竹下力

笑って、泣いて、怒って、好きになって、嫌いになって、それが同時にあって、同時に無いようなそんなひとつの空間と時間が好きです。そんな場所をひょっとしたら詩なんて呼ぶのかもしれませんね。

竹下力

笑って、泣いて、怒って、好きになって、嫌いになって、それが同時にあって、同時に無いようなそんなひとつの空間と時間が好きです。そんな場所をひょっとしたら詩なんて呼ぶのかもしれませんね。

マガジン

  • 竹下力の日がな一日演劇日和(VIVO MORTI VIVO)

    日々、演劇の楽しさを伝えるべく、伝道師とはいかん、しかしだがとは、やってみるのである。その宣言とまではいきませぬが日々の雑感としてであります。つまりは生、生は屁、すかし屁もなるかもと死について。VIVO MORTI

  • ほんとにあった話

  • 灘岡

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詩の朗読「灘岡炭鉱炭塵爆発」竹下力

呼吸困難になるほど僕のエンディングは始まっているのに いつまでも消えさらずに終わらないまま 僕の呼吸が氷になるほど白いケロイドの雪が降って やってきた道のりを雪で埋めて足跡を消してしまう。 あっけないほどもう誰も僕を見つけられないけど 寂しくはないから灘岡炭鉱の古びた錆だらけのトロッコの中で僕は微笑んで 自分が見つけられることを願う 幸せも満足感もそこにあるはずなのに 坑内の石炭臭い約束に消え去ってしまうけど たくさんの石炭の粉末が蛍のように舞っていて チカチカと明滅しながら星屑のように光れば我慢できるよ。 まるで母さんと小学校の担任の三好先生が「ホテル灘岡」でヤっていて 飛び散ったじっとり熟れた汗に怖くなってしまうように キラキラと凍って腐った牡蠣臭く腐っていけば泣いていられないけど なんだか寂しさばかりが募ってきたりして 母さんがそうなるのは仕方がないと思うし 父さんが母さんをぶん殴るのが嫌いだから お互いがお互いの秘密に飽き飽きし始めて 憎悪まみれ母さんの腹を蹴り上げたせいで 弟がグチャグチャになって出てきたんだよ。 どうか、それを持って走って逃げてほしい。 母さんの血まみれのアソコはグチャグチャで母さんは 泣き叫び、父さんはアル中だから惨めに笑い叫び 一方で三好さんは悪魔の微笑みを教室で浮かべ 僕を職員トイレに呼び出してフェラさせて殴って喜ばせた。 僕らは堕胎されるように汚れ切っているのは分かっていたけど どうしたってナッシングにしかならないすべてがあるなら 僕を満たしてくれるエブリシングが弟にあると願っていたし 僕は雪降る閉坑されたトロッコの揺り籠に揺られながら安堵したくて 思わずマッチに火をつける。 フィラメントの煌めきが連弾しながら爆音と爆発が連なり 僕は激しい爆風と共に吹っ飛んで粉々になって山が揺れ、揺り籠が揺れ 灘岡山脈の山頂で起こった眠りの雪崩が湖の子宮をいっぱいにした。 僕は燃え盛る炎を飲み込みながら凍りつつあって僕は また堕胎されて父さんと母さんが本当に心の底から 僕を産みたくなかったってことを 密かに愛したいんだよ。 どうか、それを持って戻ってきて僕をエンディングにしないで。 だって僕はまだ弟を見たことがないんだ。

    • 詩の朗読「Desperate BOY Killing YOU」竹下力

      絶望死かましてベレッタ銃口口蓋に一撃! すべての青空が破裂した。公害病に反転させた原発ジプシーが食らう。 うろつき回るドヤ街にドラッグ売りがラリって静脈に僕をめり込ませた。 目ん玉。脳みそ。お前の希望。お前の絶望。僕より絶望してくれよ! ファックしたあんたは肛門丸出しで死んでしまえばいい。 なんて嘘ばっかり! ゲロ! ゲロ吐いたぞ! 警察を呼べ! 雨足しろく相合傘にベロとベロを絡ませて憤怒とベレッタで一撃! なんだか脳みそが爆破している! 絶望だよ。君を殺すんだから。愛している! 僕は上手に生きられない。 僕は上手に生きられない。 僕は上手に生きられない。 ゼロだ。ゼロばっかりだ。お前はゼロだ。 僕は空っぽだ。 だからゼロで満たしてよ。胡散臭い正義をかざしてさ。 ペニパンをケツの穴に突っ込んで自殺させてよ! だって僕はもう自殺した! だって多分絶対に! お前が絶望になるたびに何度も! ああ、助けて僕は空っぽだよ! ファック!

      • “劇団鹿殺し”は永遠の愛を追い求める気高き狩人。真田佑馬(7ORDER)&梅津瑞樹らを招いた音楽劇『キルミーアゲイン'21』が傑作な理由。

        “劇団鹿殺し”の活動20周年の記念作品として上演される『キルミーアゲイン'21』。本作は、2016年に活動15周年記念公演として上演された同作を大幅にリライトした音楽劇。ダム建設の問題に揺れる人魚伝説が根づく村を舞台にした物語だ。作を丸尾丸一郎、演出を菜月チョビという劇団鉄壁の布陣に、音楽劇には欠かせない音楽をシンガーソングライターのタテタカコが担当。出演者には、劇団メンバーのほか、真田佑馬(7ORDER)、梅津瑞樹、花組芝居の谷山知宏、動物電気の小林けんいち等、実力派の

        • 森山未來らが死を幻視させ七尾旅人の魂の歌が生の高揚へとつなげる。人間の本質が刻印された傑作。『未練の幽霊と怪物―「挫波(ザハ)」「敦賀(つるが)」―』上演中。

          岡田利規が能をモチーフに、ドイツのミュンヘン・カンマーシュピーレで発表した『NŌ THEATER』のアップデートバージョンとなる、『未練の幽霊と怪物―「挫波(ザハ)」「敦賀(つるが)」―』が、6月5日(土)から、KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>を皮切りに上演中だ。 本作は昨年、コロナウイルスの影響により、配信作品として届けられ多くの反響を呼んだが、舞台版として蘇る。 この舞台は、“夢幻能”の体裁を取りながら、建築家ザハ・ハディドをシテ(主役)に、彼女の過去の未練を描く

        • 詩の朗読「灘岡炭鉱炭塵爆発」竹下力

          詩の朗読「灘岡炭鉱炭塵爆発」竹下力
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        • “劇団鹿殺し”は永遠の愛を追い求める気高き狩人。真田佑馬(7ORDER)&梅津瑞樹らを招いた音楽劇『キルミーアゲイン'21』が傑作な理由。

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          劇団桟敷童子に惜しみない拍手を。舞台『獣唄2021改訂版』はあなたの心と魂を熱くする感動作。

          2019年に初演され、劇団桟敷童子の創設20周年の作品として上演された舞台『獣唄』。その改訂版にあたる舞台『獣唄2021改訂版』が、2021年5月25日(火)から6月7日(月)まで、すみだパークシアター倉にて上演中だ。本作は、初演版を改訂し、新演出と新美術で届ける。初演では第54回紀伊國屋演劇賞にて劇団として団体賞を獲得、出演者の村井國夫が個人賞、また劇団員の原口健太郎が第2回すみだパーク演劇賞を受賞した。 今作も劇団桟敷童子の鉄壁の布陣。作をサジキドウジ、美術を塵芥、演

          劇団桟敷童子に惜しみない拍手を。舞台『獣唄2021改訂版』はあなたの心と魂を熱くする感動作。

          松岡昌宏&マキタスポーツ&夏子らが起こす奇跡が世界を変える。舞台『東京ゴッドファーザーズ』上演中!

          2003年に公開され、今なお世界中で愛されている今敏監督の長編アニメーション映画『東京ゴッドファーザーズ』を原作とした舞台が、2021年5月12日(水)から30日(日)まで、新国立劇場 小劇場にて上演中だ。 本作は、新国立劇場による新シリーズ「人を思うちから 其の弐」と銘打たれ、クリスマスの夜の東京を舞台に、性別も年齢も違う3人のホームレスが巡り合う“奇跡”のお話。また2003年の設定を2020年にすることで、現在の日本が抱えている問題も炙り出していく。 演出は、現在、演

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          草彅剛&小西真奈美らが高らかに謳う人が生きる喜びと幸せ。舞台『家族のはなしPART1 2021』が描く家族の真実

          2019年に京都劇場で上演された舞台『家族のはなしPARTⅠ』の再演にあたる『家族のはなしPART1 2021』が、2021年5月14日(金)から5月30日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場<ホール>にて上演中だ。 本作は、関西の劇団「満員劇場御礼座」(満劇)のメンバー、中治信博(淀川フーヨーハイ)と武尾秀幸(あべの金欠)が1話ずつ作・演出を手がける2話構成の舞台。夫婦と愛犬のチグハグなやりとりが面白い「わからない言葉」、郊外に住む夫婦の何気ない日常を切り取った「笑って忘

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          語るべき言葉のために。KAAT神奈川芸術劇場プロデュース・リーディング公演「ポルノグラフィ」

          2005年7月にロンドン市内の地下鉄とバスで起きた同時爆破事件を題材にした、英国の人気劇作家・サイモン・スティーヴンスの戯曲のリーディング公演「ポルノグラフィ」が、2021年4月16(金)日から4月18日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場の中ホールにて上演された。 今作は、昨年、新型コロナウイルスの影響で中止になった延期公演となる。テロが起きた周辺の地域で生きる人々の7つのエピソードで構成された物語。 出演は、上田桃子、内田淳子、小川ゲン、奥村佳恵、竪山隼太、那須 凜、平

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          恋愛はビターでスウィートなシンフォニー。文学座有志による自主企画公演『岸田國士恋愛短編集』上演中

          2020年に新型コロナウイルスの影響で上演が叶わなかった岸田國士フェスティバル『岸田國士恋愛短編集』が、リベンジ公演と銘打ち2021年4月9日(金)から16日(金)まで文学座アトリエにて上演中だ。近代演劇の礎を築いた岸田國士の初期の短編戯曲3本を一挙上演という試み。小原まどかが演出する「恋愛恐怖病」には下池沙知、相川春樹、杉宮匡紀が出演。生田みゆきが演出を担当する「チロルの秋」では渋谷はるか、小谷俊輔、渡邊真砂珠が演じる。五戸真理枝が演出を手がける「命を弄ぶ男ふたり」には

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          見える世界を見えない世界にするために。牛腸茂雄『SELF AND OTHERS』。

          牛腸茂雄。何を隠そう、いや、ちっとも隠すことでない。牛腸茂雄、写真家であり、美術家、デザイナー、あるいは呼び方なんてなんでもいいのかも知れない。詩も短歌もたしなんでいる。大方がそうであるように、団塊世代の時代は彼らにあらゆるものを要求した。だからなんでもよかった。そう、肩書きなど。1946年に生まれ、1983年に逝った。享年36歳。それを若いと言葉にすれば、それだけの写真家になってしまう。ならば人は彼をなんと呼ぶだろう。天才でありさえすれば、というより、なんとなく存在して

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          生田斗真&趣里らが生み出す巧まざるファルス。舞台『ほんとうのハウンド警部』

          舞台『ほんとうのハウンド警部』が、3月5日(金)よりBunkamuraシアターコクーンにて上演中だ。脚本は英国演劇界の至宝ことトム・ストッパード。一家言ある劇評家たちが眺めている舞台(劇中劇)を観客が観劇する……いわゆる演劇についての演劇(メタシアター)だけれど、そんな複雑な手法よりも深い思索が心を撃ち抜いてくれた。演出はもはや日本の演劇界になくてはならない存在の小川絵梨子。ふたりのタッグがどんな劇空間を生み出すか楽しみだ。配信ではあるけれど、そんな舞台を観ることができた。

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          「WHAT’s IN? tokyo」が閉鎖されます。

          WHAT’s IN? tokyoとはなんぞやと。エンタメサイトなるもの、3月末をもって閉鎖と相成り。まずはそこはかとなく、なんとなくの感謝を。最大限の感謝で割り勘しましょう。 人生真っ暗闇でございます。 あらゆるものが終わりを迎え、何も始まることなく、ただ黙々と、花が咲くこともある。ほら、そこに桜が咲いている。そして終わるのだ。見頃は散っていくためにある。VIVO……すなわち生きるためにこそ。 ただ、壊れていくものが壊れていくようであると言ったのは天野忠だったか。腹をく

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          笑われてもいい。だけど、心の底から笑うことは忘れない。でも、誰も笑わせてくれないけど。

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          何を言われたって、どんなに馬鹿にされたって、かならずやり通すって、父の背中は、強かった。いまは、ただののんだくれだけどね。

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          行き場のない魂。壊れた心。今日はイアン・カーティスの35回目の命日だそうです。人種も、言葉も、歴史も、年齢も、優しさも、切なさも、辛さも違うのに、この曲がクラブでかかるたびに踊れたJoy Division、Love Will Tear Us Apart。

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          もっと空を見上げて、大切なものを見つけたいけど、イカロスみたいに羽が燃えつきて、墜落しちゃうんだ。

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