天竺100円

100円玉を握りしめさまよう
世の中があまりにも辛いので
魂を現実逃避させます
彼方へ
彼岸　最果て
メキシコの夜
ジャッカルの憂鬱
セントルイスの丸椅子
夢枕に立つ夕飯の太刀魚
メガネが割れたメガネザル
二の腕の中を走りまわる子供たち
傷口が全て人の顔に見える
野生の瓶に流れる血
異議申し立てするマッドパパブーン
愉快な産毛に不快な縮毛

人間は野生に帰ることが出来るのか
諦めと虚無の狭間で　束の間の盆踊りを踊る
100円では夜店で何も買えないね
価値とは何か　
重さか　思い込みか

太陽が昇る頃
殆どの人たちはただ息をする人形のように眠っている
人間が大人しい世界は清らかで
まるで生きることが清く正しくない事の証明のようだ
だが明日が正しくあるために少しは努力をしよう
まずは皿洗い　そしてゴミ捨て
砂漠に来て言うことではなかった
雨の日が嫌いなんて言葉が嫌いだ
エチオピアから四條畷への直通列車
私　3号車で待ってますから
あなたが来るまで　待ってますから
汽笛が鳴った
顔のない駅員が微笑んだ

カンパネルラ　僕はもう疲れたよ
果たして世界を愛しつつ現実を生きる事は可能か
次回「天竺ってさっき通り過ぎたアレの事？」
乞うご期待

（2020/06/09）