マレーシアのインターナショナルスクール事情
近年、日本人の移住したい国のトップに選ばれ続けるマレーシア。教育への注目度も高まりつつあるマレーシアの、インターナショナルスクール・ライフの実態とはどんなものなのか?筆者が見てきたことや感じたことを踏まえ、まとめた。少しでも海外移住や留学に興味のある方の参考になればいいなと思う。
話が大幅にそれてしまったが、筆者の簡単な自己紹介をするとこんな感じだ。仕事と子育ての関係については、また違う記事で書きたいと思っている。そしてインターナショナルスクールも、今凄いスピードで増えているのがマレーシア。選ぶのもなかなか難しい。何故今の学校にしたのか、この選び方についてもまた語っていきたい。さて本題に。
一般的に授業は、朝8時にスタートし、3時半前後まで。スクールバスを利用する場合は、1時間〜1時間半前にはバスが自宅まで迎えにくるので、まだ薄暗く太陽が登らないうちに起き、バスに乗り込むことになる。多くの場合、学校にあるカフェテリアでランチを済ませるが、小学生の場合はお弁当を希望するパターンが多く(おそらくマレー料理がまだ口に合わない年齢)、親のさらなる早起きが強いられる。家から学校が近いと、この負担が大きく軽減するのでコンドミニアムを選ぶポイントと言えるかもしれない。
基本的に授業は全て英語(インター校により差はあり)。算数、地理、理科(実験含む)、歴史(世界史)、体育、語学(英語は必須、さらにフランス語、中国語、マレー語から2科目選択)コンピュータ、芸術、音楽、EAL(extra additional lesson/英語の補講授業)、クラブ活動などが主軸となる。
特に地理や理科のテキストは、大人にとっても読み物として興味深く、英文も日本の大学入試レベルぐらい長い。小学生には絶対難しいでしょ?と心配になる。さらに小学3年生(9月入学が多いブリティッシュ系のスクールでは、4年生のクラスに入ることになる)が知ってるのか、と驚かされる単語のオンパレード。母国語が英語ではなく、家庭での日常会話が英語ではない生徒にとっては、かなり高めのハードルである。よって、学校側からも色々な意味での“親のサポート”が強く求められるのが現実だ。
授業の進行具合をきちんと把握し、毎日の宿題や小テストの出題範囲もこまめにチェック(小学生のうちは特に)。親同士のグループライン(こちらではWhatsAppというコミュニケーションアプリが主流だ)も存在し、毎日のように宿題やテストについての情報交換が行われる。親の関与度が非常に高く、全力でサポートしているといった印象だ。学校にさえなんとか入学できれば、後はある程度時間をかければ自然に英語が堪能になると思いがちだし、私もそう思っていた。しかしそうはいかないのが現状だ。
英語力が不十分な場合は、週1〜2回ぐらいで語学学校を併用するパターンが多い。学校の授業内容を理解するには基本的な英語力が必要とされる。算数も、理科も、地理もテキストの内容や質問は、全て英語。そもそも質問の意味が理解できないと、テストで何を解答したら良いかさえ分からない。
さらに日本人の場合、毎日が英語環境だと日本語に支障をきたし、ひらがなや漢字を忘れてしまう、という問題も同時に生じる。そのフォローとして日本語で対応してくれる公文式などに通わせるのも定番だ。さらに、高学年になると授業の内容を“日本語で”教えてくれる家庭教師もしくは塾が必要となってくる。
さらに、何かスポーツをさせたい、音楽にも触れさせたいからダンスや楽器を習わせたい、マインクラフトが好きだからプログラミングのレッスンも、といった趣味の部分も充実させてあげたい。親の希望とサポートは留まることを知らない。そもそも「日本での受験ベースの生活環境ではなく、もっと自由に子供が好きなことを好きなだけやらせてあげたい、もっと子供の才能を伸ばしてあげたい」そう期待していたはずなのに。
この何かに追われている感じは一体なんなの?
結局、海外に来ても色々と気を揉みながら忙しくしているのが、日本人の特徴なんだろうか。
このような予想外の葛藤に襲われる、それが海外のインターナショナルスクールライフの現実だ。
そして、予想以上のコストがかかるということ。駐在ライフで家も教育費も全て会社がサポート!という恵まれた環境にいる人もたくさんいるが、そうでない場合は当たり前だが全て自費。ただ、会社という組織に縛られないので、急に帰国することになったり、意志とは別に他国へ転勤になったりと会社都合の人生になることは避けられる。私が会社員を辞めたのもこれが一番大きな理由だ。
とこのように、良い点もあれば思い通りに行かない点もたくさんある。もちろん、得るものも計り知れない。英語しか通じない環境に、幼い頃から身を置く。このアウェー感は、子供の自立心を育み、色々な異なった価値観に触れ、それを受け入れ共存するという経験ができる。日本の価値観が全てではない、ということに気がつく。
もちろん、初めのうちは日本でも同じだが様々な人間関係における問題が生じる。多民族国家のマレーシアでは、色んなカルチャーがミックスし、みんながそれぞれの方向を向いて生活している。人は人。自分は自分。だからこそ、コミュニティ内では問題が起こるのは当たり前のことだ。しかし子供の順応性は想像以上に高い。言葉を超えたコミュニケーションが、子供同士では可能だ。さらに喧嘩や言い合いになった時にこそ、”本物の英語力を身につけるチャンス”なのだ。身近な友達の真似をすることで、“話し言葉の英語”を身につけるのだ。
色々な不安や葛藤は付きものだが、親が楽しんでこその日常である。南国の陽気なムードや年中カラッと晴れた暮らしやすい気候、他民族国家ならではのカルチャーミックスした食や言語、ファッションなどライフスタイルの多様性を楽しみながら、学校生活も根気よく見守って行きたいものだ。
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