どういう了見で一年後に部長と同棲してるとほざけたのか?
6話のラスト5分というかほぼラスト1分があまりにも衝撃だったのは言うまでもなく、そのまま無情に流れた最終回予告も正直「結婚式?!」「フラッシュモブ!?」とツッコミどころしかなくて、正直何も受け止めきれてない。
でも、この6話が放映されてから約1週間、沢山の方の考察なり感想を読んできて、少しずつなんとか噛み砕けた部分もあり、あと最終話予告動画やテレビ雑誌のネタバレを通して、最後どうなるか予測もしてみたので、頭の整理も兼ねて書き出してみる。
6話の最大の衝撃は「一年後」春田は「なぜか部長と同棲していた」。マロの言葉を借りると、何言ってんのかちょっとよくワカンネェっす、だ。マジで。大マジ。ちょっとじゃなくて全部わかんねぇっす。
なぜ一年後、なぜ(よりにもよって)部長と同棲しているのか。
6話放送直後、春田の急な身の変わり様に「裏切られた!」「許せない!」という怒りの声が火柱のように立ったのは聞いたし、私も最初は、マツコと有吉の番組にハガキ送るか悩むくらい、怒り心頭だった。
2人の別れが辛すぎて、1話~5話までを何度も見返して、現実逃避ならぬ6話逃避をしていた。
でも、そこで今までのおっさんずラブを見ていて感じたのは、かなり丁寧に春田と牧の関係性を描いていた、ということ。牧の後ろ暗い気持ちや抱え込みやすい気性はもちろん、春田の同性愛に対する正直な戸惑いも、ほとんど茶化してなかったと思う。ベースはラブコメだから多少の脚色はあったと思うけど。
だから、ここにきて公式が、「最終話前だし、斜め上の展開させて視聴者を驚かさせちゃろ~」と炎上マーケするのは全く筋が通らないし、メリットも何もない。
つまり、脚本上意味があって「一年後」「なぜか俺は部長と同棲していた」なのである。絶対…多分そう。徳尾さん、信じてるからね???
そして、最終話予告やオフショットで流れたフラッシュモブ・プロポーズからの結婚式の流れは、誰かの夢オチでも、春田が突然記憶喪失になってそれに便乗した部長の策略でもない。
おっさんずラブは、好きよ抱いてと神輿を担がなかったし、「ハレルヤチャ~ンス!」と時間を遡りもしなかった。あくまでそこは事実のみで話を進めてくる。それは、春田が現実逃避をしない根が真面目な性格だから、てところもあると思う。
話が逸れたけど、春田は自らの意志をもって、部長と交際し、一年後同棲を経て、結婚式まで迎えようとする。それはまぎれもない真実。
じゃあ、なんで?
・なんで一年も経ってるの?
・なんでその間牧と復縁しようとしなかったの?
・なんで部長と同棲したの?
てことになるんだけど、それは絶対間違いなく牧との別れに全ての理由があると思う。
春田はつい1、2か月前までドのつくノンケだったのに、牧と出会い、交際し、会社にカミングアウトし、牧の家族に挨拶しにいくまでになるのだ。
どんなにお人好しな性格でも、自分の性的嗜好を変え、かつ公に責任を持つ、というのは常人には出来ない決断だと思う。
春田は彼なりに牧と真剣に向き合って、間違いなく好きだった。私が千と千尋の釜爺だったら「愛じゃよ、愛」ていう。
確かに「好き」という言葉はなかったかもしれないけど、行動で明らかにしていたし、そんなのは、むしろ引け目のあった牧の方が十二分に分かっていたはず。
本当に流されやすいお人好しなら、牧に別れましょうと言われた時、涙を流してまで抵抗する?しないでしょ?
直ぐ「牧を苦しめてごめん、言う通り別れよう」て言うよ。(少なくともBL界の流されお人好し代表格:窮鼠の大伴さんはそうだった。)
でも春田は、嫌だと縋った。
春田側に立った時、おそらく牧の「好きじゃない」はウソだとは分かったと思う。
でも、好きな人にウソをつかせてまで、泣きながら別れて欲しいと言われたら?
とにかく自分がとんでもない間違いを犯してしまったんだ、やっぱり俺には牧を守れなかったんだって感じる。
そこでさらにウソを問い質すことなんて出来ない。だってまた牧を傷つけるかもしれないもの。そんなのは恐怖と絶望しか生まない。
だから、春田は別れたくなかったけど、牧の幸せを願って別れたのよ。
牧がそうであったように。
その後、彼が復縁を牧に持ち出さなかったのは、
牧は自分がそばにいない方が幸せになると思ったのはもちろんだし、
何より春田は、牧と元元カレ武川さんとのその後の事情を幸か不幸か目の当たりにしている。
もしグイグイ行こうもんなら「元カレに言い寄られて困ってます」と誰だか分からん新しい今カレにまた言われちゃうかもしれない。笑
そんなのは想像するだけでおぞましい…!!
だから、きっと同じ営業所にいても綺麗さっぱり未練なんかありませんて顔で、牧の良き先輩をずっと演じるはずだ。
(牧も牧で、ここぞとばかりに笑顔で仕事しそう。そゆとこだぞ、君たち!)
最終回、部長がはるたんと同棲までこぎつけたいきさつは語られるかもしれないし、語られないかもしれないけど、
恐らく牧との別れによって、人を愛することにトラウマを抱えた春田は、
無条件で盲目な愛を捧げてくれる部長を受け入れることで、安心したかったんだと思う。まだ自分は好きだと言ってもらえる存在なんだって。
自分はまだ相手を心から愛せるほど過去を乗り越えられてない。
でも、いつか本気で部長を愛せる日がくるかもしれない…って。
なんて自分勝手!
つまり、言い方は悪いけれど、春田は部長を利用することを選んだ。
ちずちゃんじゃなくて部長の理由は、部長が恋に恋する乙女だからだと思う。
二人とも、春田に告白してフラれているけれど、ちずちゃんは牧との幸せを願って身を引いたのに対し、心に諦めの悪いJKを住まわせている部長は、二番目の男でいいと言うくらいだし、きっと春田がどんなことをしても失望しないだろうと仄暗い計算を、春田がしていたのかもしれない。
とはいえ、春田は、いつまたくるとも分からない別れを恐れているから(もし自分が部長の愛を利用していると自覚しているなら尚更)、
人生で一番大切で、かつ自分を愛してくれた人に言われた「春田さんの悪いこと」を全部克服する。そして、相手の言う事なんでも叶えようとする。
そうすれば部長はきっと春田を手放さないと考えて。
牧に言われた悪いことは、
優柔不断、朝不機嫌、服脱ぎっぱなし、好き嫌い多い、靴そろえない、皿洗いしない、「ちょっとそれ一口ちょうだい」って言う、改札で引っかかる、方向音痴、うつ伏せで寝る
6話の最後で、服も着替えて、仰向けで寝て、朝から笑顔を見せる、春田が見られた。明らかに直してる。もしかしたら最終話では、他にも、皿洗いする春田や、色物と分けて洗濯する春田が描かれるかもしれない。
最終話のあらすじでは、本社の新規事業立ち上げに引っ張られ、上海に行けと命じられるらしいから、今まで成績ドべだったけど、仕事のできる人間にまで、文字通り何もかも生まれ変わってる。
でも、同時に春田は完全に乗り越えてないことも示唆されてる。
朝のテヘペロは明らかに顔が引きつっていたし、予告で部長に「はーるたん」と呼ばれた時の春田の返事もぎこちなかった。
加えて、私服はダサイままだった(むしろ悪化した?)。
要するに部長を愛しているようで、部長越しに牧を愛しているのだ、今もまだずっと。1年たってもずっと。
春田は、表では、牧との別れを乗り越えたい、今度こそ幸せになろうと必死だから、部長が同棲したいと望めばそうするし、プロポーズされたら頷く。だってもう傷つきたくないし、相手にだって傷ついて欲しくない。
でも裏で、牧への思いを払拭できてないから、(牧がまだ好きなのに)「”なぜか”同棲している」と表現していた、のでは?
私の考えすぎならすっごく恥ずかしい。
ところで、春田が部長を利用している時点で、部長のこと傷つけているって分かってるのかしら。そういうのなんて言われるか知ってる?「マジ、デリカシー!」っていうのよ?
つまり、春田が、部長の愛を支えにして、なんとか牧との交際を過去のことだと見切りをつけるだけにどれだけ時間がかかったか。それを表すための「1年」だったのだと思う。
それに、牧は春田と一緒にいた時に確かに何度も傷つけられ苦しかった。でも、春田は牧がいなくなって初めて苦しみを味わう。それを1年くらい味あわせたほうが釣りあいがとれるじゃない? なーんつって。
それか現実的に、仕事ぶりが評価されるための時間、だったりして??流石にリアルすぎるかな??
きっと最後、愛を誓う土壇場で春田はようやく心の奥底にしまい続けていた思いに気付くのだと思う。病める時も健やかなる時も本当に共にいたいのは誰なのかって。
でも、一緒にいても牧は幸せになれない。身も世もなく牧への愛を叫ぶことしかできない己を呪う。
この結婚式がとん挫することは、最終話予告のマロが言うセリフから予測はされる。「結婚って本当に好きな者同士がするもんだと思ってた」
思ってたけど、違った。部長と春田は好き同士じゃなかった。
第一、春田は不器用がすぎる。愛って、相手から受け取ってそのまま返せばいいものじゃないのよ? 何の見返りも求めず、大切な相手のために行動することが愛っていうのよ。春田は完全に相手からの無条件の愛を求めちゃってる。
横川さんじゃないけど、春田は別マガ、いやもしくはちゃおやりぼんあたりから勉強しなおした方がいいかもしれないww
部長も牧も、貴方の、家事も仕事もダメだけど、天然でお人好しで憎めない、そのままの春田を愛しいと思ったじゃない。それが愛だよ。
もし最終話で個人的な願望が言えるなら、春田の牧への愛を証明する手段として牧の悪いところを10個言ってほしい。同棲した春田にしか分からない、些細なことで構わないから。それも含めてなりふり構わず「牧のことが好き。一緒に幸せになろう」と言ってほしい。
この仮説が正しいか分からないし、あの予告の病室シーンの謎が全然分からないけれど、
これが正しいとしたら、春田も春田で、どうしようもないくらい愛が重い。でも、それくらいでちょうどいいんじゃないかなぁ
自己肯定が低すぎて、世間一般の幸せの形に縛られている牧と、
(本来なら)素直でおおらかで、牧が何よりも大事な春田が一緒になったら、きっと無敵だよ。
愛は無条件の愛が最上なんていうけど、この世に永遠のものなんてないし、また春田が牧を傷つけたり、あるいは牧が春田を傷つけたり、喧嘩したり、どん底の日がいつかくるかもしれない。いや、絶対くる。
それでも二人のお互いを想う気持ちにウソはないんでしょ?じゃあ、腹くくって一緒に乗り越えなさいよ。
あー早く土曜日こないかなー でも来たら来たで超絶さみしい
そして私はきっと今度は、部長の深層心理について書く気がする。