が注意を呼び掛けている。麻薬のアヘンの原料となる品種は栽培が禁止されている。