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今日もどこかで、わたしの愛した人たちは生きている
2年ぶりに、かつてのバイト先に買い物に行った。
そこでアルバイトをしていたのは2022年のことで、わたしはそのとき浪人していた。
浪人していて、受かったら辞めますよと言ったけど、採用してくれて、1年だけ働いていた。
そこはショッピングモールの中にテナントで入っているお店で、土日なんかは家族連れでぎゃんぎゃん混んで、狭い店内はお客さんでごった返していた。
今回わたしが行ったのも日曜日で、すごく混み合っていて、懐かしくなった。
そう、懐かしくなっちゃったんだ。
まだそこで働いていたときは、スタッフの数もそこまで多くなくて、一人ひとりの仕事量はとても多かった。
社員さんは3人いて、うち一人の社員さんにはちょっといびられていて、あんまりシフト被りたくないなあってずっと思ってた。うち一人は店長で、めっちゃいい人だった。結局、第一志望の大学には受からなかったけど、自分なりにこれだと思った進路を見つけて、やっていこうと思うんですって伝えたときに、少し残念そうにしながらも、応援してくれた。
とてもいい職場だったと思う。
「遊びにきてね!」とメッセージとお菓子をくれた人もいた。
帰省はもう何回かしているけど、実際、元アルバイト先に行くことはなくって、気がついたら3年近く経っていた。びっくり。
だから、だいぶスタッフさんの顔ぶれは変わっていた。知らないスタッフさんが多くて。もっと、気まずいものと思っていたんだけどな。
でも、その中にはやっぱり懐かしい人たちもいて。わたしは随分と変わってしまったけれど、変わらずここで働いている人たちがいる。
声は、かけられなかった。お客さんの対応をしていたし。
たぶん、「前にここで働いていて…覚えてますか?」とでも言ったら、きっとわかってくれると思う。
でも、別に覚えてなくてもよかった。
わたしだけでも、ここにいたって覚えていたら、それで。
嘘、本当は寂しい。
わたしがいなくても、世界は何も変わらない。
わかっているけど、やっぱり寂しい。
アルバイト先だけじゃない。昔、仲良くしていたあの子も、お世話になったあの人も、好きだったあの人も、わたしの愛した人たちは、今日もどこかで生きている。
言葉は交わさないけれど、今日も、どこかで生きているんだよなぁって。
不思議な感覚で、むず痒くて、でもちょっとほっこりと嬉しい。
今話しているこの人も、いつかわたしから離れて、どこかで生きていくんだろうな。
でも大丈夫。
わたしだって、どこぞで生きてるから。